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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第376話 王族の世話係がヤバイ過去話配信

 娯楽と堕落を権能として司る、堕落の魔王ユギー。

 超古代技術(オーバーテクノロジー)となっている配信技術が全盛期の時代にて、人々を自らと同じ堕落の底に落とし、結果的にその世界の半分以上を自らの眷属、支配領域と化した恐ろしい魔王。

 そして魔王ユギーは、自らの眷属に頼んで、自らの偉業を伝える書物を用意した。いわゆる、布教のための経典と呼ばれる代物だ。

 

 ----当然、そんな魔王信奉者による経典(ヤベェの)は、魔王ユギーが神々によって倒されて封印された際に、全て焚書しておいた。読むだけで魔王ユギーの配下になるような、そんな経典は焚書になる事、当然といったことだ。


 しかし、そんなヤバすぎる検閲を逃れた書物(ブツ)がある。『1つの時代の変化の象徴たるこの本を、一冊も残さず焚書するとはいかがなものか?』という、そういう意見もあったために1冊だけは、厳重な封印を施したうえで王城に保管される事となった。


「そのうちの1冊を、(ノワルーナ)の世話係が読み聞かせてくれたんです」

「ダメなんじゃないですかね、それ?!」


 ノワルーナの過去話に、思わず赤髪妖精ヴァーミリオンは突っ込んでいた。

 ノワルーナが、「私は昔、魔物を引き連れて、魔王(・・)になりたかったんです」という、そういう告白の理由を、ヴァーミリオンが聞いていたのだが、思わず突っ込んでしまった。


 どこの世界に、禁書扱いとなる書物を、王女様の読み聞かせの本にする世話係がいるのだ、と。


「仕方がありませんよ。"魔王ユギーの恐ろしさを知るための教材"という名目で、王様(ちち)から正式に許可を取ってたんですから。世話係の暴走だったとしても、止められません。(父親が国王にも関わらず禁書を読みきかせた事に対する怒りの罵詈雑言)だとしても、です」

「いや、止めましょうよ。周りの人達」


 しかしながら、これは過去話。つまり、既に起きてしまった事。

 王族の1人として、絢爛豪華な日々を送っていたノワルーナは、世話係の話を聞いて、思った。




 ----私も、魔王になりたい、と。




「まぁ、布教完了という事ですね」


 今にして思えばですが、とノワルーナはそう続けた。


 魔王、つまりは世界を支配する王様に、ノワルーナはなりたかった。

 国王、つまりは彼女の父親のように、偉い椅子にふんぞり返りながら、周りの意見にヘコヘコと頭を下げているような、そういう王様にはなりたくなかった。ただの「この時代の王様はこの方です」と一行で紹介説明が終わるような、凡庸な王様になりたくなかった。


 彼女はまず、お小遣い----王族だからこそ、普通の人達よりも潤沢に与えられたお金を使って、兎獣人の奴隷を数十人購入した。王族という"ネームバリュー"と、大勢の兎獣人奴隷を一気に買うという"行為"によって、相場の1割引きにする事が出来た。

 奴隷を購入したのは、将来の私兵とするため。自分の手足となり、世界を支配するための足掛かりにするためだった。

 脚が欠損している欠損奴隷にしたのも、義足という褒美を与える事で、依存させるためだった。


 だがしかし、彼女達と交流しているうちに、一緒に夢を語り合ううちに、彼女達が成果をあげている姿を見て思ったのだ。


「私は、魔王になる道を諦めた(・・・)

「----!?」


 それは、誰にでもある夢の挫折。いや、変更。

 ノワルーナは魔王になるという夢を諦め、今ではイスウッドの領主として立派に勤めを果たそうと考えている。


 誰だって、そうだ。


 幼い頃はなんにでもなれる気がしていた。英雄にも、王様にも、伝説の職人にも、そういった荒唐無稽な夢物語を、「そうなれれば良いな」と無邪気に語っていた。

 しかしながら、多くの人々はその夢が叶わない事を知る。英雄になる事も、王様になる事も、伝説の職人になる事も、そしてノワルーナのように世界を支配する魔王になる事も、どこかのタイミングで「これは叶わない夢なのだ」と諦め、現実的な、叶えられる夢を、地に足のついたモノをやろうと考える。


「そうか……」


 しかし、ヴァーミリオンはその考えが新鮮だった。


 上級妖精になるための願望を見つけ、その道を選んで進んで行くという特性を持つ妖精。そんな妖精であるヴァーミリオンにとっては、『夢の軌道修正』という、人間なら誰もが行うような事が、とても新鮮だった。


「そうなんだ、夢って調整して(・・・・)良いんだ(・・・・)



 その瞬間、ヴァーミリオンの身体が光に包まれるのであった。




(※)妖精という生物

 妖精は、『死の森』など生命力の溢れる土地が、その土地の栄養管理を行うための存在として生み出す、管理ツールである。そして、管理ツールとして生み出された妖精達の中から、"〇〇という存在になりたい"という夢を見つけ出し、その夢を叶えたモノだけが上級妖精になる事が出来る

 そんな特性を持つ妖精にとって、"〇〇という存在になりたい"という第一希望を修正するという事は信じられない事であった。自分の根底を揺るがすような衝撃を、ヴァーミリオンは受け、そして----彼女は、さらに上位の存在へと生まれ変わる

人間は、夢を諦めて、新たな夢を見つける事ができる

それって、人間にとっては当たり前の行為ではありますが、

妖精にとっては、新しい発見なんですよね


作者「実は夢って諦める事が出来て、さらに新しい道を見つけても良いんだよ」

ヴァーミリオン「なっ、なんだってぇぇぇ!!」


みたいな感じです(#^.^#)

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