大切な友達
蜜柑視点です。
「明日はついに入学式かあ。楽しみだね咲。」
「うん!馴染めるか心配だけどね。」
「咲なら大丈夫だよー。隣に私もいるしね。」
「ありがとう蜜柑、心強いよ。」
「それじゃ今日は早く寝よっか。」
「そうだね。おやすみ蜜柑」
「おやすみ。」
そう言うと咲はすぐに眠りに着いた。よほど疲れていたんだな。咲と再会して一週間経つけどこの一週間忙しかったもんなあ。あそっか、咲は私と会ってること忘れてるのか。私は咲と出会った時のことを思い出してしんみりとする。咲は私を変えてくれた大切な人だ。
それより今日私はものすごく怒りに満ちていた。楓先輩が昔の私ことを話そうとしたこと、あの時はすごい焦った。昔の私のことは咲に知られたくない。だから何としても隠さないといけない。
私のお父さんは会社の社長で私はいわゆるお嬢様だった。欲しいものは基本的に買ってもらえるし不自由なことはなかった。それゆえに私の周りにはいつも金や権力目当ての人しかいなかった。特に私よりもはるかに年上の人が私に媚びている時は吐き気がした。その上お父さんはとても厳しい人でいつも私に完璧を求めていた。少しでも私がミスをするとお父さんは酷い目で私を見る。そんなお父さんに対して私も最初は期待に答えていた。ピアノや書道など様々な習い事をこなしてパーティーなどにも毎度参加した。それでも途中から私はお父さんの何なのかを考えるようになっていた。あの頃から私にはもう夢も希望もなかった。お母さんはものすごいクズでわがままな上浮気ばっかしてた。私はお母さんが浮気していることに気がついていたけど父は知らないようでそれをいい気に母はずっと浮気をしていた。私はそんな両親も硬いマナーも周りの期待も全部がいやで仕方なかった。
私は昔はもっと暗くて怖い感じだった。笑顔は一切見せなかったし、すごい嫌なやつだったと思う。あの頃の私を咲が見たらきっと驚くだろう。あの頃から友達はいたけど本当に大切な友達はいなかった。みんな私に媚びを売る人ばかりでそれが気持ち悪かったから。あの頃は椿とはただの悪友だったし麻莉ともただのバスケ仲間だった。もちろん椿達といる間は楽しかったが友達と言っていいかは怪しかった。しかしそんな私を変えてくれたのが咲だった。人が怖かった私に寄り添ってくれた。自分を守る方法を教えてくれた。あの時の言葉を私は忘れない。咲は私のこと覚えてないっぽいけど関係ない。私が咲を守る。咲を嫌な目には合わせない。
それにしてもまさかこの学校で咲と会えるなんて思わなかった。今でも夢かと思う時がある。だから霞先生にルームメイトを聞いた時はびっくりした。まさかルームメイトが咲だなんて。しかもその後霞先生があんな事を言うなんて思わなかった。霞先生の言葉に私は頭が真っ白になりそうだっし、霞先生と咲がどんな関係かわからなかったけどそれでも私は約束を結ぶしかなかった。私が咲と一緒にいるにはそれしかないから。それに咲が私を覚えてなくても私が咲を覚えていれば大丈夫。それだけだ。
それとまさかアザミ先輩もこの学校にいるとは思わなかった。私はあの人を許さない。昔のこともあるし、それにあの人は咲を傷つけそうだった。だから本当は咲は部活に入って欲しくなかった。今日のことで諦めて欲しかった。だけど咲がどうしても入りたいと言うなら私があの人から守り抜かなければいけない。
それでもやっぱり明日が楽しみだった。咲と同じ学校で学べると考えたら嬉しくてしょうがなかった。咲と椿と麻莉の4人なら絶対楽しいだろうなとワクワクしていた。私はこの思いを胸に深い眠りにつくのだった。




