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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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355/430

第355話 ヴァーミリオンは妖精だから我慢できたけど、人間だったら我慢できなかったぞ配信

「かはっ……!」

『おや、生きてた? すごーいね』


 パチパチっと拍手をして、なんなら先程放った極太の火炎魔法をそらにむかってはなってお祝いして来る悪魔ハルファス。完全に煽り行為でしかなかったが、それを止めようとする気力はヴァーミリオンには残っていなかった。


「(今のは、なんだ?)」


 ひしひしと痛む身体を押さえながら、ヴァーミリオンは思考する。


 完全に避けられる攻撃であった。

 それなのにも関わらず、それまでなんも問題なく使えていた重力の能力がいきなり制御不能となり、さらには身体が突然動かなくなってしまい、結果として当たってしまった。それも、的確(クリティカル)に。


 なんとか動けている、意識を失わずに済んでいるのは、ヴァーミリオンが妖精だからだ。

 人間は血液の20%急速に失うと、出血性ショックという状態になり、生命に危険が及ぶとされている。人間はそれほどデリケートな存在だ。

 一方で、妖精であるヴァーミリオンは、たとえ身体の血液が1%以下になろうとも、魔力さえ残っていれば生きていける。人間とはそもそも身体の構造がまるっきり違う。


 中級妖精となり、人に似た姿になったヴァーミリオン。しかしながら、その本質は妖精であるため、血液の大半を失うような、血液の80%を失うような攻撃であったにしても、彼女は普通に生きていた。

 ただ、ダメージは相当であったため、彼女は立ち上がる事は出来なかったのだが。


『私の攻撃を受けて、死んでない、死んでない、死んでないとは! 驚くべき生命力、生命力、生命力! だがしかし、もう動けないでしょう』


 ハルファスはそう言うと、その手をホテル・イスウッドの方へと向ける。


『さてさて、それじゃあ計画を遂行しましょう。あのホテルを魔法で破壊、破壊、破壊して、人々が逃げ惑っている間に、ホテルのエントランス付近にこの【黒キ翼】をセットして----』


 ----ぴゅんっ!


 【アイテムボックス】の中からハルファスはキーアイテムである【黒キ翼】を取り出し、それを眺めようとしていた。しかし、その【黒キ翼】はいきなり放たれた銃弾によって、燃やし尽くされていた。


『だっ、誰?! またしても邪魔者?!』

『はい、邪魔者でございます』


 すーっと、ハルファスの前に、半透明姿の女性、イータちゃんが現れる。


『ホテルの窓から映像を投影する形で、お邪魔致します。わたくし、ホテル・イスウッドの管理を任されていますゴーレムのイータと申します。初めまして、ハルファス様』

『へぇ~。映像投影されたゴーレムとは、初めて見ました! すっごく、すっごく、すーっごく----邪魔なんで帰って貰えませんか?』


 ----どごぉぉぉぉんんんっっ!!


 ハルファスは、ヴァーミリオンを倒した極太の火炎魔法を、ホテルに向かって放つ。放たれた火炎魔法は、ホテルにぶつかって、そして----



『ありゃりゃ、こりゃあダメだねぇ』



 傷一つないホテルの姿を見て、ハルファスはお手上げだと、笑っていた。そしてそのまま、倒れているヴァーミリオンを踏みつけながら、イータちゃんと話し始める。


『私の魔法、普通の建物程度なら跡形もなく消し飛ばせるんだけれども? なにせ、さっきの魔法には、ぶつけた対象の中から破壊する魔法が組み込んであるんだから』


 ハルファスは得意げにそう語っていた。

 

 ハルファスが使う極太の火炎魔法は、ぶつかると同時に一気にその衝撃は対象となる物体の中心(コア)へと向かい、その中から一気に破裂するという恐ろしい魔法。ハルファスが一撃で相手を倒せるといったも頷けるような魔法であり、妖精のヴァーミリオンだからこそ助かったような魔法だ。

 それはホテルのような建物にこそ十分に作用し、建物の一番中心へと辿り着いた魔法が、中から盛大に破壊する予定だったのだ。


『それを教えたら、先程、そこの妖精さんがいきなり動けなくなって、魔法を受けた理由を教えてくれるんでしょうか? 是非とも、今後の参考として、マニュアルに記載したいのですが?』

『それは無理、無理、無理な相談ですねぇ』

『そちらがそういう態度なら、マニュアルに明記されている通り、教える事は出来ません』


 お互いに、相手の情報を知りたがっている。

 そして、お互いに情報を出さないという選択で落ち着くと、ハルファスはヴァーミリオンに、もう一度、火炎魔法を放つ。


 完全に意識が飛んだのを見て、それでもなお姿を留めているヴァーミリオンを、ハルファスは不思議そうに見つめていた。


『この人間、どういう生命力をしているんでしょう? 普通、身体の内部から破壊されれば、どんな生物だろうとも一発で瀕死か即死、二発で死が確定すんですが』


 まさか、その正体が妖精とは思わず、ハルファスはひょいっと飛び降りると、イータちゃん、正確にはホテルをビシッと指差す。


『まぁ、今日はこの辺で勘弁しておきましょう。だが最初に言っておきますと、必ず私はもう一度、この場に戻ってきます。

 ----そう、今回以上の惨劇を広げに、ね』

『では、その事をスケジュール管理として覚えておきましょう。ハルファス様』



 こうして、悪魔ハルファスは静かに去って行った。

 悪魔が消えたのを見計らって、イータちゃんはホテルのスタッフに指示を出す。

 

 ホテル前のヴァーミリオンを回収して、手当をしろという指示を。


『ごめんなさい、ヴァーミリオンさん。手助けできなくて』


 イータちゃんは聞こえていないだろうけれども、ヴァーミリオンにそう謝罪する。

 彼女を助けたい気持ちはあった。しかしながら、何故か(・・・)ススリアや道場に通信が送れなかった。どうやらあの悪魔ハルファスの作り出した結界のようなモノだったのだろうと、イータちゃんはそう分析する。


『オーナーたちの手助けがないと、こちらが撃てる手立てはスタッフ型ゴーレムを出すくらいしかないし、お客様を守るためにも彼らには生き残って貰わなければならないので』


 だからこそ、ハルファスが去ってくれて、本当に良かったと思うイータちゃん。


『さて、悪魔が居なくなったことで、通信が復活したようですね』


 通信が復活したのを感じて、早速オーナーたちに情報を送るイータちゃんなのであった。

悪魔ハルファスは撤退しました

彼にとっては、無理して攻める必要はないので

撤退するのは1つの手段でしかないんですよね


まぁ、あとでまた攻め込むのは確定してますがww

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