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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第390話 山村に迫る魔の手、もとい悪魔の手配信

 クリィム村は、多くの人間を受け入れる、懐の広い村であった。

 高所にあり、なおかつ食べ物が豊富なこの村は、古くから武芸者達の訓練施設として有名であった。また、最近では配信者という者達が『配信のネタになるから』と来る事が多かった。


 クリィム村はそういう方々を分け隔てなく接してきた。世間一般的には「極悪人」だの、「迷惑配信者」だの言われているような、いわゆる"素性が悪い者"もいたが、クリィム村はそういう者達にも、他の人達と同じように接してきた。

 懐が深いだの、そういう理由でもなんでもなく、ただ単にクリィム村の村人はそういう人達を見極める必要がないからである。


 このクリィム村には、古くから人々を救う神々が存在している。その神々は、クリィム村に悪さをしようとする悪人を、こっそりと神隠しによって村人を守り続けているのだ----。




「まぁ、そんな神々に対して、なんの感謝もしていない、あなたのような人間が村を滅ぼすんです」




 クリィム村近くの山村にて、魔王ユギーの五本槍である快感のブラッドはそう結論付けた。


 ----クリィム村は、非常に懐が深い村ではあるが、悪意に関しては非常に敏感。もし仮に、快感のブラッドのような、"クリィム村に酷い事をしようと企んでいる悪魔"が入り込んだ場合、問答無用で神様による酷いお仕置きが待っている事だろう。

 未だに、神隠しにあった人達は1人たりとも戻って来ないという話を聞けば、その異常性も分かる事だろう。


 しかし、神々というのは非常にピーキーだと、快感のブラッドはそう考える。

 一部一定の条件を満たす者には絶大な力を振るえる代わりに、そうでない場合は非常に脆く、無力だ。


「まさか、自分が守る村人が、この快感のブラッドと契約するほど村を恨んでいるとは思ってないでしょうなぁ。流石の神々さんも」


 クリィム村の神々の力は、悪意を持って悪事を行おうとする他者(・・)に対しては有効だ。その人物がどれほど力を持っていようとも、神々は問答無用で神隠しに合わせる。

 しかし、村人(・・)に限ってはそうではない。放火をしようが、殺人を起こそうが、その人物が村人である限りは、クリィム村の神々は何もしない。何も出来ないのだ。


「それこそが、自らの身を滅ぼすとも知らずにねぇ~」


 ブラッドは、ニヤニヤと笑いながら、クリィム村の方を見る。


 あの村には、ブラッドと契約して、魂を武器に変更できる人間がいる。あの静かで、平和な村を、恐怖のどん底に陥れようとこの悪魔と魂を用いた契約を行った犯罪者が居る。

 ブラッドは喜んで、その取引に応じた。五本槍の1人として、そして悪魔として、求められたら応じるのが筋だと、ブラッドはそう考えているからだ。


「以前、イスウッドでピエームちゃんさんに権能を使った際は、不完全だったからね」


 ピエーム。ブラッドと契約して、自らの魂を回転鋸剣(チェンソーブレード)に出来るようになったバンブーエルフの少女。

 彼女との契約の際、ブラッドはうっかりミスを起こしてしまい、時間制限ありの変身になるように、契約してしまった。


 完全に、ブラッドの失敗(ミス)である。

 しかしながら、ブラッドは一ミリも反省はしていない。きちんと悪魔(じぶん)との取引の際に、念押ししておかなった相手が悪いと、本気で思っている。

 だからこそ、不完全であった。自分は悪くない、と。


 ブラッドの理屈は、例えるなら、医者が「患者の体内で、あそこまで病気が進行してるなんて思わなかった。患者が悪い」と言って、医療ミスを誤魔化すような理屈である。

 当然、誰もが医者が悪いと思うのだが、ブラッドだけはきちんと検査をしなかた患者が悪い。だから死んだのだと、本気でそう思っているのだから。


「今回の契約者は、その辺りをきちんと詰めていたから。私も忘れずに済みましたよ」


 今回の契約者、クリィム村を滅ぼそうとしている村人は、その辺をブラッドと慎重に話し合った。

 "どのくらいの日時に決行するのか"、"魂から生まれ出る武器の形状を出来れば変えて欲しい"など、事細かにブラッドに詰め寄って、話し合ってきた。

 だからこそ、ブラッドは大丈夫だと、自身を持って言える。自分は間違っていない、のだと。


「さぁさぁ、開演の時間だ! 契約者よ、どれほど面白い事を見せてくれるのか----こちらは楽しみにさせてもらいましょう」


 ブラッドはそう言いながら、なにか起きるのを期待して待ち構えていたのでした。




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




 ----次の日、クリィム村で事件が起こった。


 殺人だ。現場は、子供達が遊ぶ川岸の近く。

 そこに1人の住民の死体が、"半分だけ(・・・・)"残されていたのだ。


 左半分だけ。神経も臓器も、鋭利な刃物で一刀両断されたかのように、きっちりと半分に切られていた。


 そして、ここまでなら、ただの異常者による犯行という形で幕引きとなる。

 しかしながら、そうはならなかった。



 12時間後。

 今度もまた、殺人だ。子供達が遊ぶ川岸から少し離れた、とある家の床下にて。


 "半分だけ(・・・・)"残された死体。

 しかも、12時間前に殺された住人の、右半分だけの死体が、現れたのであった----。

ブラッドちゃんは働き者

多分、五本槍の中で一番、多くの人の人生を狂わせてます


魂に干渉できるとか、ヤベー奴だなおい(*´Д`)

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