第93話 ドラゴンゴーレム作成を中継するぞ配信(1)
「おはうおっち! 錬金術師系配信者の『あるけみぃ』です!」
(※)『お久しぶり~!』『あるけみぃが来るのは久しぶりだな!』『今日はなんだろ? なんだろ?』『20万人突破おめ~』『あっ、そう言えば登録者がそんなに増えてたかぁ~』『ベータちゃんやガンマちゃんが、日々お菓子を作ってたりするからな』
どうも、久しぶりに配信をしようとしたら、登録者数がえらいことになっていて驚いているススリアです。
-----え?! 登録者数20万人?!
そっ、そんなにいっぱい登録してるの?!
ちっ、違う! 違うんだ!
これ以上話していると、案件の事を忘れてしまいそうだ。
さっさと、本題に入る事にしよう。
「今日の配信は、特別企画! 新種のゴーレム作成配信です! そのゴーレムとは、『魔物ゴーレム』になります!」
(※)『魔物ゴーレム?!』『ゴーレムも魔物では?』『つまり、ゴーレムゴーレムって事かな』『魔物魔物でもあるよ』『どちらも変な感じがするな』
「では、魔物ゴーレムについて説明させていただきましょう」
私はそう言って、ゴーレムには3種類ある事を説明する。
1種類目は、マッドゴーレム。本来の、魔物のゴーレムといえば、このマッドゴーレムが該当する。
簡単に言えば、身体のほとんどが土、もしくは泥などの自然物で合成されているゴーレムの事であり、『泥の魔人形』という名前ではあるが、身体が水や炎など、自然物であるならば分類的には、全てこのマッドゴーレムに当たる。
私が以前に冬ブロック3人衆との模擬戦に使った3人衆をモチーフにしたゴーレムはこれに当たる。
2種類目は、アイアンゴーレム。ベータちゃんやガンマちゃん、私が【アルファ・ゴーレムサポートシステム】を用いて作成するゴーレムはこれらに当たる。
マッドゴーレムが自然物だとすれば、こちらは金属などの人工物。それらを基に作ったゴーレムがこれに当たり、主に錬金術師や魔術師などが助手代わりに作るのが一般的だ。
そして、最後の3種類目。フレッシュゴーレム。
これは人間や魔物などの骨や死肉など、元々は生物であった者達のモノを使って作るゴーレムであり、今回はこのフレッシュゴーレムを作ろうという事である。
「しかしながら、フレッシュゴーレムはあくまでも死肉を使っているのですが、今回は魔物の生体、つまりは生きている生物とゴーレムを融合させようという事です」
(※)『融合?!』『また変な事を始めたぞ、こいつ』『そもそもベータちゃん達ですら、凄いのに……』『というか、共和国の食堂で働いているゴーレム見たぞ!』『ドラスト商会だろ?! 最近、一般客が並びまくってたし』『なんか別店舗を運営する勢いの並びだったな、あれは』
なんか説明している最中に、思いかけずドラスト商会に納品したジュールちゃんの絶好調っぷりを聞けたところで、私はここでメインゲストを紹介する。
「では、メインゲストを紹介しよう! 今回の魔物ゴーレムに欠かせない魔物の部分、ドラゴンの卵くんだぁ!」
パチンっと、指を鳴らすと、後ろからササっとベータちゃんがドラゴンの卵を載せた台車を押して登場する。
そして画面中央に台車をセッティングすると、ベータちゃんはササっと裏に帰って行った。
コメントから帰らないで欲しいというモノが大勢見えるが、今日の配信の目玉はこちらなので、ベータちゃんにはお別れいただこう。
「こちらが、ドラゴンの卵! 先日私が『錬金術師大会』で優勝して勝ち取った上級魔物、ドラゴンの卵である。
このドラゴンが誕生する瞬間、私が置いておいたゴーレムの素材を融合させ、魔物ゴーレムを誕生させようという感じです!」
分かりやすい例を挙げれば、フランシアちゃんの獅子の髪に近い。
あれは呪いによって髪の毛に獅子という性質を与えられた訳だが、今回するのはドラゴンの一部を魔道具に変換するという感じだろうか。
「この技術を確立することが出来れば、魔物ゴーレムの価値は大きく上がります!
たとえば懐きやすい魔物を自分好みにカスタマイズしたり、あるいは声帯を真似する魔物にゴーレム技術のように伝書鳩のように飛ばす仕組みを入れたり、ね」
人の声を真似するという魔物は存在する。
そのうちの1つに、人の声を真似した豚型の魔物がおり、そいつらは歌声が良いほど肉質が美味しいという変わった魔物である。
その魔物に羽を生やすなどして、人の声真似をして秘密事項を伝言する豚型魔物とかに使えそうである。
まぁ、それなら普通に配信を使えば良いんだし。
色々と活用法は、あとで知っている人が考えてくれる方針でいくとしよう。
「----さて、それではこれより魔物ゴーレム、もといドラゴンゴーレムを作成させていただきましょう!」
私はそう言って、ドラゴンゴーレムを作り始めるのであった。
(※)【メロディーピッグ】
人の声を真似する、豚型の魔物。最近では、畜産業としてこの魔物を飼う家庭も少なくない
特に女の人の歌声を真似する事が多く、歌声が上手ければ上手いほど、美味しい肉質になるとされているため、この豚の魔物を畜産にしているモノは歌姫の配信を聞かせることが多い
ちなみに、豚としての大きさは肉質に関係なく、歌声の上手さで美味しさが変わってくるとされている




