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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第314話 ススリアは懺悔をするようです配信(1)

 イスウッドに建てられた教会。この教会の中に、私達のお目当ての場所があった。

 そのお目当ての場所の名前は、【ビルドの間】と呼ばれている部屋である。この部屋は魔術神ビルド神様の加護によって、部屋全体に特殊な神聖術が施されており、今回の「自分を見つめ直す」という訓練に最適な場所であった。


 そもそもビルド神とは、魔術失敗の結果によって、自身が黒い泥のような身体になってしまった。自分が男か、それとも女なのかも分かっていないような身体になってしまったという状況に、魔術にしか興味がないビルド神は「それでも良し」として納得していた。

 しかしながら、魔術の中には、男性でしか使えない魔術、女性のみしか唱えられない魔術といった、特定の性別でしか発動できない魔術がある。その時のために使うのが、この【ビルドの間】である。


 この【ビルドの間】は、ビルド神様が自身を見つめ直すために作られた部屋である。


 【ビルドの間】はビルド神様の神聖術によって、自らの精神を見つめ直すための特別な神聖術がかけられている。部屋の中の1日が、外の世界では6時間という風に、時間の流れが大幅に変化している。この時間の流れが大幅に変化している部屋で自分を見つめ直すのに使われている。

 私達はこの【ビルドの間】にて、外の世界では3日間の修行に入る。つまりこの部屋の中での時間では、12日もの長い時間を使って、自分を見つめ直そうという修行を受ける事になったのである。


「では、こちらを置かせていただきますね」


 この修行をやってくれる教会側の人である、聖職者タメリックさん。彼女はそう言って、部屋の隅に上が赤色の砂、下が青色の砂という2種類の砂が入った砂時計のようなモノが置いて行く。


 この砂時計は、ビルド神様の神聖術が込められたモノで、精神に干渉する魔道具である。

 この砂時計は上下逆にすることで別の効果が発動する。青色を上にすると自分がなんなのかを思い出す効果があるのだが、今回は自身を見つめ直すために、自分の幻影を生み出して精神を揺さぶる方の効果を、上が赤色の場合の効果を使うようである。



【神具:【積み直す砂時計(ビルド・イン・タイム)

 片側に赤色、もう片側に青色の砂が入った、魔術神ビルド神様の加護が込められた魔道具。自分を見つめ直す修行、自身の記憶を取り戻す治療などに使われ、多くの教会で使用が行われている


 [上]青・[下]赤 ⇒ 自分の知らない過去を、呼び出す。記憶喪失となっている人物の記憶を呼び起こすのに重宝されるが、思い出したくない記憶まで呼び起こす可能性があるため、取り扱いには注意が必要となる

 [上]赤・[下]青 ⇒ 自分の幻影を生み出す。生み出された幻影は、現在の自分が抱えている悩みを聞いてくるため、自分自身を見つめ直すきっかけとなる】



 砂がすーっと流れ落ち始めると、私の頭がぐらんぐらんっと揺れ始めた。

 そして、目の前に、半透明な私の幻影が出現する。いや、正確には前の世界の私の姿である。


 髪はぼさぼさ、肌はカサカサ、おおよそまともな生活を送れているとは思えない痩せ細った身体。私の記憶にある、以前の世界での私の姿そのものである。

 この修行、もう1人の自分が幻影となって話しかけてくると聞かされていたが、どうやら私の場合は以前の世界での姿が参照されているみたいである。


『やぁやぁ、この世界の私。順調に成果を遂げているのに、まだ不安なのかい?』

「そうですね、前の世界の私。何事も順調にしないと」


 そう、前の世界の私は、頑張りすぎた。


 頑張って、頑張って、出世欲に支配されたかのように張り切り過ぎて倒れた。王都のメガロ錬金工房で働いていた際も、自分がどれだけできるかを試したいという欲求があった。

 今では、そんな事よりも、自分の時間を持つ事の方がよっぽど大事だと理解しており、悠々自適なスローライフを送るために、私はいまこの場に修行しに来ている。


『順調にしたいって、それじゃあこの世界の私のように、生き急いでいるのと同じなのではないかな?』

「同じじゃないよ。前の世界の私は、何も目標がなく、ただ働いていただけだ」


 仕事をしていない無職の人間が、カッコ悪いと思われていた。なにも健康面に問題ないのに、サボる事を悪だとされるような世界であった。

 だからこそ、私は働いていた。いまにして思えば、ただお金を稼ぐのでも、社会の役に立ちたいとかでもなく、自分が無職だと思われて(さげす)まれないためだけに働いていたような気がする。


「まぁ、メガロ錬金工房で働いていた頃も、同じような状況だったと言えますがね」

『それでも、ラグドゥーム工房長との出会いは無駄ではなかった』


 そう、彼女との出会いは、決して無駄ではない。

 【アルファ・ゴーレムサポートシステム】を作り上げられたのも、メガロ錬金工房をより良くするための向上心からやった行為だし。


『そうだ。私が問題視しているのは、意図しない挙動が起こる事だけだ』

「あぁ、それは前の世界も、そしてこの世界でもそう思っている」


 そうだ。そのために、私はそれを改善するために、こうして修行に入ったのだから。


『そして、分かっているはずだ。それは心がけ一つで対処できる事であり、修行するほどでもないという事を』

「……痛い所突くなぁ~」


 そう、実際に私の失敗は、心がけを改善する事で解消する。それは分かっているんだけれども、なかなか実行できないのが難しいのである。

【ビルドの間】! ここでの1日が、外の世界では6時間になります!

つまり、4倍のスピードで修行できます

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