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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第329話 イータちゃんはマニュアル大好きゴーレム配信

『初めまして、オーナー。【アルファ・ゴーレムサポートシステム】搭載管理特化型ゴーレム、イータに何か御用でしょうか?』

「おー、遂に完成した!」


 魔力を用いて映像が投影されるようにしたタブレット型魔道具に、1人の女性の姿が映し出される。

 右目に薔薇(ばら)の花を生やした、スマートなクール系美少女。虹色のウェーブロングヘアーはうねうねと波打つように揺れ動いており、胸元には【ホテル最高】と書かれていた。

 

 いま、イスウッドにて絶賛開発中の避難施設兼ホテル事業。そのホテルに搭載する高性能なゴーレムこそ、このイータちゃんなのである。


『しかして、オーナー。私は一体、なにをすればよろしいのでしょうか?』

「それは、これを見てくれたまえ」


 私はそう言って、クルリとタブレット型魔道具を持って、別方向へと向ける。そして、タブレット型魔道具の中に居るイータちゃんの視界に、ほぼ完成しかけのホテルが映し出されていた。


『ほぉ~、これが私が管理、そして運営するホテル【ホテル・イスウッド】ですね?』

「名前はまだ付けてないけど、まぁ、それで」


 既に大まかなホテルとしての外観(わくぐみ)は、完成。分配設備に関しても、おおむね問題なく設置は完了している。

 あとは、内装として家具や壁紙などを付ければ、1週間後くらいにはホテルとして完成する。


「イータちゃん、あとは君があのホテル内に接続(アクセス)し、用意してあるスタッフ型ゴーレムとの連携をお願いする」

『かしこましました、オーナー。では早速で申し訳ないのですが、ホテル内に接続をお願いします』

「勿論。いっぱい学習して、人々を喜ばせておいてくれ」


 私はそう言って、イータちゃんをホテル内へと接続するのであった。




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




 ホテル内と接続したイータちゃんは早速、スタッフ型ゴーレム達とシミュレーションを開始する。一応、【アルファ・ゴーレムサポートシステム】のおかげで最低限の知識はインプットされてはいるが、客商売である以上、常に最適解が取れる訳ではない。

 起こり得るであろう何百、何千通りにも及ぶ迷惑行為(トラブル)を考慮しつつ、運営するように調整し始めた。


 ホテル業と言うのは、つじつま合わせの接客業だと私はそう考えている。

 前世の知識だと時間通りに来るように動き、時間が少しでも遅れると「遅れたこちらが悪かったなぁ」くらいに思ってくれる人が多いが、ここは剣と魔法の世界であり、この【ホテル・イスウッド】に来るお客様はほとんどが貴族だ。


 朝、起きたいときに起きる。

 昼、食べたいときに食べる。

 夜、寝たいときに寝る。


 配信という文化により、1日が24時間で、1年が365日というのはこの世界に住まう者達に浸透しているようだ。しかしながら、時間に縛られているという感じは、この世界からは感じられない。


『これに関して、オーナーに保温機能の提案をいたします』

「あー、確かにそうだね」


 私はイータちゃんから依頼(リクエスト)を受けて、ホテルの迷惑行為に対するシミュレーションの結果、どうしても今の設備では対処できないという事に関してのみ、魔道具を作るという形で解決のお手伝いをする。

 今回、イータちゃんからの依頼は、保温機能。簡単に言えば、いつでも温かい料理が食べられるようにする魔道具の開発である。お客様には出来る限り、一番美味しい出来立ての温度で食べて欲しいという、イータちゃんなりの気遣いである。


「しっかし、問題がいっぱい出てきますわなぁ~」


 私は保温機能付きの魔道具を作りながら、イータちゃんにそう愚痴る。


 この保温機能以外にも、冷暖房設備の魔道具や、荷物を盗まれないようにする防犯設備の魔道具。さらに細かい所で言えば、パーティー会場で使うカラオケ設備の採点機能など、イータちゃんが私に進言して作ってもらった魔道具は既に50を超える。

 流石は、ホテルと言った所でしょう。初期投資額がイプシロンちゃんの養殖施設を大幅に超えている。


『ですが、オーナー。既にスタッフ型ゴーレムは何万通りものお客様の行動に対処できるよう、マニュアル化済み。もうしばらくお時間をいただけましたら、完璧なマニュアルを作り出せると思っております』

「マニュアルかぁ……」


 どうやら、このイータちゃんは、マニュアル大好きゴーレムらしい。

 様々な事態を対処するように開発したら、その事態を解決するマニュアルを一生懸命作り始める、そういう事をするのが大好きなゴーレムになってしまった。


「イータちゃん。マニュアルはあっても良いんだけれども、マニュアルが全てを解決する訳じゃないってのは知っているよね?」


 マニュアルと言うのは、あくまで指標だ。

 『こういう事態があった場合、こういう解決方法をすると良い』程度のモノであり、それが必ずしも最適解という訳ではない。マニュアル通りすぎる接客をすると、怒るお客様もいるかもなので、そこら辺はきちんと分かった上で業務を行って欲しいと、私はそうイータちゃんに言っておく。


『なるほど。オーナーのお考えは良く分かりました』

「分かってくれたのなら、それで----」

『では、早速。マニュアル通りに行かなかった場合に備えて、マニュアル通りではない場合のマニュアルの作成を----』


 うん、全然分かってないよね。それ。


 私は、イータちゃんのマニュアル思考をどうにかしようと、頑張る日々を送るのであった。

マニュアルが好きな人って、居ますよね

「この事態は、マニュアルに書かれていたからこういう対処で!」と、

マニュアルに書かれている事に執着しまくっている、マニュアル大好きゴーレム

それが、イータちゃんであります

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