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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第313話 私、修行しますよ配信

「という訳で、しばらくノワルーナ姫の行動を観察するんだそうです」

「何がどうしてそうなったかは分からないけど、了解したよ」


 ベータちゃんの報告に、私はそう返した。

 どういう理由かは全く分からないのだけれども、ベータちゃんの話によれば、赤髪妖精ヴァーミリオンは領主であるノワルーナに関心を寄せたらしい。あの、突発悪口お姫様のどこが良いのかは全く分からないのだけれども、しばらくノワルーナの行動を監視させて欲しいんだとか。

 どういう理由かは本当に全く分からないのだけれども、あの妖精がチラチラ飛んでいると目に入って集中がしにくかったので、それで納得してくれるならこちらとしても受け入れておこう。とりあえず、見つからないように魔道具【透明マント】を渡しておいたので、それでこっそり見ていて欲しい。


「では、マスター。私はガンマちゃんと配信がありますのでこれにて」

「あぁ、今日は『ミントケーキを作る』という配信だったね。頑張って来て」


 ミントケーキとは、ハーブであるミントを使った板状の砂糖菓子である。

 このミントケーキは失敗から生まれたお菓子である。本来は透明で硬いミントキャンディーを作ろうとしていた際、加熱の際に必要以上に混ぜすぎてしまい、透明ではない白濁色のモノが出来上がってしまった。失敗にガックリしてそのまま処分せずに放置したところ、翌朝、脆くて口の中でほどける美味しいお菓子が出来上がっていた。それがミントケーキである。


「マスターも一緒に作りませんか? 美味しいですよ、ミントケーキ」

「美味しいのは知っているけど、経緯がね……」



 最近、私は失敗した。



 意図しない、ダヴィンチの誕生。

 【スピリッツ】の【ポータル】事件にて来た、赤髪妖精ヴァーミリオンの襲来。


 この2つの失敗は、私にとっては大きな意味を持つ。

 ダヴィンチの誕生と、赤髪妖精ヴァーミリオンの襲来の2つは、どちらも、私がきちんと管理できていなかったからこそ起きた失敗である。


 ダヴィンチの誕生の件は、ライプラス・ハウンドの幼体をきちんと止められなかったから。

 赤髪妖精ヴァーミリオンの襲来も、私がきちんとゼータちゃんに確認を取らせれば防げた事態である。


 錬金術師の本分は、未知への探求心。そして未知の解体。

 未知の事態に対して、錬金術師はそれを自分が知っている知識で対処、そして応用するのが、この錬金術師の面白い所であり、大事な所である。

 そして一番大事なのは、この未知の対処をしっかりと管理している事である。


 素材によっては、空気に触れたら爆発するという厄介な性質を持っている危険物もある。そんな危険物を扱う際に、今の私の管理体制では大事故に繋がりかねない。

 赤髪妖精ヴァーミリオンの襲来はともかくとして、ダヴィンチの誕生の件は、下手をしたら無機質ジェルが暴走してしまい、とんでもない事態になっていた可能性があるのだ。


「今の私に必要なのは、しっかりとした管理体制を取り戻す事! そのために、今から私は、タラタちゃんと聖職者タメリックの2人と共に、修行に入ります」

「しゅっ、修行ですか?」


 そうです、修行です!

 己を見つめ直し、いま一度、錬金術師としての本分を取り戻さないと、スローライフとか言ってのんびり錬金術師をする事すら出来ない!


「良いですか、ベータちゃん?」

「はい、メモの準備は大丈夫です」


 早いね、メモの準備。


「まっ、まぁいい! 良いですか、ベータちゃん! 何事も、応用の前に基礎が大事なのだよ。基礎がきちんとできていなければ、省略したり、応用したりと、楽しむことが出来ない」

「なるほど。マスターが楽しく錬金術師ライフを送るため、基礎を見直すと。そういう事なのですね」

「そういう事なのですよ、ベータちゃん」


 という訳で、今から聖職者タメリックさん主催の、山籠もり修行をしてこようと思います!

 自分を見つめ直すために、私は、敢えて厳しい生活を体験して来るんです! そう、スローライフという楽しい生活を満喫するためにも、ここはしっかりと自分を鍛え直してくるんです!


「……なんで修行するのかは、赤髪妖精ヴァーミリオンの事よりも分かりませんが了解です」

「----? なんで分からないのかな?」


 赤髪妖精ヴァーミリオンは、あの突発悪口こちらの事情を何にも良く分かっていないお姫様であるノワルーナを監視したいと言ったんですよ? めちゃくちゃ変じゃないですか?

 それに比べ、私はスローライフをしっかりと満喫するために、いま一度自分を鍛え直そうとしているだけ。弟子であるタラタちゃんも「師匠が鍛えるなら自分もッス!」と、一緒に鍛え直す事を決めてくれただけの話。


 ヴァーミリオンと比べられるのは、はなはだ不本意なんだけれども。


「マスターがそう仰るのなら……では、今日の夕ご飯までには戻ってくださいね。今日はカレーを用意していますので」

「えっ? 修行は5日間くらいするから、それまで帰らないよ?」




 その後、『ミントケーキを作ろう』配信のはずが、何故か『マスターが家を出て行って悲しい』配信となり、盛大な事故配信になったのは言うまでもない。


「早く帰って来て、マスタぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


(※)『本日も荒ぶっておられますww』『ケーキどうした?』『ミントで落ち着こう』『ガンマちゃんなんとかして』『あんただけが頼りだ』『ケーキ作らせて』

ミントケーキというのは、本当にあるお菓子なんですが

ケーキというよりかは、どちらかと言うとキャンディーのようなお菓子です

千切って食べる、保存性が高いお菓子です

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