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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第370話 大穴から来たりし者配信

 すーっと、元の形に戻った大穴から、1体の悪魔が現れる。


 その悪魔は、頭に金色の輪を浮かべている、蛙のような顔をした悪魔。その悪魔は、両腕と左足が赤い部位になっており、筋骨隆々な屈強な身体を持った悪魔であった。


『あぁ……魔王ユギー様! ようやくお帰り頂き、このハルファス、心から歓迎致します!』


 ははぁ~っと、頭を下げて歓迎の意を表す悪魔ハルファス。一方、ヴァーミリオンは悪寒が止まらなかった。


「(なんですか、あの邪悪な悪魔は……!?)」


 全身から、身体の奥底から冷えるような恐怖が湧き出て来る。怖い、苦しい、辛い……一刻も早く、この場から逃げ出したいと、ヴァーミリオンはそう思っていた。


「(これほどまでに強い恐怖(プレッシャー)を出してくるとか、魔王ユギーの伝承にはなかったはずですけど?!)」


 ヴァーミリオンが知る限り、魔王ユギーは堕落の象徴として有名だ。

 ありとあらゆる娯楽を司り、周囲に悦楽や怠惰をまき散らし、生きている事そのものに飽きてそのままゆっくりと死を選ぶという、そういう堕落の精神を人々にまき散らしていたからこそ、世界を滅ぼす魔王として有名になった。

 このような、ただ居るだけで、恐怖を押し付けて来るなんて、堕落とは正反対のはずだ。


 ハルファスはいったい、何を呼び出した?

 ヴァーミリオンはそう思いながら、逃げ出したいという気持ちを気合いで押さえつけ、大穴から出て来た魔王ユギーをじっと見つめる。




【…………。】




 大穴から出来た魔王ユギーは、一切動かない。呼吸すらせず、ただじっと動かずに、立っているだけだった。


『まさか……』


 いつまでたっても動かない魔王ユギーに、流石の悪魔ハルファスも違和感を感じたらしい。恐る恐るという形で、そっと、魔王ユギーの身体に触れる。


 ----こつんっ。


 冷たい音が鳴り響くだけで、魔王ユギーは一切動かない。そして、悪魔ハルファスは滝のような汗を流し始め----


『失敗したぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!』


 大きな声で、そう言うのであった。




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




『失敗した……』


 悪魔ハルファスは、そう口にした。


『魔王ユギー様は、確かに現世に戻られた。しかしながら、()はない。魔王ユギー様を支える根幹たる精神は、未だに悪魔の世界----ただ、この身体だけが、この世界へと舞い戻られた……』


 その言葉で、ヴァーミリオンは事態を把握した。

 この場に居るのは、魔王ユギーの身体だけ。この全身が恐怖する気配の主は、この魂のない魔王ユギーの抜け殻から出ているという事。


「(つまり、魔王ユギーは、この恐怖をも覆すほどの、強力な堕落エネルギーの化身って事?!)」


 恐るべきことを知ってしまったと、ヴァーミリオンは思う中、悪魔ハルファスは『キャハハアハッ!』と、狂ったように笑い始めた。


「どうしました? 降参しますか?」


 狂ったように笑う悪魔ハルファスに、ヴァーミリオンはそう提案する。


 今すぐ逃げ出したい気持ちはあるが、この魔王ユギーはただの抜け殻。攻撃される事はない、ただの置き物である。

 そして、悪魔ハルファスの能力は、先程把握済み。要は3回攻撃を与える前に倒せば良い。つまりは、相手を一撃で倒すという事に、重点を置いて戦えばそれで良い。

 重力の剣を使った攻撃は、上手く行ったし、それと同じように重力を武器の形状に変えて、戦えば良い。3回攻撃を当てる前とはいうが、3回連続で当てたらいけないだけかもしれないし、2回攻撃したら待てば良い。少なくとも、絶望的な状況ではないと、勝てる可能性はあると、ヴァーミリオンはそう考えている。


『降参?』


 クルっと、悪魔ハルファスはそう言って、ヴァーミリオンを見る。


『降参なんて、する訳もない。なにせ、魔王ユギー様はお帰りになられたのだから』

「そんな、抜け殻に、何が出来ると?」


 敢えて挑発的な言葉を使って、悪魔ハルファスを煽るようにそうヴァーミリオンが提案すると、悪魔ハルファスはペタッと、魔王ユギーに手を添える。




『えぇ、ですので、私が(・・)魔王ユギーに(・・・・・・)なる(・・)




 悪魔ハルファスがそう言うと、魔王ユギーの身体になにか小さいモノが吸い込まれていく。


「まさか、そんなっ……?!」


 そこまでして初めて、ヴァーミリオンは悪魔ハルファスの正体に気付いた。

 重力を身体全体を攻撃するのにしたのに効かなかった理由、すぐに重力が効かなくなる理由、ホテル管理特化型ゴーレムであるイータちゃんが悪魔ハルファスを『泥棒』と呼んだ理由。

 それら理由の全てが、魔王ユギーの身体に吸い込まれていくモノを見て、ようやく分かった。いや、分からなければならなかった。他ならぬ、赤髪妖精ヴァーミリオンは、悪魔ハルファスを見て、分からなければならなかったのだ。


「あなたは、悪魔ハルファスは……!!」


 ----ギラッ!!


 ヴァーミリオンが言葉にしようとしたその瞬間、魔王ユギーの、抜け殻だったはずの魔王ユギーの瞳が怪しく光り出す。



【ウォォォッォォォォォォォォォ!!】



 そして、大きな声で、誕生の産声をあげるのであった。





 魔王ユギー、ここに復活す。

遂に復活、魔王ユギー!!


さぁ、ここからは絶望の時間の始まりです(''◇'')ゞ

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