表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/406

第90話 ヴォルケーノドラゴン討伐大作戦配信(3)

 ----カイが放った炎が辺りを包む。


 そこはまさに、火山による被害に遭った火炎地帯。

 ススリアを中心とした半径300kmが火の海と化し、その様子をカイは『ガハハっ!』と勝利に浮かれていた。


『どうだ、見たか! これこそ、最強種たるドラゴンの力! いくら強かろうが、人間があの火炎の中、生きているはずがない! この勝負、この最強種たるカイ様の勝ちだ!』


 ----ずずんっ!


『なっ----?!』


 次の瞬間、カイの身体に亀裂が走る。

 そう、アンオブタニウムという、物凄い硬い身体を持つはずのカイの身体が、だ。


 カイの大きな身体----それを浮かせるための大きな翼が、真っ二つに、身体から斬り落とされていた。

 どっしゃぁんっと、一対の翼が落ちると共に、カイの身体も地面へと落ちて来た。


『なんだ、なんだ?! なんでいきなり、翼が斬り落とされた?! 我が翼、そんなに簡単に落とせるはずないぞ!』


 『どうした、これ?!』と、身体を慌てて確認するカイ。

 


『それが斬れるから、こういう事態になったんじゃないの?』



 そう言ってススリアは、双剣と共にカイの前に姿を現すのであった。




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




『ふぅー、ちゃんと斬れたようですね』


 (ススリア)は双剣を構えながら、カイの身体に剣を突き立てる。


 ----ずずずっ!!


『おっ、普通に入る、入るぅ』

『はぁ!?』


 と、私がカイの身体に双剣を入れていく様子を、カイは『あり得ない!』とまくし立てる。


『嘘だろ噓だろ噓だろ、嘘だろっ?! なんでそんなに、すんなりと刃が入る?! アンオブタニウムは、そんなに柔らかい鉱石ではないぞ!』


 カイが喚き散らかすので、双剣をカイの身体に突き刺したまま、


『ガタガタ抜かすな、トカゲ野郎』


 舌を思いっきり掴み取って、その舌に双剣を突き立てていた。


『----っ?!』

『ドラゴンは肉体こそ最強なのか? いちいち、自身の理解不能な出来事がある度に、喚き散らかすだけなら、精神はザコだぞ、おい』


 その舌に、すーっと傷つかないように刃を沿わせ、恐怖を(あお)りながら、私は続ける。


『もう、刃は治らない。私の双剣で斬り落とした後、そこに弓矢を『錬成』で絆創膏のように塞いでいますからね』


 いわゆる、カサブタのような感じだ。

 ただ斬り落としただけだと、身体のアンオブタニウムから生体エネルギーを凝縮させて、治療してしまう可能性があったので、そうならないように弓矢を斬り落とした部分に『錬成』しておいたのだ。


『アンオブタニウムは確かに素晴らしい物質ではあるが、不純物が混じればその効力は格段に低下する。『錬成』によって作ったその付け根は、もう永遠に治らない』


 それに、翼を失ったのだ。

 先程までの、常に回復し続けるほどの膨大な生体エネルギーを生み続ける永久機関モドキは、その身体が万全であればという前提で動いている。


 翼を失った分、ヴォルケーノドラゴンの生体エネルギーは減るだろう。


『翼がなければ、飛べない。それだけではなく、生体エネルギーの生成量も減る。

 そんな状態で、果たして翼を斬り落とすこの双剣に勝てるとでも?』


 すーっと、今度は舌にわざと傷をつけながら双剣を沿わせ、そのまま舌から手を放す。


『決着はついた。ご不満なら、今度は尻尾を斬り落とそうか?』


 双剣を構えながら言うと、『ひっ、ひぃ~』と明らかに怯えた様子を見せるカイ。


『おうあんいあう!』

『えっ……? 今なんて?』

『おうあんいあう! おうあん!』


 ----おうあん? 何を言っているんだ、このドラゴンは。


『アルファ、通訳よろしく』

「お任せください、ススリアさん! えっと……"降参します"と言っています」

『おうっ! おうえう!』

「"そうっ! そうです!"と言っておられます」


 おおっ、どうやら敗北を認めてくれたようだ。


『おんおあ、おいあおあいああい、いああいあう! いおあおいあうえん、あうおうおおいうえあう!』

「"今後は、そちらのやり方に、従います! ヒト型になる件、約束通り受けます!"と言っています。良かったですね、ススリアさん! ドラゴンゴーレム計画がこれでだいぶ進みましたよ」


 納得してくれて、なにより。なにより。

 これで、ドラゴンゴーレム作成が、かなり進展したと言っても過言ではないだろう。


 ヒト型にあちらが勝手になってくれるなら、かなりこちらとしても楽になる。


「ススリアさん! そろそろベッド型魔道具の効果が切れる頃ですよ?」

『おおっ、そんな時間か』


 意識を身体から切り離すという、ベッド型魔道具も時間切れか。


『じゃあ、後はアルファに任せれば良いかな?』

「えぇ、ススリアさん! あのドラゴンの意識も、あとでしっかり卵の中に戻しておきますね」


 配信世界から別れを告げて、私は元の身体へと戻って行くのであった。




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




「ふぅ~、さてさて」


 ススリアが配信世界から、無事、現実の元の身体へと戻ったのを確認し。

 アルファは、ひょいっと、カイの舌の傷を治した。


『----! 舌が、治ってる?!』

「当たり前ですよ。ヴォルケーノドラゴンの身体ではありますが、それは私が作ったデータの塊。修復するのは一瞬です」


 ぽいっと、屈強なヴォルケーノドラゴンの身体は、一瞬にしてか弱くて小さなピクシードラゴンの身体へと変化する。


『身体が、いきなり小さく?!』

「だから、それはデータの塊。あなたの意識が入っているだけの、ただのデータなんですから、当然です」


 「察しが悪いですね~」と、アルファは羽織っていたマントを脱ぎつつ、そう答える。


『なんで、いきなり身体を小さくした?』

「話があるからですよ、あんな大きな身体だと話し辛いので。

 ----気になってるのではないですか、あの双剣の出所について」


 アルファのその言葉に、カイは----小さく、頷くのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓途中でも『ご感想』『こうなったら面白そう』『こんなキャラどう?』という発想、また『フォロー&☆評価』お待ちしております!

カクヨム版(最新話更新中)!! 是非、ご覧ください!!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ