第373話 魔王ユギーの五本槍、暴力のハルファス【新しく幹部になりました、お披露目配信】
【ハハッ、ハハッ! アッヒャヒャヒャッ!】
【大衆】の仮面を被った悪魔----魔王ユギーの身体を乗っ取った群妖精ハルファス・レギオンは、喜びの声をあげる。それと同時に、魔王ユギーの身体から物凄く強力なエネルギーが出ているのを、みんな感じていた。そのエネルギーがなんなのかはみんなは分からなかったが、ただ1人、ヴァーミリオンだけが理解していた。
----あれは、進化である、と。
「("魔王ユギーを復活させる"----それが、あの群妖精ハルファス・レギオンの願い。それが達成された事で、進化したと考えるのが妥当でしょう)」
もう、あの群妖精ハルファス・レギオンは、さっきまでとは別物だ。
魔王ユギーの身体の中で、1億体以上の微妖精たちが力に満ち満ちていく。1体1体の力の増加は決して大きくはないが、1億体もの人数ともなるとだいぶ変わって来る。
【これで魔王ユギー様は復活した! 私の願い通り、復活して……復活して? えっ、私は次に何をすれば?】
皆が分かるほどの、圧倒的な変化を遂げた群妖精ハルファス・レギオン。しかしながら、次にどうすれば良いか困惑している様子だった。
今がチャンスかと皆して思っている中、皆の頭の中に、1つの言葉が鳴り響く。
【アナウンスを行います! アナウンスを行います!
>>群妖精ハルファス・レギオンが 魔王ユギーの復活によって 進化しました
>>魔王ユギーの五本槍に 選ばれました
>>あなたの担当分は 【暴力】です
>>魔王ユギーとして 命令します
>>あなたは 【暴力のハルファス】です】
ぴかぁーんっと、光り輝くと共に、【大衆】と書かれていた仮面の文字が、新しい文字に、【暴力】という文字へと変わって行く。
【あぁ、魔王ユギー様! この私を、私を、私を、魔王ユギーの五本槍として選んでくださりありがとうございます! まだ私を導いてくれるんですね!
見ていてください、魔王ユギー様! あなた様の身体で、あなた様からもらった称号に相応しい力で、あなた様を楽しませる娯楽をお見せしましょう! ----【暴力犯罪空間】!】
パチンっと、ハルファスが指を鳴らすと共に、世界が真っ白い光に包まれる。そして、次に人々が目にしたのは、
「「「「「「なに、これ?」」」」」」
彼らが目にしたのは、"世紀末"。
緑あふれた自然の草むらは、焼け焦げた岩肌の地面になっており、地面には使い古された剣や、薄汚れた魔法の杖、刃こぼれしている斧など、戦場の武具が地面に突き刺さっていた。
そして、清潔さが溢れていた、あのホテル・イスウッドは、割れた窓ガラスだらけで、壁などがペンキで汚れており、まさしく暴力溢れる世界のホテルになっていた。
「なんだ、これは?」
そして、一歩踏み出そうとした人は驚いた。
自分達がさっきまで着ていた服が、騎士の制服が、冒険者としての実績の上で大切にしてきた防具が、伝承や謂れのある伝説の防具が。
全て、世紀末的な、薄汚れたファッションになっていたからである。
【さぁ、ここからは暴力、暴力、暴力のみの世界! 皆さん、暴力が溢れる世界で、楽しく、愉快に、そしてお馬鹿に、魔王ユギー様を楽しませなさい】
いつの間にか、ホテル・イスウッドの屋上へと移動していたハルファス。魔王ユギーの身体でそう笑うと共に、ホテルの中から大量のスタッフ型ゴーレム達が出て来る。
しかし、中から出てきたのは、ホテルのお客様に優しく接してくれる、スタッフ達ではなくて----
【おうおうおう! 金出せヤァ!】
【酒だ、酒を持ってこい!】
【ヒャッハアアアアー! 血を見せやがれぇ!】
暴力の世界に支配された、何故か頭にモヒカンを生やしたゴーレム達。そんなゴーレム達が、モヒカンというふざけた恰好ながら、デルタちゃん並の卓越した身体能力と戦闘能力で襲い掛かる。
「やるしかないな……」
「あぁ、死んでたまるか」
「こんな服装がなんだ! 俺達は、冒険者だ!」
冒険者達はやる気を見せ、戦場に突き刺さっている武具を手にして。
「恰好がなんだ、見てくれがなんだ!」
「そうだ、我らは----」
「「「「----シュンカトウ騎士団!」」」」
騎士団の兵士達も、負けじと戦闘に挑む。
そんな中、
「ねぇ、ヴァーミリオン。妖精って、どういう事?」
ヴァーミリオンは、ノワルーナ領主に問い詰められていたのであった。
(※)暴力のハルファス
魔王ユギーの五本槍の1人。魔王ユギーが"このタイミングで五本槍に認めたら、良さそうじゃない?"と、群妖精ハルファス・レギオンに『おままごと』の力を与える事で着任した
担当するのは、暴力であり、クライムアクションゲーム。専用能力は【暴力犯罪空間】。周囲の者達に"ギャング"や"ヤクザ"といった犯罪者的側面がある服装に変え、周囲の物体を世紀末的な倫理観欠如の空間へと変え、暴力というルールに支配された空間へと変える。なお、ゴーレム達は物体という、生きていないという判定になるため、ハルファスのために敵を殲滅するお邪魔ギャングモブとなる
四天王とか、名称だけで何人なのか分かる幹部系統を出すと
必ず、人数よりも多くキャラを作ってしまう
私の癖です(*´Д`)




