第401話 神社で清めの儀式です配信
~~前回までのあらすじ~~
クリィム村で起こった、連続殺人事件。それは、この村の出身者にしてアルビノであるお騒がせ系配信者ロンダリゼの仕業であった。
フランシアが、自らにかかっていた呪いを解き放った。これにより、相手の長所を模倣&上位能力獲得する魂武器【模造する上昇志向】を使うロンダリゼを倒す事に成功するも、快感のブラッドの取り決めか何か分からないが、ロンダリゼはそのまま死亡してしまう。
被疑者死亡というこの状況を、どのようにしてクリィム村の人達に説明しようかと悩んでいると、神社の巫女さんがススリアに助け舟を出してくれた。そして、ススリアは神社の【祭壇の間】に向かう事となったのである――――。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
巫女さんに先導してもらって、クリィム村の神社に行く道を進む、私とフランシア。
「(にしても、相変わらず豪華だなぁここ)」
蛇型ゴーレム達からの情報にもあったし、巫女さんとの話し合いの件で何度か神社に行っているから知っていたが、それでも、この神社に続く山道を見ると、改めて思う。
なんで神社に近付くに連れ、宝石なんかを埋め込んで豪華にしているのだろうと。
この地域は、通常の錬金術のランクを上げてくれる素材が取れる場所だ。"かなり綺麗な水"だとか、"少し奇妙なキノコ"程度の、錬金術の基礎だったら役に立つ程度の素材が取れる地域だ。
決して、このような宝石が採取できる地域ではなかったはずだ。
「(【鑑定】してみると、この宝石、普通に高級な宝石なんだけれども)」
つまり、この村の特産品である、錬金術のランクを上げてくれる素材なんかじゃない、他の地域からわざわざ買い取った貴重品である。
こんな山奥の田舎の村で、これだけの量の宝石を確保しようと思うと、かなりのお金がかかるはずだ。そんなに頑張って集めたモノのはずなのに、こんな山道の装飾に使うのはどういう事なんだろうか?
極地認定されるところと言うのは、普通じゃないのかもしれない。
――――ともかく、警戒は続けておくべきだろう。
「こちらです。どうぞ、足元にお気を付けくださいませ」
巫女さんはそう言って、私達に神社の中へ入るように促していく。
――――って、あれっ? 【祭壇の間】の道と違うような?
「あぁ。あなたの蛇さんが行ってた方は、後から行きますので」
「――――っ?!」
バッ、バレてる?! バレてるぞ、これ!
「アッハハハハ……何のことやら……」
「ふふっ。神様は常に見ている、そういう事ですよ」
そうですね、神様は常に見ていますよね! なんなら、お酒の出来を確認しに、週3くらいのペースでやって来る神様も居るくらいですし! 誰とは言いませんけれども!
「【祭壇の間】は、本当に神聖な場所なんです。あそこは神聖以外の者を決して許さない、むしろ自分達という神聖なモノの一部にする所なんです。あそこで何人の巫女が、清めずに入ってしまって命を落とした事か……」
「へっ、へぇ~。それは怖いですねぇ~」
なるほど、分かりましたよ!
その"清めずに入ったモノを、問答無用で自分達の一部として取り込む"という、超危険地帯たる【祭壇の間】が、極地認定された理由だね!
確かに、そんなヤバめな所があったら、極地認定されるわ!
「ですので、【祭壇の間】に入る際は、【清めの間】にて身体を清める必要があります」
「なるほど。なるほど」
「手順は簡単です。身体を洗って、かけ湯をして――――」
え? かけ湯?
「――――その後、お風呂に浸かって、10秒以上数えたら、お清め終了となります」
「それって、ただのお風呂じゃないですか!」
お清めというか、ただのお風呂じゃないですか! それ!
その後、効能とか聞いて、ますますお風呂っぽくなって来たなと思う私であった。
「では、師匠! 私が、師匠の身体を洗って見せます! 師匠は、私の身体を洗って欲しいです!」
「あぁ、うん。任せて任せて~」
もう、こうなればなんとでもなれ、である。
この時の私は、忘れていた。
フランシアの身体を洗うという事は――――
『ガォォォォン!』
――――呪いを解放したため、生きている獅子のような髪を洗わなくちゃいけないって事に。
……すっごく大変でした。ライオンって、猫だからお湯を嫌がるみたいという感想です、はい。
(※)【清めの間】
クリィム村の神社にある、【祭壇の間】に入るために必要な部屋。というか、身体を洗う、ただのお風呂
主な効能は【肌質改善】と【視力改善】。ただし、入りすぎると身体の細胞が全て白く、さらに瞳の色は赤くなるという、この神社に祀られている神様好みのアルビノに近付いていくため、長期間のお風呂は推奨されておりません。なお、1年以上、このお風呂に入りますと、自然とアルビノへと近付く形になります
この【清めの間】のお湯は、大変貴重でありながら、量が豊富なため、クリィム村の各家庭に分けられるほどであり、クリィム村の家のお風呂は全て、この【清めの間】のお湯と同じ成分を使っております
うっかり訪れた先で、
「お風呂入ってないから、取り込むね」という所がある村!!
そりゃあ、極地認定されますわぁ
危険トラップすぎる(''◇'')ゞ
 




