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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第375話 暴力と犯罪の世界配信(2)

「----なるほど。『死の森』から来た妖精、ね」


 世界が暴力のハルファスの権能(のうりょく)によって、暴力と犯罪が支配されている空間になった中、2人だけ、地面の上で何故か正座した状態で話し合っていた。

 1人は赤髪妖精ヴァーミリオン、そしてもう1人はノワルーナ領主。赤髪妖精ヴァーミリオンは汗をタラタラと流して挙動不審であり、ノワルーナの方は涼しい顔で「納得」と呟く。

 

 呟いた後、ノワルーナは大きく息を吐いて、溜め息を吐く。


「はぁ~……(イスウッドが準避難都市の計画段階なのにヴァーミリオンを避難民として受け入れた事に対する自分への罵倒)ですね」

「----!」

「別に怒ってないですよ、ヴァーミリオンさん。しいて言えば、こんな簡単な事にも気付かない自分自身に、です」


 ニコリと笑い、赤髪妖精ヴァーミリオンをじっと見つめる。


「ふむふむ、一目見ても全然分かりませんね。この羽根さえなければ、今でもごく普通の人間族としか分からなかったのではないでしょうかね?」

「あの、ノワルーナ様」


 羽根をじっと見つめながら、もしもの可能性について言及しようとするノワルーナ。そんなノワルーナに、ヴァーミリオンは意を決して、話しかける。




なんで(・・・)そんなに(・・・・)冷静(・・)なんですか(・・・・・)?」




 そう、ヴァーミリオンはそこが気になっていた。

 あまりにも冷静。ヴァーミリオンが、自分が妖精だと暴露したのだって相当な覚悟を持って、最悪、殺されるか、それに近い事をされるんじゃないかと思っていた。


 人間に化けた魔物が世界を滅ぼすという話を、ヴァーミリオンは良く知っている。そして、人間に化けた魔物がどういう最期を迎えるのか。


 だから、ノワルーナを救うためとは言え、自分が妖精だという事をバラしたら、どういう事になるのか、ヴァーミリオンは予想していた。

 少なくとも手足の1本や2本は覚悟していたし、冒険者の中には「魔物か?!」とヴァーミリオンを殺そうとした者も居た。嫌悪感を抱くモノがほとんどだった。


 そんな中でノワルーナだけが唯一、"ヴァーミリオンが妖精だと見抜けなかった自分に腹が立つ"という、自分に対して怒っていた。ヴァーミリオンに対しては、「あぁ、そうなんだな」的な反応だったのだ。


「どうして、そんなに冷静に、自分の間違いを認められるんですか?」


 その事が、ヴァーミリオンには信じられなかった。

 人間というモノは、いや妖精であっても、自分の非を素直に認められる者はそう多くない。



 だけれども、ノワルーナは違う(・・)

 


 錬金術師ススリアに対する時だって、最初こそかなり暴走気味の依頼を出して怒られたけれども、その後反省して、良い領主になろうと頑張っていた。

 ヴァーミリオンはそれを、ノワルーナなりの演技だと思った。"良い人と思われたい"、"褒められたい"という、そういうための処世術だと思っていた。


 しかしながら、この場に処世術で取り繕っておくべき者は居ない。

 妖精を、魔物と思われてもおかしくない自分と、2人きり。他の皆は暴力と犯罪によって、自分勝手に振舞っている中、なんでこの人は、演技を、処世術を続けられるのかと、ヴァーミリオンは不思議だった。


「(だって、それじゃあ----)」


 自分と全く違うと思ってしまったら、前提条件が崩れてしまう。

 "ノワルーナ領主のように、努力したら認めてもらえるような存在になりたい"という、ヴァーミリオンの上級妖精への夢が、砂のお城のように崩れて行く。


 だから、ヴァーミリオンは知りたかった。

 どうして今もなお、そういう事が出来るのかって。


「…………。」


 ノワルーナは考え込んでいた。

 下手に「いやぁ~、どうしてだろうね?」と笑って誤魔化す事も出来るが、今のヴァーミリオンに対してはそういう誤魔化しは逆効果だと思った。


 だからこそ、ノワルーナは正直に言った。




「私は昔、魔物を引き連れて、魔王(・・)になりたかったんです」




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




「あの2人、まだはなしてるー?」

「えぇ。そうみたいですね、ダヴィンチ」


 未だに、なんか話し込んでいる場違いの2人を見つつ、デルタちゃんとダヴィンチちゃんの2人は、観測を続けていた。

 スタッフ型ゴーレム達の猛攻を突破し、ホテルの中へと入った第一陣。そんな勇敢なる彼らが、虎に(・・)襲われ(・・・)ていた(・・・)


 虎の魔物ではない、本物の虎だ。

 獣人でもなく、本物の虎だ。


「なんでいきなり、虎が出てくるんでしょうか?」

「ぼうりょく、だから?」

「暴力と犯罪の世界なら、虎なんて猛獣よりも、マスターの知識にあった"テロリスト"とかを出した方がよっぽど良いと思います」


 しかし、出てきたのは虎だ。しかも、なんか本物の虎の倍くらい大きい。


 他には、神々しいオーラを放つおっさんが笑顔で殴り掛かって来たり。あるいは、宙に浮かぶ魚達が物凄い勢いと量の水を放って来たり。


 なんだか、暴力と犯罪の世界には関係なさそうな存在達が、第一陣を翻弄していた。


「くせんしてる?」

「えぇ。どうやら、いつもの実力が出せないみたいですね。技術力が極端に落ちている。これも、この空間の力、と言うものでしょう」

「考えるな! やっちゃえ!」

「えぇ。そういう考えで、技の事なんて考えずに向かっている。だから、弱い(・・)


 人間なら、磨いた戦闘技術で戦った方が強いでしょうに。

 そう思う、デルタちゃんなのであった。

デルタちゃんとダヴィンチちゃんの視点から見ると、

こんな事態にのん気に話している2人の方が

変ですよね~?


はい、すごい変ですよね(*´Д`)

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