表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

326/431

第326話 ノワルーナと赤髪ヴァーミリオン配信(1)

 ~~赤髪妖精ヴァーミリオン~~


「ふむ、これで行きましょう」


 冒険者ギルドのギルド長室、その部屋にギルド長にしてイスウッドの領主であるノワルーナの姿はあった。彼女は机の上に積み上がった書類を、物凄い速度で処理していく。


『成長しましたね、彼女』


 そんな彼女を、私----赤髪妖精ヴァーミリオンはこっそりと、天井から覗き込んでいた。


 ノワルーナ、彼女は凄い。

 私が彼女の事を監視し始めた頃は、あんなにテキパキと仕事が出来る訳ではなかった。むしろ、あまりに出来なさすぎて、手伝いに来た人達に溜め息を吐かれるくらいだった。



「やはり、お飾りの元王族に書類仕事なんて出来る訳がないか」

「まったく。迷惑をかけるなら、とっとと王城に帰ってくれないかな」

「いっそ、代官をよこしてくれた方が、よっぽどマシだ」



 そんな風に言われていたのが、嘘みたいに、ノワルーナは成長した。

 毎晩、寝る時間を削って、こっそりとススリアの家にいるガンマちゃんというゴーレムに、事務処理を教えて貰ってるのが、徐々に効果が出て来たみたいで、今では文句を言っていた人達も感心しているくらいだ。



「お飾りと思いきや、今では俺達よりも仕事が出来るんじゃないだろうか?」

「元々、地頭が良いとは聞いていたが、なにかコツでも掴んだんだろうか?」

「どちらにせよ、使えないギルド長より、使えるギルド長の方が良い。このまま頑張って欲しいモノだ」



 彼女は周囲に侮られていた。しかし、それも自身の頑張りによって、周りからの評価も変えて行った。


『凄いな、本当』


 私には、出来なかった事だ。

 『死の森』にて、上級妖精になりたいと常日頃から言ってはいたが、それでも私はなにも行動に起こさなかった。いつの日か、この願いが叶う日が来ると、私はそう楽観視していただけだった。


 大切なのは、願う事ではない。そうなるように、努力する事だった。


あぁ(・・)なんで(・・・)こんな事が(・・・・・)分からなかった(・・・・・・・)んだろう(・・・・)


 イプシロンちゃんから教えて貰った。

 ----私がなりたい上級妖精の姿を描いていないから、いけないのだと。


 それは確かにそうだった。

 私には上級妖精になりたいという夢はあったが、どういう上級妖精になりたいのかという姿が思い描けていなかった。


 そして今、ノワルーナが頑張って、周囲に認められた姿を見て、私は感じた。




 ----そうだ。私は、彼女(ノワルーナ)のような上級妖精になりたい。




 努力する事によって、周囲の者達にも認めて貰える。周囲の者達の評価すらも変える、そんな影響力を持った上級妖精に。


 ----むくむくっ!


 私がそう自覚すると、私の身体が大きくなり始めて行く。

 小さな人形サイズだった私の身体は、天井という小さな隙間では隠せないほどの、普通の人間と同じくらいの大きさにまで、大きくなっていた。


『やった! 下級妖精から、中級妖精になれたみたい!』


 変わったのは、大きさだけじゃない。

 自分が中級妖精に変わった事。そして、『重力』なる力を操れるようになった事。私はそれらを一瞬にして理解した。


 中級妖精になれた、それは即ち上級妖精へと近付いた事を意味する。

 私はいま、着実に進歩(ステップアップ)している事を、私は実感していたのであった。



 ----ぴきぴきぴきっ!


『まずっ……!?』


 

 私の足元から、そんな不穏な音が聞こえて来る。急に大きくなったため、私の重みに床が耐えきれなかったようである。


『いや、それだけじゃない』


 私はそこで、『重力』という私が新たに使えるようになった力が関係している事に気付いた。


 重力、それは上から下へと落とす能力。

 中級妖精となった今の私は、そんな重力の強弱を操れるようになったのだが、どうやら進化した直後で能力がきちんと制御できていなかったみたいで、自分の重みをめちゃくちゃ重く、天井が耐えきれないくらいに重くしていたみたいだった。


 今すぐ離れないといけないと思って、背中から羽を生やして逃げようとしたのだが、時すでに遅し。


 ----ずしゃあああああん!!


『きゃああああ!』


 どしぃんっと、私はそのまま天井から落ちてしまった。


「----?! "いきなり出てくるとか不審者以外の何物でもないよね!"な女の子が、いきなり出て来た?!」

『えっ、と私は、その……』


 落ちて来た私を見て、ノワルーナは警備員----常駐している私兵に連絡しようとしている。

 まずい。あの人形サイズでないのは良かったが、それでも妖精とバレると厄介な事になるのは目に見えている。


 どうにかして誤魔化さないとと思って、私は必死に考えを巡らせる。

 なにか、いきなり部屋の天井から落ちて来たというこの不自然な状況を、自然な状況へと持ち込む一手はないか、と。


『----そうだ、あれなら!』


 そこで私は、ノワルーナが見ていた書類を思い出す。そうだ、あれならおかしくない。


「あれ? なにか仕掛けてくる気なら、すぐにでも……」

『私、避難民です!』


 ノワルーナが言い終わる前に、私はそう口に出していた。


「避難民……?」

『そうです! この街が避難都市だと聞いて、避難しに来ました私、赤髪ヴァーミリオンと言います!』

ヴァーミリオン、遂に中級妖精へ!!

これにより、人間とほぼ同じ大きさに成長しまして、

『重力』を司る妖精となりました!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓途中でも『ご感想』『こうなったら面白そう』『こんなキャラどう?』という発想、また『フォロー&☆評価』お待ちしております!

カクヨム版(最新話更新中)!! 是非、ご覧ください!!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ