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はなかご  作者: 和音
第一章 初めての学園生活
27/104

尾行

「それじゃあ行こっか。」

私と柳さんはとりあえず本屋に入ることにした。ショッピングモールの中にある本屋よりもずっと大きくてびっくりした。

「うわーこんなに大きな本屋初めて見た。」

私がキラキラした目で見てると柳さんは笑顔で微笑んだ。

「ふふっ。日野さんは本が大好きだね。私も大好きだから嬉しい。」

「うん。小さい頃は体が弱くてあまり遠くに行けなかったらお母さんがよく本を買ってきてくれてたんだ。その時よく読んでたのが冒険小説なんだ。」

あの時から私は冒険小説が大好きだったしあの頃は私も冒険したいとか思っていた。

「だから日野さんは冒険小説が好きなんだね。」

「うん。特に好きなのがLunaの書く小説なんだ。」

そう言って私はLunaの最新作の月と太陽をとる。

「確かにLunaは良いよね。私もあの独特な世界観は好きだよ。」

「そうなの!初めて読んだ時からずっと、Lunaの大ファンなんだ。」

「日野さんは本当にLunaが好きなんだね。」

柳さんは優しく笑った。

「うん。本当に大好き。」

私がそう言った瞬間柳さんは若干気まずそうにした。

もしかして同担拒否とかかな?

「どうかしたの?」

「ううん。なんでもないから大丈夫だよ。」

「柳さん、お気に入りの本とかないの?」

「うーん、そうだね。私も冒険小説は大好きだけどやっぱり、主人公が成長していく系は大好きかな。」

「分かるな。心理描写が多くていいよね。」

「うん。またおすすめの小説を貸すよ?私もたくさん小説を持ってるから。」

「いいね。それならお互いのおすすめの小説を貸し合おうよ。」

本の話をしているうちにいい時間になっていた。」

「そろそろお昼だね。ご飯にいこうよ。」

「じゃあこの月と太陽だけ買っていいかな?」

「うん。じゃあ私は入り口の前で待ってるよ。」

「うん。すぐ行くからね。」

私は小説を持って一人レジに並ぶ。やっぱり友達との買い物は楽しい。




私は一人になると深呼吸をした。

はあ何とかバレずにすんだけど日野さんが大好きとか言うからちょっと動揺しちゃったけどまあ大丈夫かな。それにしても今日は本当に楽しいな。ずっとドキドキしてる。日野さんは私の大事な友達だからこうやって遊べて嬉しい。しかし一つだけ困ったことがあった。

「ただなんで貴方たちがそこにいるの?」

私はこっそりと跡をつける二人に声をかける。バレてないとでも思ったのだろうか。

「はあ、ばれちゃったか。」

「バレたと言うよりまず隠れる気あるの?」

割とバレバレだったと思うけれど。寧ろこれに気づかない日野さんが鈍感すぎる。

「だから言ったのに、もっと慎重にいかないとって。」

浅野さんがここにいる理由は大体わかる。けど花園さんがここにいる理由がわからない。だがとりあえず二人に邪魔されるわけにはいかない。私はただ日野さんと二人で遊びたいだけなのに。

「と言うか、どうしてここがわかったの?行き先は教えなかったからわからないと思ったのに。」

「ふっふっふっ。柳さんの車は黒塗りだからすぐわかったよ。それにお金持ちの柳さんが行きそうな所といったら1番最初に思いつくのがここだったからね。」

「はあ。それで後をつけて何をするつもりなの?」

「別に邪魔するつもりはないから安心して。ただ二人が近づきすぎないように監視してるだけだから。」

「別に私と日野さんが近づこうが浅野さんに関係ないと思うのだけれど。だって二人は付き合ってる訳でもないでしょう?」

どうして浅野さんはそこまで日野さんに付き纏うのだろうか?普段から一緒にいるんだから少しくらい遠慮してくれてもいいのに。

「そうだけど私は咲が大好きなの。貴方には渡さないから。」

そう言って浅野さんは私を睨みつける。

「そういうことね。それなら私も負けてられないね。」 

私も浅野さんを睨み返す。

「蜜柑早く戻るよ。これ以上ここにいたら色々まずいから。」

「そうだね。咲が戻りそうだし私はまた隠れるとするよ。咲を泣かせたら許さないからね。」

浅野さんはそう言うとどこかに行ってしまった。大丈夫、日野さんは私が絶対に守る。

それから少ししたタイミングで日野さんが戻ってきた。

「ごめん、ちょっと列が長くて、遅くなっちゃった。」

「大丈夫だよ。それよりちゃんと買えた?」

「うん!読むのが楽しみで仕方ないよ。」

「それはよかった。それよりもっと近づいていい?」

「どうかしたの?」

「特に理由はないけど、仲良くなりたいから。」

「そっか。もっと近づいて大丈夫だよ。」

やっぱり日野さんは優しいね。どんなお願いも日野さんなら聞いてくれる気がする。そんな優しい日野さんだからこそ悪い人に騙されたり、酷い目にあったりしてしまう。だから今日は私がずっと隣にいる。




「ねえ。咲と柳さんの距離がもっと近くなったよ。どうしよう。」

咲はだいぶ焦っている。でもあたしからすれば寧ろ朗報だ。

「ああ。これは完全に見せつけられてるね。」 

「まずいよ。このまま咲が柳さんに乗り換えたらどうしよう?」

「そこまで心配する必要はないと思うけど。てかこのまま見ても咲が傷つくだけなんだから今日は帰ったほうがいいんじゃ。」

というか乗り換えるも何も咲は常にフリーだろ。

「いーや。それはヤダ。」

はあ、本当に蜜柑は頑固だなあ。まあでもそれが蜜柑の良さでもあるが。柳さんと咲の距離はどんどん縮まって行くし、このまま行けば本当にあるかもしれない。

「まあとりあえず飯でも食べようよ。アタシはもうお腹が空いて仕方ないよ。」

「それもそっか。なんだかんだ言って椿とこうやって二人でいるのも久しぶりだしね。ちょっと懐かしいねら、」

蜜柑はそう言うとアタシの手を握って歩く。そういうところがずるいんだよ。

「ん。あれってもしかして。」

二人で飯を食べようとお店の中に入る途中、私のお母さんを見つけた。こんなところで会うなんて最悪だ。

でもお母さん一人だけだった。おかしいな。

「どうしたの?椿」

「ああ、ちょっと嫌な予感がして。」




「本屋も行ったし、次は食事でも取らない?」

「うん。いいよ。」

そう言って柳さんは何やら高そうなレストランに入った。

「ここは?」

「私がよく行くレストランだよ。」 

柳さんって普段からこんな高そうなお店に行くんだ。

「よく知らないけどこういうのって高いんじゃ?」

「これくらいは奢らせてよ。」

「いや、それは悪いよ。」

「いいの、いいのそもそも残りの手持ちで買えるの?」

私は自分の財布を見てハッとした。さっきの服でお金はほとんど残っていなかった。

「バイト始めたら返すから。」

「日野さんは真面目だね。別に返さなくてもいいのに。」

柳さんは笑ってるがそれなりに高いし代わりに今度送りものでもしようかな。

「とりあえず好きなのを注文していいから。メニューもいっぱいあるからね。」

柳さんの言う通りいろんな食べ物がある。私はとりあえず1番美味しそうなオムライスカレーを頼むことにした。

オムライスとカレー、それぞれは食べたことがあるけれも一緒に食べたことはなかったから若干味の想像が出来なかったけど、二つのいいところを合わせた感じでとても美味しかった。柳さんを見てみるとハンバーグを食べていた。ナイフとフォークの使い方が綺麗でとても上品な食べ方だった。さすがお嬢様。

「ねぇ。口にお米がついてるよ。」

柳さんは笑って教えてくれた。とても恥ずかしい。 

「それにしても良かった日野さんが楽しんでくれて私も嬉しいな。もしかしたら私が今日誘ったの、迷惑かなと思ってたから。」

「ううん、そんなことないよ。とっても楽しい。もっと柳さんのこと知りたいから。」

「そう言われるとすごく嬉しい。」

柳さんは朗らかに笑った。

「いっぱい食べたしそろそろ出る?」

お腹いっぱいになった私達はレストランを出ることにした。

「それじゃあ、私が会計してくるから日野さんは外で待ってていいよ。」

柳さんが会計をしている間に私は先に外に出た。外に出ると近くで泣いてる女の子がいた。小学二年生くらいか。こんな小さい女の子が一人でどうしたのだろうか?

「どうしたの?お父さんとお母さんは?」

「お母さんと来たけどはぐれちゃた。」

女の子はそう言うとまた泣き出した。

「それなら私と一緒にお母さんを探そう。」

「本当?お姉ちゃん。」

女の子は顔を明るくする?」

「うん。その前に名前を教えてくれるかな?私は咲だよ。」

「私はみゆ。よろしく咲お姉ちゃん。」

「うん。それじゃあ探しに行こっか。」

「うん!ありがとう咲お姉ちゃん。」

私はみゆちゃんの手を優しく握ってみゆちゃんのお母さんを探しに行くのだった。




会計をすませた私は咲日野さんを待たせないように急いで外を出た。

「ごめん。待った?」

ってあれ?よく見ると日野さんがどこにもいない。トイレにでも行ったのかな?私は焦って周りを探したがどこにもいない。今護衛はみんな休憩に入っているし、少し危ないかもしれない。 

ここのデパートは大きいし、早く見つけなくてはいけない。

「待ってて、日野さん、早く見つけるから。」

とりあえず私は日野さんが無事なことを祈ることしかできなかった。

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