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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第321話 腹芸が出来ない領主様配信

 アレイスターの協力によって、【職業力】の凄さが分かった。【職業力】を使って作った【信仰と理想と天使と悪魔】によって、アレイスターは新たに【魔術理解度向上】、【騎乗スキル】、そして詳しい調査こそ出来なかったけれども【信仰度向上】の獲得が出来た。

 ゲームで言えば、スキルポイントなしで新たなスキルを獲得できるという【職業力】。これは、今後私の新たな武器となる事間違いなしでしょう。


 魔法魔道具【競争会場(バトルフィールド)】で、アレイスターの強化を確認できた私。

 アレイスターにはこの力を実践で試してもらうべく、デルタちゃんやダヴィンチのように素材回収に早速向かってもらった。アレイスターも【魔術理解度向上】の凄さを確かめたかったみたいで、ルンルン気分で向かっていた。


 そして、ベータちゃんやガンマちゃんのいる自宅へと戻って来た訳なのだが----


「ようやく帰って来てくれましたね、ススリアさん! きちんと面会の約束(アポ)を取って待っていたのに、"いきなりバックレるとか本当何をしているんだよこの女は!"と罵りたい気分でしたが、返ってくれて嬉しいです」


 なんか、かなり怒り気味のノワルーナ領主様が家で待っていた。ピキピキッと額に怒りの(しわ)が浮かんでおり、笑顔なのに目は笑っていないというのはこういう状態なのだなと言わんばかりであった。


「(うそ、もう待っていたの?)」


 実は今日、ノワルーナ領主様とは面会の予定が入っていた。面会内容は、今後のイスウッドの発展計画についての会議という、一領民と話し合う事ではないと思うのだけれども、「その一領民の意見が聞きたい」と彼女が熱望したため、今日、彼女と話す事になっていた。

 だからこそ、彼女が家の中に居るのは、そんなに変な事ではない。


 しかしながら、時間が速い。まだ面会予定時刻の1時間前だよ?

 いくら時間前行動が大切だからと言って、流石にこれは速すぎる気がする。


 それに、そもそもデルタちゃんを通して「その日は予定が入っているので、遅れる場合もあります」と返事をしていたはずだ。

 今日、アレイスターの【信仰と理想と天使と悪魔】の効果の検証を行うから、「その後で良かったら良いよ?」と返していたはずなんだけれども。


「(そんな分かりやすく、怒りを表現しないで欲しいんだけれども)」


 洗脳によって、少しは良くなったと思っていたノワルーナ領主様であったが、やはりまだまだお姫様時代の癖|(?)みたいなのは抜けきっていないと見える。


「ノワルーナ領主様、1つ進言させていただきます」

「よろしい。直接、進言する事を許す」


 私が下手(したて)に出ると、彼女は気分を良くしたのか、鼻から荒い息を出してそう言う。


「では----少しばかり、家に来るのが速いのでは? まだ1時間前のはずです」

「早ければ早いほど良いでしょう。遅刻するよりかは、よっぽど良いはずです」

「早すぎても、相手に迷惑ですよ」


 相手にだって、都合があるんだから。

 そもそもこちらとしては遅れるかもしれないという前提で話しているのだ。遅刻するなとは言わないけれども、流石に来るのが早すぎるんじゃないかと、私は思うのだよ。


「あと、あんまり分かりやすく怒りを顔に出さない方が良いですよ」

「むっ……でっ、出てましたか」


 私が指摘すると、彼女はしゅんっと小さくなった。


 そもそも彼女は、元々このタノタノ王国のお姫様であったのだが、王には成れないと判断されて、このイスウッドの領主に任命された、いわば欠陥品。

 なにかしらの、王には成れない致命的な欠陥があると思っていたが、まさかあの怒涛の悪口罵詈雑言癖のみならず、腹芸----表情をコントロールできないという、貴族として大切な技能が欠けていたとは。


 王とは、時には自分の本心を隠して、冷酷な判断を下さなければならない場合がある。

 そんな時、顔に出るほど分かりやすく表情を出していたら、他者に侮られたり、あるいはそこを隙と見て狙われる可能性が高い。


 ノワルーナ姫から王位継承権を剥奪したのは、英断だと言えるだろう。

 それで、領主として任命されてやって来られたイスウッドに住まうこちらとしては、溜まったモノじゃないけれども。


 腹芸が出来ないと、王には成れない。そして同時に、領主としても向いていない。

 私はそう思うのだが----


「まぁ、今さら言っても仕方ないか」

「----?」


 訳も分からずキョトンとしている、ノワルーナ姫。キョトンとしている事が顔からでも分かるというのは、流石にどうかと思うけれども、これが彼女なのだから仕方がない。

 ここはイスウッド。タノタノ王国の辺境に位置する場所。道場やら教会のおかげで、片田舎にしては少し住みやすい場所にはなりつつあるけれども、それでも辺境である事には変わりない。


 そんな辺境に押し込まれる領主が、まともな訳がないよな。うん。


「なんか、凄くバカにされている気分がします」

「してませんよ、バカには」


 腹芸が出来ない事は、王としては、領主様としては問題だと思う。

 しかしながら、人間として見るなら、この方が会話しやすいんじゃないかと私はそう思うのであった。

貴族の必須スキルって、腹芸だと思う

顔をきちんと作れない人に、誰も付いて来ないと私は思っている

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