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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第348話 パンVS.雪だるま【ホテル・イスウッドの戦い配信】(2)

 パンで戦うバニーガール、『ぱんぱかレディ』。

 雪だるまの魔法にする吟遊詩人、『愛の叫び(アイスクリーム)』。


 2人の、色物枠として有名な配信者たちの戦いは続く。


(※)『しかし、お互いに決め手にかけますねぇ』『あぁ、お互い強いからなぁ』『防御手段としては格別な手段を持つ2人ですからね』


 しかし、その戦いは、お互いに決め手に欠けていた。

 なにせ、2人とも、相手の魔法を完封する最強の手段を持っていたからだ。


 ぱんぱかレディの、ハンバーガー魔法。2つのパン、バンズで挟む事によって、相手の魔法がなんであろうとも肉として防ぐことが出来る、対魔法戦におけるぱんぱかレディの最強の切札である。


 アイスクリームの、雪だるま結界魔法。結界内に入った相手の魔法を全て雪だるまにする魔法であり、アイスクリーム自身が感知できないところから放たれた魔法であろうとも雪だるまにして無力化する、対魔法戦におけるアイスクリームの最強の切り札である。


 お互いに、魔法における最強の防衛手段を持っているからこそ、決め手に賭けず、互いに技をぶつけ合っては、相手の防衛手段に防がれるという事を続けていた。

 視聴者達にとっては、いつ、どちらが相手の防衛手段をぶち破るのか楽しみにしている中で、当事者であるぱんぱかレディは自分が圧倒的に不利だと感じていた。


「(くぅっ! 近くにライバル店が出来た時くらい、今の状況はしんどいですね!)」


 ぱんぱかレディのハンバーガー魔法は、相手の魔法を見て防ぐ、()の防御魔法。一方で、アイスクリームの雪だるま結界魔法は、相手の魔法を見ずとも防げる、()の防御魔法。

 点で防御するぱんぱかレディと、面で防御するアイスクリーム。どちらの防御魔法が良いとかの話はしないが、それでもぱんぱかレディとしてはあちらの方が良いと思ってしまう。


 何故なら、こちらは相手がいつ攻撃するのかに集中しなければならないが、アイスクリームは防御を自動にする事で攻撃に意識を集中する事が出来る。

 しかも、配信画面にギリギリ映らないように、雪だるまを、ぱんぱかレディを囲むように配置している。


「(あの配置している雪だるまから、魔法を放って、一気に相手を包囲する。アイスクリームの常套手段の1つですね)」


 同じ色物枠として、ぱんぱかレディはアイスクリームの配信を見ていた。その中で、『雪だるまを配置して、魔法を放つ固定砲台ならぬ固定雪だるま砲攻撃』というのがあり、今回もそれでこの配信を華麗に勝とうとしている。ぱんぱかレディはそう分析していた。


「(----けど、甘いですね! 菓子パンよりも甘い分析です!)」


 ぱんぱかレディはそう言って、【アイテムボックス】の中から新作のパンを取り出した。


 そのパンは、"グリッシーニ"と呼ばれるスティック状のパンであった。ベータちゃんの配信で流れた新作であり、カリカリとした食感が特徴で、細長い形状から、別名『ブレッドスティック』と呼ばれることもあるパンである。


 そう、今回の配信のために用意した、新たなパンである。


 アイスクリームの配信を見ていたぱんぱかレディには、彼の弱点が分かっていた。

 それは----"冒険をしない事"。


 彼は、魔法探求系配信者であり、魔法を放ってそれが自身の体質だとどうなるかを検証する、そういう類の配信者である。そこでは色々な魔法を試したりしているが、冒険では違って来る。

 アイスクリームは時折、魔法の威力の検証と称して、ダンジョンなどで配信する事もあるが、基本的にはその検証用の魔法以外は、だいたいパターンが決まっている。


 そう、固定雪だるま砲攻撃も、何度も、それこそパターン化するくらい行っている、彼の必勝コンボなのだから。

 

「(配信者である以上、常に新たな話題(ネタ)を用意して視聴者を楽しませる! それこそ、配信者としてのマナー! さぁ、新作パンのお披露目です!)」


 ぱんぱかレディはそう強く思い、グリッシーニに魔力を込める。魔力を込めると、水を吸って膨らむかのように、大きく、そして力強く膨らんで行く。


「しゃららーん! 何度やろうとも、無駄なこと~♪」

「ぱんぱかぱーん! それは、どうか、なっ!」


 ぱんぱかレディは大きくなったグリッシーニを、アイスクリームに向かって放つ。放たれた巨大グリッシーニは、雪だるま結界魔法にぶつかり、そして----


 ----ぽきっ!


 先端部分のみ、折れ、そこだけが雪だるまとなって落ちていた。


「あなたの配信、閉店してからみたりしてますが、その雪だるま結界魔法には弱点がある」


 ぱんぱかレディは知っていた。


 点で防御する自分の魔法と違って、アイスクリームの防御魔法は面で防御する。

 面で防御する雪だるま結界魔法は、確かに強力である。だがしかし、どこからも防げるという魔法は、一点突破する魔法に弱い。

 

 ぱんぱかレディは知っていた。

 

 雪だるま結界魔法は、相手の魔法を一度完全に防御する。しかしながら、何度か配信中に完全に防げていない時があった。1つは大量の魔法を一気に放たれた時、そして相手の魔法を防いだと思ったら爆発する魔法で会った時。

 だからこそ、ぱんぱかレディは知っていた。


 雪だるま結界魔法は、相手の魔法を防ぐが、その後に追加効果を与える事で、突破できる。

 一点突破に弱い、面で防御するタイプの魔法である、と。


「なっ----!」

「ライバル店の情報収集(リサーチ)は大事ですよ、アイスクリーム。そして、もう1つ言っておきましょう」


 先端を失ったグリッシーニ。それはクルクルと回転し、そして回転の勢いによっていくつもの破片に、棒状の形状に分裂して行く。

 

「グリッシーニは、食べやすい大きさに折ってから食べるのがマナーのパン、ですよ?

 ----パン魔法、【グリッシーニ絨毯爆撃魔法】!」


 そうして、ぱんぱかレディの放ったグリッシーニによる爆破魔法は、アイスクリームを吹き飛ばし、この色物枠の2人による配信は、ぱんぱかレディの勝利で幕を閉じるのであった。

配信者が、別の配信者の見ているのって

ごくごく普通にある、あるあるだと思っています

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