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はなかご  作者: 和音
別れの季節
107/109

文化祭パーティー

視点がころころと変わります。

「やっと今日の主役が来たよ。って二人共顔が赤くない?それになんか距離も近いし。」

「そんなことないよ。いつも通りだよね咲ちゃん?」

「う、うん。特に何もなかったよ。」

安立さんの質問に私はドキドキしながら答えた。今の私はひまりを直視することが出来ない。屋上で突然キスなんてされたらこうなって当然だ。

ひまりは私に好きと言った後にキスをしたがもしかしてひまりの好きはそっちの意味の好きなのだろうか?

「二人共文化祭お疲れ様。今日はいっぱい楽しもうね。」

私とひまりが教室に戻るとそこにはクラスのみんなが揃っており、教室全体が綺麗に飾られていた。私もこのことを知らされていなかった為、本当にビックリしている。

それとさっきからひまりがずっとくっついてきて恥ずかしい。みんな見てるというのに今日のひまりは大胆すぎる。

もしひまりの好きが本当に恋愛としての好きなら私はどうすればいいのだろうか?

「とりあえず今からはひまりのお別れと文化祭が無事に終わったことを記念してみんなでパーティーをするよ。ほら主役のひまりと咲はここに座って。」

私とひまりは蜜柑に無理やり連れて行かれて真ん中の椅子に座らされた。とりあえず今はこのパーティーを楽しむことにした。

周りを見るとクラスメイトだけでなくなのちゃんや椿までいた。

「みんな本当にありがとう。あたしのためにここまでしてくれるなんて。それなのにあたしは何も言わずにいなくなろうとして。」

まだパーティーは始まったばかりだというのに既にひまりは泣きそうになっていた。

「はいはい。ひまりってばすぐに泣こうとしないで。ここからが本番なんだから。」

「椿の言う通りだよ。今からみんなでたくさん思い出を作るんだから泣くのはその時だよ。」

すでに泣きそうになってるひまりを見るとなんだか嬉しくなる。ひまりがこうやってみんなと楽しそうにしてて良かった。

クラスメイトのみんなもひまりに優しく話しかけていた。前までは大勢に話しかけられるのを嫌っていたのに今は楽しそうに話していた。

特に蜜柑と椿と話してるひまりはいつも以上に生き生きとしていた。流石幼馴染と言ったところか。

「それにしてもひまりは分かるけどなんで私まで主役なの?」

「そりゃあ、日野さんが劇の主役だからね。日野さんのおかげで後夜祭も二位になれたし。」

劇が終わってすぐに後夜祭を抜け出したから結果を見ていなかったがまさか二位だったとは。確かに周りの評判はすごく良かったがここまでとは思っていなかった。私はただひまりに届く劇をしただけなのに。

「流石咲ちゃん。初めての劇で二位を取るなんてすごいよ。」

「でも私だけの成果じゃないよ。これもみんなが協力してくれたおかげだから。」

ずっと練習に付き合ってくれた東くん達やアドバイスをくれた空ちゃんがいてくれたおかげだ。だから今回のパーティーはみんなが主役と言ってもいい。

「よーし、それじゃあ色んな料理を用意したから好きなだけ食べてね。ご飯の後はみんなでゲームでもしよっか。」

安立さんの掛け声と共に一斉にみんなが騒ぎ出した。この騒がしさも私達のクラスらしくて好きだった。

バイキング式でみんなが好きなご飯を取っていく。私もとりあえずお腹すいたし何か食べたかった。

「咲っちの劇とっても良かったよ。鈴っちと空っちもベタ褒めしてたんだから。」

「わっ、急に抱き付かないでよ。ビックリしちゃうじゃん。」

私が椅子から立ち上がると同時になのちゃんが抱きついてくる。なのちゃんも相変わらずのスキンシップで困ってしまう。ただでさえ今はひまりのせいで限界だと言うのに。今抱きつかれると全て勘違いしてしまいそうだった。

「せっかく咲ちゃんと会えたんだからこれくらいはいいじゃん。それに私達も色々と頑張ったんだから。」

「その件に関しては感謝してるよ。なのちゃんも色々と手伝ってくれてありがとうね。」

三人共私達の為に手伝ってくれており、頭が上がらなかった。なのちゃんは接客、鈴ちゃんと空ちゃんはひまりの件で特にお世話になった。

「まあ、困った時はお互い様だしそんなに気にしないでいいから。中学の頃とかよく咲っちが助けてくれたしね?」

なのちゃんの言う通り私たちの間で悩み事は禁止で困った時はお互い様というルールだった。

「それにしても空ちゃんと鈴ちゃんの姿が見えないけどどこにいるの?」

辺りを見渡しても二人の姿は見えなかった。二人とも今日はホテルに泊まると言っていたし時間的にもまだ帰るには早い気がする。

「ああ、二人は行かないといけない所があるって言って何処かに行っちゃったよ。まあ、その内帰って来るだろうから今はこのパーティーを楽しもうよ。」

そう言って呑気に笑うなのちゃんに私まで釣られて笑ってしまう。なのちゃんといると自然と明るくなる。

「なのちゃんは相変わらずだね。なのちゃんといるとなんだか落ち着くよ。」

なのちゃんの言う通り今はこのパーティーを楽しみたかった。だってこれが終わったらひまりやなのちゃん達と当分会えなくなるのかもしれないのだから。

「私も今日一日みんなと一緒にいて幸せだったよ。私もみんなといると安らぐから。ほら、私達って中々四人揃わないでしょ?」

「そっか、私達はやっぱり離れても仲良しのままだね。」

なのちゃんも私と同じことを思ってくれて安堵する。なのちゃん達と離れ離れになった時は不安だったがみんな全く変わってなくて良かった。これからも定期的にみんなと会えたらなと思う。

「そうだね。また二人が戻ってきたら記念写真でも撮ろうよ。」

「もちろんだよ。絶対だからね。」

私となのちゃんは小指を結んで約束をした。小さい頃私となのちゃんはよくこうやって約束していた。

「咲、みんなで写真撮るよ。早くこっち来て。」

私となのちゃんが話していると蜜柑が私を呼ぶ声が聞こえる。そこにはすでにほとんどの人が揃っていた。

「待って今すぐ行くから。ほら、なのちゃんも行くよ。」

「うん。それじゃあ手を繋ごうよ。」

私はなのちゃんの手をぎゅっと握った後、笑顔で手を振る蜜柑達の元に急いで向かった。









「そこにいたんですか楓先輩。みんなが探していましたよ?」

「あっ、椿ちゃんだ。もしかしてわざわざ私を探してくれていたの?」

無邪気に笑う楓先輩にアタシは苛立ちを隠せなかった。この人の自由さにアタシは呆れていた。

「楓先輩がすぐにどこか行くから困ったものですよ。今蜜柑の教室でパーティーを開いてるので楓先輩にも来て欲しいんです。」

蜜柑に楓先輩を探してこいと言われて学校中を探し回ったがやはり屋上にいた。この前もそうだが楓先輩も屋上によく居座っているのだろうか?

「そっか、そう言うことなら今すぐ向かうことにするよ。ただその前に椿ちゃんに言っておきたいことがあるんだ。」

「何ですか?どうでもいいことだったら怒りますよ。」

アタシは足を止めて楓先輩の話を聞く。また変なことを言うのであればその時は無視するつもりだ。

「実はさっきひまりちゃんが咲ちゃんに告白してるのを見ちゃったんだ。」

アタシは少しだけ驚いたがすぐにいつもの表情に戻った。

「そうなんですね。ひまりも意外とやる時はやるんだ。」

二人が教室に戻った時から様子がおかしいと思ったがやはりひまりが告白していたのか。

ひまりは今まで蜜柑のことを思ってか躊躇っている節があったがようやく吹っ切れたようだ。とはいえあの様子だと成功はしてない様に見える。

おそらく咲が鈍感すぎて告白に気づいていないとかだろう。それでその後にひまりがキスしてお互いに気まずくなったのだと思う。

「あれ?思ったより驚かないんだね。だってあの大人気女優のひまりちゃんが告白したんだよ?」

「ある程度こうなることは分かっていましたから。それよりアタシは何で楓先輩がそのことを知っているかの方が気になります。」

アタシは平然と笑っている楓先輩を睨む。この先輩が何を考えているか分からない。もし咲達に何かするつもりなら許さない。

「そんな怖い顔しないでよ。偶々屋上で休んでいたら二人が来たから咄嗟に隠れてただけだよ。」

「そもそもその時間に屋上は空いていない筈ですが?それに楓先輩は劇が終わってからすぐに何処かに行きましたよね。」

おそらく真っ先にここに向かったのだろう。どこで知ったか知らないが二人が屋上に行くことを分かった上で。

「まるで私が全部分かっていた上で行動したみたいに言わないでよ。本当に偶然が重なっただけだから。」

明らかに嘘に決まっている。明らかに確信犯なのは見て分かる。その上で目的が分からないが。

「とりあえずこの話は終わりにしましょう。早く教室に向かわないとみんなが困りますので。」

「本当はひまりちゃんが咲ちゃんに告白した時安心したでしょ?」

「はい?何を言ってるんですか。」

楓先輩の言葉にアタシは再び足を止める。楓先輩が一体何を言っているのか分からなかった。

「椿ちゃんって蜜柑ちゃんのことが好きでしょ。だから本当は咲ちゃんとひまりちゃんが付き合ったらいいのにとか思ってるんじゃない?」

「そんなこと思ってないですよ。アタシはひまりと蜜柑の両方の恋を応援してますから。」

確かに最初内心では少し嬉しいと思ってしまった。それでも蜜柑が咲のことを好きならアタシは蜜柑の恋も応援したい。だからアタシがその間に入る余地なんてなかった。

「それだと椿ちゃんが不憫だよ。椿ちゃんももっと積極的になればいいのに。」

「そんなことアタシには不要です。これ以上揶揄うなら怒りますよ。」

ずっと笑っている楓先輩にアタシはもう我慢が出来なかった。何も知らない癖に好き勝手言われてイライラする。

「そっか、これ以上は踏み込んだらダメみたいだね。それじゃあ気を取り直して咲ちゃん達の教室に向かおっか。」

「チッ、咲達にも変なことを吹き込まないでくださいよ?」

「もちろんだよ。これ以上は何もしないからそんな怖い顔で私を見ないでよ。」

そう言って教室へ向かう楓先輩の後をアタシもゆっくりとついて行く。

どこまでが本気か分からない楓先輩に大きなため息を吐く。この三人がどうなろうとアタシが蜜柑と付き合うことは絶対にないと思う。

だって蜜柑の目には咲しか映ってないのだから。









「ほら、みんな集まって。みんなで記念写真を取るよ。」

「それじゃあ主役のひまりと咲は真ん中だよ。」

蜜柑ちゃんに言われてあたしと咲ちゃんは真ん中に立つことになった。今からみんなで写真を撮るということで周りは今まで以上に盛り上がっていた。

ただ椿ちゃんが教室を出て行ったきり帰ってこなかった。本当はすぐにでも二人と長くお話しがしたかったがそれぞれ別の人と話していた為、中々話せるタイミングがなかった。

「ごめん、色々あって少し遅れた。」

「みんなを待たせちゃってごめんね。少しゆっくりしてたから。」

あたし達が写真を撮る準備をしていると少し遅れてから椿ちゃんと楓先輩がやって来る。今の椿ちゃんは何だか浮かない顔をしていた。さっきまで普通だった筈だが屋上で何かあったのだろうか?

「うーん、まだ揃ってない人が少しいるけど一旦みんなで写真を撮ろっか。」

安立さんがカメラを向けてアタシ達はそれぞれポーズをとった。

「ほら笑って笑って。ハイチーズ。」

安立さんがシャッターを押すと同時にアタシは今まで我慢していた分、盛大に笑った。これは演技とかではなく素のアタシだった。こんなに笑うのはいつぶりだろうか?

「ひまり?どうしたの?」

咲ちゃんが心配そうな顔でアタシを見つめる。笑って楽しんでアタシは幸せだ。その筈なのに。

「あれ?なんでアタシは泣いてるんだろう?」

気がつけば涙が溢れて止まらなかった。こんなに楽しくてこんなに幸せなのに。

いや、涙が流れている理由なんてとっくの前に気づいている。

「うう、やっぱりみんなと別れたくないよ。転校なんて嫌だよ。」

「ひまり大丈夫?今は私がついているからね。」

私が泣き崩れると咲ちゃんが頭を優しく撫でてくれる。泣かないと決めたのに結局守れなかった。これじゃあただアタシが傷つくだけなのに。

「咲ちゃん、心配かけてごめんね。あたしはもう苦しいよ。」

「そうですか。それなら全て壊せばいいんですよ。」

アタシが涙を拭いていると教室に篝さんと空ちゃんが入って来る。

篝さんはアタシの目を見て優しく笑っていた。

それと二人の後ろに誰かいた。

「ひまり、探したわよ。まさか貴方がこんな所で泣いているとはね。」

「お母さん?何でここに。」

アタシは何故か教室に入ってきたお母さんに唖然とすることしか出来なかった。

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