表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/421

第87話 錬金術師、アルファ&カイに出会う配信

 意識を配信内にて転送する魔道具を使い、私は【アルファ・ゴーレムサポートシステム】内へとやって来ていた。

 ぶっつけ本番で作った魔道具ではあったが、無事、私の意識を配信に移動させることに成功したみたいである。


『おぉ~、成功したようだね』


 私の眼には、現実離れした半透明な格子状の世界が広がっていた。

 格子状の世界には、この世界で現在、そして過去配信されたあらゆる映像が流れており、どうやらちゃんと意識の切り離しには成功したらしい。


「おぉっ、無事にススリアさんが来てくれた! これは、歓迎しますですよ!」


 と、空間から1人の少女がいきなり出現する。

 

 空間を割って出たようなその少女は、青色のツインテールヘアーの、中性的な容姿をした少女。

 愛らしい赤色のワンピースの上に黒いマントを羽織っており、藍色の瞳の中には『α』という文字が刻み込まれていた。

 "ススリアさん"と私の事をそう呼ぶ彼女は、「ようこそ」と嬉しそうに歓迎していた。


『もしかして、アルファか?』

「その通りです! ちなみにこの私の姿は、"闇落ちした魔法少女"という設定の容姿です!

 元々は光属性でありながら、闇属性へと堕ちた正義の味方……カッコいいと思いません?!」


 じゃじゃーんっと、黒いマントを翻しながら「どうです? どうです?」と、ウリウリと腕を押し付けながら、聞いて来るアルファ。


 ……うーん、アルファに関しては単なる情報集積所としての役割をもたせただけなので、ベータちゃんやガンマちゃんのように性格設定をした覚えはない。

 覚えはないんだけど、なんでこんなウザ絡みするタイプになったんだか。


『----ところで、ここが配信世界で間違いないんだな?』

「間違いないも何も、この現実世界では専用の身体がないアルファちゃんの、激カワボディが見えている時点で、そうでしょうとも! そうでしょうとも!」


 ----そんな事で、確認したくはなかったんだけど。


「あっ、そう言えばガンマちゃんの案内で、あちらの選手も配置についているみたいです!」

『あちらの……あぁ、ドラゴン』

「とりあえず呼び名がないと呼びづらいので、仮名称として【カイ】という名称を与えています」


 カイ……アルファやベータちゃん達と同じギリシャ文字だとすると、"χ(カイ)"が語源だろう。

 ----「変数、あるいは未知の数」に用いられる"X(エックス)"に似ているから、まだ生まれても居ないドラゴンに名付けるにしては、良い名前だろう。


『それで、その場所というのはどこだい?』

「では、ご案内いたします」


 パチンっと、アルファが指を鳴らすと、私達は一瞬にして闘技場の上に立っていた。

 大きな闘技場の向こう側には、巨大なドラゴンがこちらを射殺そうとばかりに、ぎろりと睨みつけていた。


『初めましてだな、錬金術師ススリアよ! 我こそが偉大なるドラゴンとして、生誕する予定の者!

 お前らに名付けられた名前で言えば、カイと名付けられた超究極のドラゴンである!』


 どどぉんっと、そのドラゴンは『ガハハッ!』と大いに笑っていた。


 なるほど、こいつが今から私が"分からせ"をしないといけない、ドラゴンか。


『そのドラゴンの身体、【ヴォルケーノドラゴン】か』

『おぉっ、分かっていただけるか! そう、超究極となる我が、貴様と戦うのにふさわしい姿だ!』


 卵の中のドラゴンの意識----カイに与えられたのは、ヴォルケーノドラゴンという火山地帯に住むドラゴンの身体であった。

 ヴォルケーノドラゴンというのは、『火山のドラゴン』という名に相応しい超火力の炎を持つドラゴンであり、火山で産出される金属アンオブタニウムの鱗を持つ上位種の火竜である。


『相応しい身体って事は、その身体を持つあなたに勝てば、ちゃんと敗北を認めてくれるんだな?』

『もちろんだとも! 貴様らは、後悔するのだ! 私にこのような上等な身体を与えたことを、なっ!』


 アンオブタニウムとは、ヴォルケーノドラゴンの身体を構成する希少金属である。

 ヒヒイロカネやオリハルコンといったモノと同じく、伝説の金属と呼ばれるモノで、ある単一の金属という訳ではなく、『入手不可能な金属(アンオブタニウム)』という意味だ。


 その力は、熱や圧力を、エネルギーに変えるという事。

 

 超高火力の火炎を扱うという事だけでも厄介すぎるのに、周囲を炎上させることで、自らを間接的に火あぶりにすることで能力向上が出来るのだ。


『さぁ、そこの闇落ち少女よ! 勝負の鐘を鳴らすが良い!

 ドラゴンは人間なんかよりも優れているという、その事実を証明する戦いの鐘を!』

「……了解、です」


 「あと、闇落ち魔法少女です」と、細かい訂正を入れ----



「試合、開始っ!!」



 錬金術師の私、そしてヴォルケーノドラゴンの身体を与えられたカイとの対決が、始まるのであった。




(※)アンオブタニウム

 別名、『入手不可能な金属』。ある単一の金属名を示しているのではなく、とある特性を有する金属全ての総称である

 その特性とは、"熱や圧力をエネルギーに変換することが出来る"というモノ。少量の熱から、大量のエネルギーを生み出すことが出来る

 炎系統のドラゴンであるヴォルケーノドラゴンの鱗は、全てこのアンオブタニウムが使われており、野生では自ら獲物を焼いてその際に出る火炎を食べて生活していると言われている

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓途中でも『ご感想』『こうなったら面白そう』『こんなキャラどう?』という発想、また『フォロー&☆評価』お待ちしております!

カクヨム版(最新話更新中)!! 是非、ご覧ください!!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ