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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第336話 商人ラジンと怪しい取引について配信

 商人ラジンは、黒いピューマの獣人族である。

 そして、黒い肌であるため、彼はピューマの獣人族ではないと、僅か3歳という子供の時に、彼は村を追放された。


 ほとんどのピューマの獣人族は、赤褐色、黄褐色、茶褐色、灰色など様々な肌の色の獣人族がいる。ごく稀に白い肌のピューマの獣人族も居るが、完全に黒い肌なんてモノは居ない。

 だからこそ、ラジンは黒い肌であるため、ピューマの獣人族ではないと言われたのである。3歳まで待ったのは、単に村人たちが赤子を捨てるのは流石に外聞が悪いと思っただけで、そこには愛情なんてモノはこれっぽちもなかった。


 彼は、ずっと独りであった。

 齢3つで村を追放された彼は、他者を信じる事を諦めた。


 幸い、ほかのピューマの獣人族とは比べ物にならないくらい、高い視覚と聴覚、そして運動神経があるため、彼は19歳まで単独行動系(ソロ)の冒険者として、それなりの活躍を見せていた。

 そんな彼が、ペーパーカンパニーの商人になった理由については、深くは語るまい。


 単に、出逢いがあった。そう、それだけの話だ。


『だよねぇ~、ピューマくん?』


 とある森の中。クスクスっと、笑い声が響いていた。

 すっと、急遽作った落ち葉ベッドから、ラジンは跳ね起き、その声の主から距離を取る。


『相変わらずだねぇ、ピューマくん? これまで、何度も、何度も、何度も、お会いしているのに、どうしてそうびっくりするのか、この私には分からないよぉ~』

「……性分だ、許せ」


 ラジンが短くそう言い切ると、笑い声の主はクスクスっとさらに笑う。

 そうして、木々の間から、ぬるりとそいつ(・・・)は現れた。


 そいつは、片腕が機関銃と融合している、黒い骸骨の男である。骸骨の男の頭の上には黒い王冠が不気味に光り輝いており、夜道やダンジョンで会えばまず間違いなく討伐される事が確定しているような要望の男であった。


『何度も取引している相手に対して、警戒、警戒、警戒っと、何度も逃げ続けるのが君の性分なのかい? それは実に滑稽、滑稽、滑稽っ!』

「……用件は何だ?」


 笑い転げそうになるくらい笑う骸骨男に対して、ラジンはとっとと本題を話せと催促する。骸骨男は、せっかく笑っていたのに冷や水をかけられたのか、少しがっかりした様子で本題に入る。


『君への次の依頼を送ろうと思っていてねぇ。そう、3件目、3件目、3件目の依頼だよぉ!』

「……トータルで言えば、もっとやっているだろうが」

『しかしながら、3件目の依頼は君も喜ばしいだろう! なにせ、願い事、願い事、願い事! そう、願い事を叶えるチャンスがまた来たのだから!』


 骸骨男の言葉に、ラジンはゴクリと唾を飲む。


 ラジンが、この骸骨男と出会ったのは19歳。冒険者であった頃、とあるダンジョンにて。

 謎の壺に封印されていた骸骨男は、ラジンと取引をした。


 ----こちらの取引を3回叶えてくれ。そうしたら、こちらは君の願いを1つ叶えよう。


 骸骨男は、巷で『悪魔』と呼ばれるヤバイ奴だった。

 骸骨男の名は【ハルファス】。"自分の願いを3つ叶えて貰う事で、相手の願いを1つ叶える"という権能を持つ、悪魔であった。


 本来であれば、そんな危なすぎる悪魔に関わる者なんて居ない。願い事を叶える悪魔なんて存在は、常識的な判断が出来る人間にとっては、怪しい一択である。

 そう、この悪魔と出会ったのが、"幼い頃に肌の色が変という理不尽(りゆう)だけで、故郷を追い出された者"でなければ、こんな怪しい状態にはなっていなかったであろう事は確かである。


 ラジンは、ハルファスの取引に乗った。

 ハルファスが指定して来る条件を3つ叶える事で、ラジンは色々な特権を得ていた。


 ----ただでさえ高い視力や運動神経の強化。

 ----悪魔(ハルファス)作成による、便利な魔道具。

 ----本来は持っていなかった魔法などの才能。


 ハルファス曰く、この権能は自分よりもっと上位の存在からしてみれば、劣化版どころか粗悪品程度の能力らしい。しかしながら、そんなハルファスの権能(ちから)に、ラジンは虜になっていた。

 

 次は、3つ目の取引。

 この取引を終えれば、またラジンはハルファスから願いを叶えて貰えるのだ。


「あぁ、そうだ。願い事を叶えて貰うチャンスなのだ。だからこそ、さっさと取引を言え」

『はいはい、分かったよ。取引の内容は、"いつものように君へと渡している【黒キ翼】を、イスウッドにあるホテルのエントランスに仕掛ける事"。それを終えて、この森まで帰って来たら取引成立だ』

「ちなみに聞くが、その取引で、お前は何を得る?」


 それは、ラジンがいつも聞いている質問だった。


 ハルファスの取引は、だいたいがこの【黒キ翼】のような商品をどこかと取引して来てだとか、そういう内容であり、ラジンは願いごとをかなえてもらうのだから、その理由を知りたかった。

 しかしながら、いつも通り、ハルファスは答えを----


『そうだねぇ、ピューマくんにはいつも世話になっているし、答えておこうかなぁ?』


 ----しかし、その日はいつもと様子が違っていた。


『ピューマくんにやって貰っている事はねぇ、実はねぇ』




 -----魔王復活の手伝い、なんだよねぇ。




(※)【願望の力(劣化)】

 悪魔ハルファスが持つ権能。ハルファス曰く、上位の悪魔であればもっと凄い力であるため、自分の力は劣化版との事

 自分の取引(ねがい)を3つ叶えてもらう代わりに、相手の願いを1つ叶えなければならないという能力。叶えられる願いはなんでも良いという訳ではなく、ハルファスが叶えられる範囲に限定されるが、逆に言えば【ハルファスが可能な事ならば、なんでも願う事が出来る】

 3つ毎に叶えるチャンスがあるため、必要なら何度でもこの力を使って、ハルファスに自信の望みを叶えさせることが可能である

悪魔は怪しいのですが、

それでもそんな悪魔の誘惑に乗ってしまう人って

歴史上で見ると、めちゃくちゃ多いと思います

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