入学式
ついにこの時が来た。今日は待ちに待った入学式だ。
窓を開けるととても暖かい日差しが部屋に入ってくる。桜がひらひらと舞い散り、絶好の入学シーズンだった。気持よく目覚めたのでとても清々しいく一日にを過ごせそうだ。
「蜜柑早く起きてー。遅刻しちゃうから。」
「うーん、あと5分だけだからむにゃむにゃ。」
蜜柑はいつもどおりまだ起きてない。とりあえず私はトーストとハムエッグを食べてニュースを見ていた。
「今月はなんといっても入学シーズンです!今日はいろんな学校を紹介していきましょう!」
今はちょうど入学シーズンだからか、地方の学校の紹介がされていた。もちろんこの学校も紹介されている。特にこの学校は有名校なので一番に取り上げられていた。やっぱりこの学校は有名なんだなとしみじみしていると蜜柑が起きて来る。
「おはよー、咲。」
「遅いよ蜜柑。」
「いやいや私にしては早いよ。」
「もう。ご飯できてるから早く食べて支度するよ。」
最近は私がご飯を作っている。本当は二人で料理をするのが理想的だが、この前蜜柑に料理を作らせようとしたら、あまりに壊滅的すぎたので今は蜜柑をキッチンに入れないようにしてる。今度蜜柑をお料理教室にでも通わせようかな。
「やったー。咲のご飯美味しいから好き。」
そう言って蜜柑は朝ごはんに手をつけた。私もご飯を食べながら学校のことを考える。
「それにしても今日は緊張するなあ。怖い人とかと会わないといいけど。」
「でも、私達は見てるだけでいいからそんなに緊張する必要はないよ。それに変な人がいたら私が守るからさ。」
蜜柑はそう言うけど、それでも緊張してしまう。
「さて次のニュースです。学生の皆さんは入学シーズンと言うこともあり、とても楽しみだと思いますがなんと最近この街で不審者が現れたとのことなので皆さん細心の注意を払いましょう。不審者は女子学生を狙うとのことです。」
「えっ、きも。この町は変な人が多いからなあ。」
「うわぁ、不審者怖いな。」
田舎にはあまり変な人がいなかったらやはり都会は怖いと感じる。私が心配そうに言うと、蜜柑が抱きついて来た。
「安心して、私が一生隣にいて守るから!」
「気持ちは嬉しいけれどそこまでしなくても大丈夫だよ。」
「そんなことない!この前だってナンパされそうだったんだし、ちゃんと危機感を持たないとだめだよ。特に咲は絶世の美女なんだから。」
絶世の美女って、大袈裟すぎでは?
「いやそんな褒めないでよ。あと、それを言ったら蜜柑だって可愛いんだから狙われるちゃうよ?」
「その時はまあ武術でなんとかするから」
「いやすごい武力的!」
そんな風に2人で雑談しているとインターホンが鳴った。
「誰だろう?茉莉かな?私が出るよ。」
そう言って蜜柑が出て行ったので私は制服に着替えて整えていた。とりあえず鏡で全体を見てみるがとりあえず変なところはなかった。これなら恥をかくことはなさそうだ。
「おーい、咲。西園寺さんが咲に用があるってー。じゃあ私は準備してくるからね!」
西園寺さんが?何の用だろう?とりあえず私は玄関に向かった。
「日野さんおはようございます。」
私が玄関に行くと制服姿の西園寺さんがいて私に気づくと軽くお辞儀をした。相変わらず西園寺さんは気品があり美しい。
「おはようございます。朝からどうしたんですか?」
「それがその、なんというかお願いがあって。」
西園寺は困ったように言った。
「何か困ったことでもあるんですか?お願いなら聞きますよ。」
西園寺さんは言いづらそうにしながらも口を開いた。
「今日入学式ぐあるでしょう?その入学式で入学生の挨拶があるのですが、その挨拶を私と私の友人がする予定だったのです。しかし、私の友人が体調を崩してしまったので代わりを探してるんですが誰もやりたくないようで。」
まあ、確かに急にやれって言われてもやる人はいないかもしれない。私もあまり人前に出るのは得意ではないけれど、困ってる人を見過ごすわけにもいかないから引き受けることにする。それにこういったところで先生への好感度を稼いでいくことも大事だから。
「なるほど。私は全然大丈夫ですよ。」
私が承諾すると、西園寺さんは顔を明るくした。西園寺さんってこんな表情もするだ。
「本当ですか?ありがとうございます。感謝してもしきれません。」
「でも何を話せばいいんですか?」
「そんな緊張しなくても大丈夫ですよ。自己紹介と意気込みだけでいいと思いますよ。」
挨拶と聞いてもっと堅苦しくて長文を話す感じかと思っていたので安心した。
「お礼は後日するので今日はこの辺で。それではお互い良い学校生活をしましょう。」
そう言って西園寺は帰って行った。いやそれにしてもまさか私がみんなの前で話すことになるなんて。また緊張してきた。
とりあえず私はドアを閉め、部屋に戻る。部屋に戻ると蜜柑がココアを飲んでくつろいでいた。
「あっ!話し終わったんだね。何の話だった?」
「今日私が入学生の挨拶することになっちゃって。」
「本当!咲すごい!頑張って応援してるね。」
「うん頑張るよ。じゃあそろそろ行こっか。」
「うん!」
蜜柑は私の手を引いて、外に出た。
「それにしてもぽかぽかだねー。お花見日和だよ。」
私達は学校を向かって歩くがとても温かくて丁度いい気候だ。桜ももう少ししたら咲くだろうし楽しみだ。
「それなら今度お花見行く?」
「うん、行く行く!茉莉と椿を誘ってみんなで遊ぼうね。」
寮から体育館は10分くらいで着くのでゆっくり雑談しながら歩いていたのだが、やたらと男子に話しかけられる気がする。
「ねえ君たち可愛いね。何年生なの?連絡先交換しない?」
「あっ、そう言うのいいんでどいてください。時間の無駄なので」
蜜柑が冷めた感じで口にすると男子達は慌てて戻って行った。てかこんな冷めてる蜜柑初めて見たかも。蜜柑の知らない一面がしれて少し嬉しい。
「ありがとう蜜柑断ってくれて。私1人だと無理だったかも。」
「大丈夫!咲に近づこうとする男どもは私が蹴散らすから安心して。」
蜜柑がとても頼もしい。そのあと蜜柑が咲は私のだからと言ってたけどそれは聞かなかったことにしよう。
そんな感じで咲と歩きながら先輩たちとおしゃべりして、蜜柑が男子を払ってる内に体育館に着いた。
「よーし着いたー。それじゃあ咲は発表頑張ってね!」
蜜柑はそう言って私の肩をポンポンと叩いて応援する。蜜柑のおかげで少し勇気が持てた気がした。
「うん、頑張るからちゃんと見ててね。」
「うん!また後でねー。」
私は蜜柑に軽く手を振って別れる。
「それでは今から入学式を始まります。」
私が裏で待機していると、入学式の始まる合図がした。
まず最初に生徒会長の挨拶から始まった。
「初めまして。私は生徒会長の朝日里奈と申します。
新入生の皆様はとても緊張してると思いますが、余り緊張せずにリラックスしましょう。」
生徒会長は黒髪ロングのストレートでとても優しそうな人だった。それに朝日里奈という名前は何回か聞いたことがある。
「それでは次に新入生の日野さん、西園寺さん挨拶をお願いします。」
生徒会長の合図と共に私と西園寺さんはステージの前に出た。西園寺さんは緊張してなさそうだったが私は緊張で少し震えていた。それでも蜜柑のことを思い出して緊張を和らげる。
「初めまして私は西園寺と言います。私はこの学園で清く正しく生活できるように努力します。」
西園寺さんは凛とした声で堂々と話す。西園寺の後に私も続けるだろうか。私も緊張していたが、それでも頑張って声を出す。
「私は日野咲です。わからないことだらけですが、精一杯努力していきたいと思います。勉強も部活も両立できるようにしたいです。」
少し大声を出しただけなのに緊張したせいで大量の汗が流れる。私達の挨拶が終わると大きな拍手をもらって清々しい気持ちになった。良かったブーイングとかなくて。
入学式が終わり、ついに始まるんだなと期待に膨らませるのだった。




