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はなかご  作者: 和音
第一章 初めての学園生活
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西園寺の苦悩

「助けてください!私も耐えられないんです。」

「えっと何があったんですか?」

西園寺さんは困った顔で私の手を握った。西園寺さんが私を頼るなんて、余程のことがあったんだろうか?

「馴れ馴れしく咲に触らないで。」

蜜柑はそう言って西園寺さんの手を払った。

「まあ!なんて野蛮な。」

「だって急に咲に触るから。咲は私のだから。」

「別に日野さんは貴方のものではないでしょう。」

このまま揉めると、ギスギスしそうだから、私は慌てて話をそらした。

「とりあえず中で話したいし二人とも一旦部屋に入らない?」

「ええそうですね。こんなところで争っていては、はしたないですしね。」

「元はと言えば西園寺さんが急に押しかけるからじゃん。私は咲とこのあと遊ぶ予定あるのに。」

「それくらい我慢して貰えませんか?私だって一刻を争っているんです。」

「まあまあ、2人とも落ち着いて、とりあえず部屋に入ってからで。」

2人ともすでにギスギスしてるしこの後大丈夫か不安でしかない。私がなんとかして止めないといけない。

私はとりあえず2人を席につかせ西園寺さんの話を聞くことにした。

「それで私達に相談したいこととは?」

「それが知っての通りここの寮は二人で一つの部屋じゃないですか。なのでパートナーと仲良くすることが大切だと思うんですよ。」

「そうですね。共同生活をするからには意思疎通できないと困りますよね。」

私は蜜柑と仲がいいから毎日楽しく過ごしている。もしかして西園寺さんはパートナーとうまくいってないのだろうか。

「その点私達は仲良しだもんねー。」

蜜柑は笑顔で私にくっついた。

「そうなんですよ!私もそう思って、よく話しかけてるんですけど、全然返事はしてくれないし、声は小さいし、挙動不審だしで全然意思疎通できる気がしないんですよ。」

「そ、それは大変ですね。」

「ええ。それはもう生活しづらくて、このままじゃお互いに苦しいと思うんですよ。それでいっつもくっついて仲良さそうな二人に相談したいなと思いまして。」

「まあそう言うことなら、私と咲が助けてあげるよ。とりあえず西園寺さんのパートナーって誰なの?」

「影山杏さんです。ほら、集会で一度あったでしょう。」

「あー。あのおどおどしてる子かー。」

「はい。私が何か質問しても、全然答えてくれないんですよ。日常会話もままならなくて。」

「なるほどねー。でも西園寺さんの方から話しかけて、返事してくれないならもう無理なのでは?」

蜜柑はすでに諦めかけていた。いや、もう少し真剣に考えてあげて欲しい。

「だから困っているんですよ。そもそも二人はどうやってそこまで仲良くなったんですか?」

そう言われて私と蜜柑は頭を傾げる。

「どうやってて言われてもねえ。なんか喋れば喋るうちにお互いのことを知って、それで気づけば仲良くなってたからね。」

「うん。まず蜜柑がぐいぐい来るタイプだったし、私もお喋りするの好きだったから、気づいたら仲良くなってたよね。」

「それはなんと羨ましい。私は一人でいる方が好きなタイプですし、影山さんも多分同じタイプでしょう。そもそもあちらが返事に答えてくれない限りは意味がない気がします。」

何か策はないだろうか。とりあえず影山さんの視点で物事を考えるとこにする。

「今の話を聞く感じ影山さんの方に問題があるように感じるけど、もしかしたら西園寺さんの方にも問題があるんじゃない?」

「どういうことでしょう蜜柑さん?私に何か問題があるでしょうか。」

「そうだね。例えば西園寺の言い方がキツかったり、顔が怖かったりしてたとか。」

「私は普通に接してるつもりですけど。」

「意外とそういうのって自分じゃ気づかないものだよ。ねえ咲?」

「まあ確かに西園寺さんって凛としてるから、勘違いされるのかも?」

確かに西園寺さんは少しキツイ顔にも見える。

「なるほど。そう言われてみると私にも落ち度あったのかもしれません。」

「試しに一回笑ってみて。」

「笑顔?それくらいならできますよ。」

西園寺はそう言って笑って見せたが確かに少し怖いかもしれない。

「それじゃあだめだよ。もっとにこやかに笑わないと。」

蜜柑は試しににこやかに笑って見せた。

「うっ、眩しい。これが光属性ですか?」

「何変なこと言ってるの。とりあえず笑顔をもっと自然にしないと。あと西園寺さんはなんか堅苦しい気がする。」

「なるほど堅苦しいですか。言われてみるとそうかもしれないですね。」

「西園寺さんってもしかして友達がいない?」

「失礼な。それなりにはいますよ。」

「本当かな。そんな堅苦しいのに。」

「あなたのように軽そうな感じなのもどうかと思いますが。」

「それの何が悪いの堅苦しい方がいやでしょ。」

二人が言い争いをしてまたギスギスしそうになったので私が間に入った。やっぱりこの二人は気が合わないのかもしれない。

「まあまあ。喧嘩はこの辺にして話を戻そうよ。そうだ!二人に何か共通の趣味とかないんですか?」

「そうだよ。二人に何か共通の趣味があれば一気に話しやすくなるんじゃない?一緒に生活してたら、影山さんが何してるかわかるんじゃないかな?」

「そうですね。影山さんはいつもパソコンで何かやってますね。あとはゲームをよくしてる気がします。でも私はパソコンには詳しくないですし、ゲームもしたことないので趣味で話すのは難しいかもしれません。」

「それなら私もゲームしていいですかって言えばいいじゃん。」

「そんなこといってもまた逃げられるだけだと思うんですけど。」

「いーや。案外趣味のことだとちゃんと話してくれるかもよ。試したことはあるの?」

「言われてみればないかもしれないです。」

「でしょ。だから今度はゲームをしようって言えばいいんじゃない。」

「なるほど。咲さんはどう思います?」

「うん。いいと思いますよ。というか、影山さんの趣味を調べるために、私と蜜柑で今から影山さんのところに行きましょうか。」

私がそう言うと西園寺さんは目を光らせて、私の手を握る。

「いいんですか!それは頼もしいです。ぜひお願いします。」

「ねえ、私の咲に触らないでよ!」

「だから咲さんは貴方のものじゃないでしょう?」

まずい。このままじゃまた喧嘩してしまう。私は急いで蜜柑を引っ張りドアを開けた。

「じゃあ私と蜜柑で行ってくるから、待っててください。」

「ええ。本当に感謝します。」




私と蜜柑は外に出て西園寺さん達の部屋に向かった。

「はあ。なんで私たちがこんなことを。」

「まあまあ。寮の仲間なんだし、お互い支え合わないと。」

前から西園寺と影山さんともお話ししたいと思っていたから丁度いい機会だ。

「本当咲はお人好しだよね。まあそこが咲のいいところでもあるけど。」

「てか、ああは言ったけど、影山さんが私達の話を聞いてくれるかな?」

「そこ考えてなかったんかい。咲ってばそういうとこ抜けてるよね。まあ私に任せてよ。私のコミュ力でなんとかするから。」

「さすが蜜柑。頼もしいよ。」

話してる内に西園寺さんの部屋に着いた。私はとりあえず玄関のチャイムを押した。

少しの時間がたって、影山さんが出てきた。私はただうまくいくのを願うのみだった。

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