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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第80話 道場に潜入するよ配信

 ----ドラゴンの卵を持ち帰って、数日後。

 私は風船を膨らませていた。


「もう少し……、もう少し膨らませ……」


 ----パンッ!


「あぁ、また破れちゃったようだね」


 私は派手に破れた風船カスに落胆しながら、ゴミ袋に片付けていく。

 これで30回目、こうも破れてばかりだとちょっと辛いわ。やっぱし。


 私が破れた風船ゴミを捨てているのは、とある実験のためだ。

 ----そう、ドラゴンゴーレムの作成のためだ。


 時限式の魔力爆弾は既に完成しており、私は殻の作成に入っていた。

 入っていたのだが、これが思いのほか、難しい。

 

 ドラゴンがちゃんと膨らむだけのスペースがあるのかのテストのために、ドラゴンの身体に見立てた風船型魔道具でテストしているのだけれども、想定していた場所以外の所で割れてしまう。

 それだけならまだしも、想定していない場所にも膨らんでしまうため、なかなかに難しい。


「もしこの風船が本物のドラゴンの卵でやっていたら、腕が3本になる所だった」


 この殻は、失敗である。

 失敗した殻を、破棄しつつ、私は次の殻の作成に取り掛かる。


 ここまで難しいのは、今回作るフレッシュゴーレムが初めてである事。

 そして----"生命を作ろうとしている事"だからだろう。


 ドラゴンゴーレムとは言っても、私があらかじめ姿を与えるだけで、コイツは生きている。

 生きている以上、食べ物を食べ過ぎて太ったり、成長して背が伸びたりする可能性を考えなければならない。

 それに、可動域なんかも考えると、若干の余裕を持たせて作らなければならないんだけど、これがめちゃくちゃ難しい。


「あー、ちくしょう。難しいったら、ありゃしない」


 せめて卵の状態で意思疎通することが出来れば、交渉するなどして出来るかも知れん。

 だがしかし、お腹の中の赤ちゃんと会話しよう、みたいな事だし、私の中で出来るイメージが湧いて来ない。


「……ちょっと、気晴らしに外に出ましょうかね」


 私はそう思いながら、数日ぶりに外に出たのでした。




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




「----という訳で、師匠! あちらが、イスウッド訓練施設になります!」


 外に出るなり、タラタちゃんに連れられた私。

 そのまま森を進んで行くと、見えてきたのは----【シュンカトウ共和国製イスウッド訓練施設】という看板がついた巨大な道場だ。


 どれくらい巨大かといえば、前世で言う所の『東〇ドーム1個分』くらいといった所だろうか。

 私も直接行った事はないのであくまでもザっとした評価だが、そのくらい大きい施設が、なんかうちの隣に出来ていた、といえば、私の驚きようも伝わると思う。


「そう言えば、そういう話もありましたね……」


 確かあれは、教会関係者とのリモート会議配信の前だったか。

 シュンカトウ共和国の騎士団長を勤めるネゴシィなる人物が、このイスウッドに道場を作るというプロジェクトを持ちかけて来て、結局は木材の山を見せられ、あれよあれよという間に言いくるめられて、承認したんだった。


 教会関係者とのリモート会議配信だの、『錬金術師大会』だのがあって、すっかり忘れていた。


「しっかし、デッカイな。この道場」


 私は、ネゴシィ騎士団長との取り決め通り、10日に1回程度しか訓練を見ていない。

 その訓練とやらも、あくまでリモートであり、この道場には1回も顔を出していない。


 もっと言えば、シュンカトウ共和国に行く際には、ドラゴンゴーレム完成まで放っておいて欲しいとの思いで、あらかじめ撮っておいた配信画像をガンマちゃんに流させるという時間稼ぎしてたからね。

 直接来た事なんて、1回もなかった訳です。


「見かけよりも、そんなに大きくないですよ。師匠。道場の真ん中は、屋根がない屋外スペース、グラウンドになっていますので」


 話を聞くと、道場の真ん中部分の屋根がない運動場(グラウンド)を囲むように、建物が四角形で作られているとの事。

 この道場で、タラタちゃんが何をしているかというと、なんとタラタちゃんも訓練に参加しているのだそう。

 とは言っても、フランシア達と同じような武術訓練ではなく、シュンカトウ共和国の騎士団所属の工作部隊、別名、錬金術師部隊に交じって日夜競い合っているのだそうだ。


「それで、その錬金術師達との訓練の成果を見せてくれるという感じ?」

「その通りであります! 向こうの錬金術師さん達とも仲良くなりましたので、みんなの実力を、師匠にも見て欲しいのでありますよ!」


 まぁ、タラタちゃんがどれだけ成長したのかを見るという意味でも、それに共和国の錬金術師達がどれほどの腕なのかを知るというのも、良い機会かもしれない。

 案外、そういう何気ない所から、ヒントや着想を得て、ドラゴンゴーレム作りも良い感じに、一気に進む可能性はある。


「よしっ、それじゃあ見せてもらいましょうか」

「ありがとうございます、師匠! ささっ、こちらにどうぞです!」


 タラタちゃんに案内され、私はそのまま道場の中に入ることにしたのである。


 まさか、その道場内で、あの人物たちと再び会う事になるとは、この時の私は夢にも思わなかったんだけど。

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