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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第79話 最強のドラゴンゴーレム作成配信

 どうやら、うちのジュールは上手い事やったみたようである。


 シセン王子とシミット王女の2人は、ジュールの説得によって改心してくれたようだ。

 私への依頼は、もう少し思案し直してから発注するみたいだ。


 ジュールが何をしたのかは分からないけれども、とりあえず発注を見直してくれたのは、ありがたい限り。


 これで義理を果たした私は無事、シガラキ代表から許可を得た。

 そしてベータちゃんと共に、旅館『龍之慰安(リューイアン)』付きの飛空艇で帰る事になったのだ。


 ----あっ、ついでにフランシアも帰る事にしたらしい。

 そして、帰るなり、フランシアは凄く不機嫌だった。

 もう、頬を大きく膨らませて、ぷくーって、分かりやすいくらい不機嫌そうだった。


「どうされたんですか、フランシアさん?」

「あー! 聞いてくださいよ、ベータさん!」


 ベータちゃんが話を聞きに行ったところ、なんでもこの女騎士さん、父親に利用されたんだそうだ。


 彼女は盟主パファーの娘ではあるが、王位継承権としては5番目と一番低い。

 もっとも、最初からそんなものに興味の欠片もない、武術バカな彼女にはそれで良かったんだそうだが、彼女の継承順位を無理やり1位まで上げる事で、シセン王子とシミット王女の2人にやる気を出させたんだそう。

 2人はシュンカトウ共和国を担う盟主の後継者候補にしては、少し問題があったみたいで、その問題に気付かせるために、一芝居打ったという事だそう。


「まったく! シセン兄もシミット姉も、最低限として『人を敬う態度』がないのがいけないんですよ! ぷんぷんっ!!」


 どうやら、盟主さんはそれを分かってもらうために、わざとフランシアの順位を1位にして焚きつけたみたいである。

 そんなの、普通に言えば良いじゃんって思うのは、私だけだろうか?


「----ともあれ、これでイスウッドに帰れる!」


 私はガッと、ドラゴンの卵を大きく上に掲げながら、そう宣言する。


「……そう言えば」


 と、ベータちゃんに聞いてもらって落ち着いたのか、すっきりした顔のフランシアが私と、そして私が持つドラゴンの卵を見る。


「師匠は、ドラゴンの卵の孵化の仕方、分かったんでしょうか?」

「あぁ、分かったとも!」


 そう、それが分かったのに帰れなかったから、イラついていたのだ。


「ドラゴンとは、魔術だ」

「まっ、魔術?」


 フランシアの質問に、そうだと返答する。


 

 本来、魔力というモノには形がない。

 魔術はその魔力に対して、名を与え、形を与え、命令を組み込み、そして実行するモノ。



「このドラゴンの卵の中には、ドラゴンになるべき魔力の塊が詰まっている。魔術の初歩にして、基本中の基本である『ファイアボール』で例えるとすれば、形以外は全て決まり切っている状態とでも言いましょうか」



 ----『ドラゴン』という魔術名で、『ドラゴンとして生きる』という事は決まっている。

 ----あとは、この魔術を発動するための、形さえあれば、この魔術は発動する。



「そして、錬金術師にとって、魔術とは付与するモノだ」


 そう、例えこれがドラゴンだとしても、だ。


「フランシア、そしてベータちゃん。私はね、このドラゴンの卵から、魔術式として抽出する。

 ----そして生み出すんだ」



 この世界初のフレッシュゴーレム、いやドラゴンゴーレムを!




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




 フレッシュゴーレムを分かりやすく例えるとすれば、フランケンシュタインが一番分かりやすいだろう。

 そういや、フランケンシュタインとは博士の名前だし、『フランケンシュタインの怪物』というべきか。



 あれは、大学生であったフランケンシュタイン君が、墓地からえっちらほっちらと。

 運び出した死体を組み合わせる事で、動き出した人造人間こそ、『フランケンシュタインの怪物』である。


 フレッシュゴーレムは、この怪物のように、生物の死肉、もっと言えば生物の肉を使ったゴーレムの事を指す。

 一般的なゴーレムが土や鋼などの無生物由来の代物で作るとすれば、フレッシュゴーレムは肉などの生物由来の代物で作るという感じだろう。


 ともあれ、流石の私も、そんな怪物を作りたい、という訳ではなく、あくまで作りたいのは、ドラゴンを使ったゴーレムである。


 

 手順は、こうだ。


 まず、内部の魔力を循環させるが、外部には魔力を出さない、そういう絶縁体構造の殻を用意する。


 そして、その殻の中に、時限式の爆弾を作る。

 爆弾と言っても、中に入れるのは私の魔力であり、これはドラゴンを孵化させるために活用するつもりだ。


 殻の中に入った時限式の魔力爆弾の上に、ドラゴンの卵を置けば、準備完了。


 あとは、時間と共に放出された私の魔力が、ドラゴンの卵に注ぎ込まれ、ドラゴンは殻に沿って、その殻を着込むように大きくなるという寸法である。

 理想としては、私の作った殻を鎧のように着込んだ、そんなドラゴンの姿を想像している。



 ----理論としては、こんな感じだが、これがかなり難しい。



 ドラゴンの卵は、1回限りで、失敗は出来ない。

 また、殻に沿ってとはいったが、殻を窮屈に頑丈に作りすぎてしまうと、殻の中という狭い空間でしか身体を形成できなくなってしまう。

 結果として、ただ殻の中に住み着いた小さなドラゴンが誕生するだけなので、調整が必要だ。


「(私に必要なのは、完成系の姿をきちんと思い描いてドラゴンに伝えつつ、その完成系の姿を発揮できるように殻を作る事)」


 ドラゴンの姿は、あくまでもこちらのイメージを参照するとは言え、あくまで参照するだけ。

 そうでなければ、今頃どっかのバカ野郎が『めちゃくちゃ大きくて、めちゃくちゃ強いドラゴン』なんて、とんでもないのを作り上げているに違いないから。


「だが、錬金術ってのは、こうでないと」


 そう、どうすれば良いかを試行錯誤しつつ、あーだこーだと考え込む。

 これこそ、錬金術師としての醍醐味(だいごみ)なのである。


 そうして私は、しばらくの間、ドラゴンゴーレム作りに精を出すことになったのであった。

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