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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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374/425

第374話 暴力と犯罪の世界配信(1)

 暴力のハルファスによって発動した、【暴力発動空間(クライム・サスペンス)】。その能力によって、世界は暴力と犯罪に支配された、世紀末の空間となった。

 煌びやかな冒険者や兵士といった"職業"を表す豊かさの象徴たるモノは消え失せ、ボロボロの服装となり、得物(ぶき)は全て没収されたのかなくなっていた。【アイテムボックス】の中身もだ。

 そして、お客様に誠心誠意尽くしてくれるはずのスタッフ型ゴーレム達は、暴走し、ホウキやら鉄パイプなどを持って、冒険者達を排除しようと動いていた。


 冒険者や兵士達は、得物を求めた。普段は素手で戦う者もいるのだが、そんな者達ですら得物を求めた。

 それはスタッフ型ゴーレム達の身体(ボディ)がササクレなど棘だらけなので、素手が危険だと本能で理解したからなのか。あるいは、【暴力発動空間】によってそうなるように精神支配を受けたからなのか。

 どちらにせよ、彼らは得物を求め、そして地面に突き刺さっている得物を抜いた。



 ----どっくんっ。



「なっ、なんだこれは?」

「軽い! それに、作りがしっかりしている」

「見かけは、こんなに脆そうなのに」


 得物を手にした全員が、感じていた。

 得物が身体に馴染む。いつも使っている武器よりも、使いやすそう。それに、なんだか身体が軽い。


 いつもよりも(・・・・・・)調子が良い(・・・・・)


「「「ヒャッハアアアア!!」」」




「またしても、この空間に支配されましたね」

「デルタさんの、オッシャルトーリ!」


 ホテル・イスウッドから少し離れた、丘の上にて。


 「ヒャッハアアアア!!」と荒ぶる者達の様子を、冷ややかな視線で見つめているのは、デルタちゃんとダヴィンチちゃんの2人。ゴーレムである彼女達は、【暴力発動空間】の影響で非生物として判断され暴力に一瞬支配されるも、すぐに連携している【アルファ・ゴーレムサポートシステム】によって、元の性格へと戻された。

 例えるなら、【暴力発動空間】によって暴力というシステムに支配されるも、その後すぐに【アルファ・ゴーレムサポートシステム】による復旧機能(バックアップ)によって上書きされたとでも言うべきか。


「アレイスター、あなたはまだ無理そう?」

「グォォォォォ……」

「そう、まだダメそう」


 デルタちゃんは、そうサラッと言い放った。

 2人とも【アルファ・ゴーレムサポートシステム】による復旧機能(バックアップ)は発動しており、ダヴィンチちゃんはすぐに復旧できた。しかしながら、アレイスターの方は未だに、復旧機能(バックアップ)が上手く作用していないらしい。


 まぁ、狩りに復旧できたとしても----


「しかし、これは戦えませんね」

「デルタさん、オッシャルトーリ!」


 デルタちゃんとダヴィンチちゃんは、揃ってそう表記した。


 何故なら2人の身体は、ただの素体(・・)。ススリアが丹精込めて作った完成されたボディではない、目と鼻もない素体になっていたからだ。


「非生物の暴力装置として作用するなら、武器はそのままに、敵への殺意はマシマシに。

 生物として暴力阻害を目的に動くなら、生物(ひとびと)と同じように粗末な身体で、抗え。


 恐らくは、そういう空間(ばしょ)なんでしょう」


 つまりは、ススリア製のゴーレムには、非常に相性が悪い空間。

 非生物として戦う場合は、暴力のハルファスの尖兵として操られ。逆に生物として戦おうとすると、ススリアが用意した武器や機能は全て失くした状態となる。

 

 デルタちゃんも、そしてダヴィンチちゃんも、非常に強力な戦闘能力を持ったゴーレム達ではあるが、だからと言って武器を全て取り上げられたら、他の人間達と同じようには戦えない。

 この状態で【オーラ】や【スピリッツ】を使ったら、恐らく身体が耐えきれずに、崩壊してしまう。


 だからこその"見"、見る事に専念する。

 少しでも情報を集め、【アルファ・ゴーレムサポートシステム】を通して、ススリアに情報を送る事を第一にして、2人は行動していた。


「あの武器は恐らく、暴力のハルファスの因子が詰まった武器。持つことで、暴力性が強化され、非常に乱暴な性格になるのでしょう。ほら、あそことか2人で武器を使って殴り合いをしてます」

「ほんとーうだぁ!」


 デルタちゃんが指差す先では、冒険者2人組が「「死ねぇ~!」」と汚い言葉を吐きながら、お互いの武器で殴り掛かっている。しかも、防御する事を考えていない、ノーガード戦法で。

 武器の切れ味が、世紀末世界なのでそんなに良くないのが幸いしている。武器の切れ味が悪いから、普通ならザックリと身体が切れちゃうところを、打撲程度に済んでいる。お互いに冷静な判断が出来ていないから、技術もなにもなく、ただ力任せに振っているだけなのも良いかもしれない。


「とは言え、このままではまずいのは確かですね」


 デルタちゃんが観測するに、この【暴力発動空間】は徐々に拡大している。

 拡大している事を裏付けるモノとして、空の侵食具合、土地の汚染具合など、様々な要素が関係しているが、ともかくとして、この空間は徐々に拡大しつつある。


 これが進むと、【アルファ・ゴーレムサポートシステム】の中核たる、システム本体そのものにも影響が出る危険性もある。そうなれば、この性格(じんかく)も保てなくなるかもしれない。


「その前に、暴力のハルファスを倒す事を祈るしかないですね」

「いのろーう!」


 だからこそ、デルタちゃんは、こんな状況下で、2人して正座して話し合っているヴァーミリオンとノワルーナ領主を見て、「何しているんだろう?」と理解不能のエラーを出すのであった。

暴力のハルファスの権能、【暴力犯罪空間】!!


生物を惨めな格好、非生物を暴走させて仲間にする

そういう、ハルファスにとって都合が良い空間!!


元は、魔王ユギーの持っている遊戯【おままごと】を

誇張拡張しただけなのに!!


そんな世界に突き刺さっている武器が、普通だと思う?

残念、暴力性をマシマシにするトラップでしたぁ(*'ω'*)

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