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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第312話 ヴァーミリオンと『管理者』ノワルーナ姫配信

 赤髪妖精ヴァーミリオンは、イプシロンちゃんに問いかけられた質問の回答(こたえ)を考えていた。


『"どういう者になりたい"ですか……』


 赤髪妖精ヴァーミリオンは、上級妖精になりたい。常にそう願っていた。そう願っていたからこそ、ゼータちゃんという異分子に近付き、こうしてゼータちゃんの主であるススリアの家までやって来たのだ。

 しかしながら、どういう上級妖精になりたいのかという事は、一切考えていなかった。

 上級妖精になりさえすれば、立派な上級妖精になれると思っていた。だからこそ、どういう上級妖精になりたいのかというのは、一切考えていなかった。


 だからこそ、"どういう上級妖精になりたいのか"と問われて、赤髪妖精ヴァーミリオンは答えられなかったのだ。自分は、どういう上級妖精になりたいのだろうか、と。


『うーん……』


 赤髪妖精ヴァーミリオンにとって、上級妖精と言うのは目標であった。『死の森』で妖精として生まれた以上、上級妖精になりたいと常に願っていたが、だからと言ってどういう上級妖精になりたいのかと言われると答えが出なかった。


『カッコいい? 美しい? 強い? 頭が良い?』


 "カッコいい上級妖精になった自分"だとか、"美しい上級妖精になった自分"だとか、そう言う感じに未来の自分を想像してみる。しかしながら、そういう未来も悪くはないと思うが、どうしても絶対にそうなりたいとは思えなかった。


『……うーん。いったい、どうすれば良いんでしょうか?』


 ふらふらと、空中を浮かんで漂いながら、赤髪妖精ヴァーミリオンは考えていた。いつの間にか、ヴァーミリオンの身体はイプシロンちゃんの養殖場から離れ、森の中へと飛んで行っていた。

 しかしながら考える事に集中しているヴァーミリオンは、その事に気付かない。『う~ん?』と、ヴァーミリオンは考える事に集中して、前を向いていなかった。


「うわっ?!」

『ぎゃふんっ?!』


 それだからこそ、ヴァーミリオンは前に立っていた1人の人物とぶつかってしまう。


「いたたっ……なんか、当たったような?」

『(マズッ……!)』


 ヴァーミリオンは、自身の妖精という立場が、ここではいかに貴重なのかを知っている。『死の森』においてはただの一般妖精でしかない自分が、ここだとどれだけ貴重であり、そして自分がどういう扱いを受けるかもだいたいが想像できていた。


 先程は、想像できなかった"なりたい自分"についての未来だが、ここで見つかればどういう最悪な事態が待ち構えているかについては、容易に想像できた。


『(一刻も早く、隠れないと!)』


 今までに出した事のない、それほどの俊敏さにて、ヴァーミリオンはサッと隠れた。


「むむっ……何も落ちてない? 気のせいだったのかな?」


 幸いにして、ぶつかった相手はすぐさまヴァーミリオンが隠れたのもあって、ヴァーミリオンの事については気付いていない様子であった。

 危機は回避できたとヴァーミリオンは一安心し、いったい誰にぶつかったんだろうかと、こっそりとその人物の顔を見る。


『(あれは確か……ノワルーナとかいう、領主?)』


 ヴァーミリオンがこっそりと様子を伺うと、ぶつかった相手はノワルーナ・タノタノ姫であった。その人物が、この辺りの領地の王である【領主】という女性だという事を、ススリアから聞いていた。


「まったく……ススリアさんに色々とご相談したい事があったんですが、幸先悪いですね。"あぁくそう! 窓という窓を破壊して回りたい!"という気分ですよ」

『(なんか、物騒な事を言ってるんですけど……?!)』


 自然(ナチュラル)にヤバい事を言う奴だと、ヴァーミリオンはビビっていた。こんな奴が領主とかいう、管理者をやっていて大丈夫なのかと、彼女は心配になって来た。


「まぁ、良いでしょう。"いまぶち殺すという楽しみもあったが、後からまとめてゴミ箱に捨ててやるぜぇ!"みたいな明るい気分で、今日は領主館へと戻りましょうか」

『(どこが、明るい気分なんですが……)』

「さぁ、明日には明日の風が吹く! この"ヘドロの方がまだマシ"といったくらいに寂れていたイスウッドを、この私が治めるのに相応しい優れた街に変えて見せますよ!」


 そう言って、勢いよく駆けて行くノワルーナ。


『ようやく行きましたね……』


 やれやれと、ようやく一息吐くヴァーミリオン。

 安心したのと同時に、ヴァーミリオンは感じていた。


 先程の、イスウッドの領主というノワルーナは、確かに言葉こそヤバい言葉を吐いていた。しかしながら『死の森』の管理者でもある赤髪妖精ヴァーミリオンは、同じ管理者として彼女の凄さが分かっていた。


『あのノワルーナ姫、凄い力を感じます』


 ノワルーナ姫からは、強さを感じていた。戦闘能力なんかじゃなく、なにか言葉には出来ないが、なにかしらの強さを感じていた。


『あの力の意味を知れば、きっと、私も……なりたい上級妖精の姿が分かるはずで……』


 自然と、ヴァーミリオンの歩みは、勢いよく前に歩いて行くノワルーナ姫の後ろを着いて行くのであった。

ノワルーナ姫、洗脳によって調整されてますが

それでもあの悪口癖は治ってないようです

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