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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第306話 死の森の妖精は騒がしい配信(1)

 ----『死の森』。それは、極地活動型ゴーレムであるゼータちゃんが現在活動中の極地である。


 この『死の森』は、人間が生きるのは不可能な森である。しかしながら、『死の森』は入るだけならば、それほど危険な極地ではなかった。


 あらゆる物を燃やし尽くす猛火の活火山みたいに、入ったら即死亡のトラップ地帯がある訳でもなく。

 永遠に続く不毛の砂漠みたいに、生物が活動していくのに必須な食べ物が極端に少ない訳でもない。むしろ、過剰に多いくらいである。

 ましてや、古代文明に支配された死の迷宮のように、人を積極的に殺そうとしている地域でもなく。

 猛毒に侵された沼地のように、入ること自体がほぼ不可能な場所でもない。


 ただ、『死の森』は一度入ると二度と出られないと言われる、迷いの森なだけである。


 この森は『死の森』という名前だが、それは入った人間が二度と出られずに死んでいくから名付けられただけで、森自体は生命力に溢れている。むしろ、溢れすぎていると言っても良い。

 通常の地域ならば、千年かけてようやく花が咲くと言われている【千年花】も、この地域では刈り取った10分後には、新たな千年花が咲いている。それくらい、生命力に溢れすぎているのだ。


 食べ物は木々からもぎ取っても枯れる事もなく、水分も綺麗な泉が常に豊富な水を湛えている。この森において、餓死する事はないと言っても良い。

 それじゃあなんで、この森は二度と出られない死の森と呼ばれているかと言われれば、この森が生命力に溢れすぎているからだ。


 普通の地域であれば千年かけてようやく花が咲くと言われている千年花が、僅か10分後に咲くような地域だ。移動しやすくするようにと、邪魔な木々を切り裂いたとしても、すぐさま元通りになってしまう。

 この森では、植物が生えていない場所はなく、普通の森のようにキャンプ地を作ることが難しい。なにせ、キャンプをしようとしてテントを広げたら、僅か数分後には木々の蔓などがテントを飲み込んでしまうからだ。


 この森は、人が住まうのに向いていない森。

 人間が暮らしていくのに必須となる"拠点"が、用意できない森なのである。




 そんな森を、ゼータちゃんはごくごく(・・・・)普通に(・・・)進んでいた。




 いくら、生命力に溢れすぎていて飲み込まれる危険地域であったとしても、ゼータちゃんには【スピリッツ】という力がある。

 【スピリッツ】は、あらゆる物を寄せ付けない反発の力がある。この力を常に発動しておけば、森の木々がゼータちゃんを飲み込もうとしても、決して飲み込めないのである。なにせ、反発しているのだから。


 そんな、常にバリアを張り続けているゼータちゃんは、順調に、ただ黙々とレア素材を集めていた。



『ちょっとあんた! 私達の森で何をしているのよ!』



 と、そんな順調に素材集めをしているゼータちゃんの前に、魔物が現れた。

 羽を生やした、小さな少女のような姿をした生物。この生物こそこの『死の森』を管理する魔物、世間一般では【妖精】と呼ばれている者達である。


 彼らは人間のように親から生まれず、魔物のように自然から突如として発生する。そして、彼らは自然を愛し、他者を嫌う。

 この生命力が溢れすぎている『死の森』で、多種多様な植物の生態系が守られているのは、彼女達妖精のおかげである。彼女達が植物を増えすぎないように調整しているからこそ、この森が維持されているのである。

 もっとも、そんな妖精達の悪戯によって、『死の森』に入り込んだ者達が森から出られずに死んでいくのも事実だが。


 妖精は、ゼータちゃんの襲来を見て、いつものように(えもの)が来たと思って植物を消しかけた。足に根っこを絡ませてこけさせたり、植物の成長に巻き込まれて動けなくするようにというのが、妖精達の計画である。

 しかしながら、【スピリッツ】によってあらゆる物を反発する状態のゼータちゃんに、その攻撃は効かず、痺れを切らして1匹出て来たという訳だ。


 羽を生やした、赤い髪の妖精は、ゼータちゃんの目の前で『むきーっ!』と顔をしかめ面にする。


『良い、人間! ここは私達の森よ! 勝手に植物を捕る事も、そしてこの森から出る事も許さないんだから!』

「私は人間ではありません、ゴーレムです。----そして、ガンマンですから」


 キランッと銃を構えて決めポーズを取るゼータちゃん。一方で、そもそもゴーレムというモノ自体を知らない赤髪妖精は疑問符を浮かべていた。

 ゴーレムとはいったい、なんなのか、と。


「平たく言えば、ご主人様の意思を尊重して戦う生命体とでも言えば良いでしょうか」

『知ってるわ、それって"奴隷"って言うのよね!』


 赤髪妖精は、『それは知っているわ』と得意げだった。

 この森から出られない事を知っている者達が、奴隷と呼ばれる者達をこの森へと捨てて行く事は知っていた。奴隷とはそうやって"ご主人様"とやらから命令される存在である、と赤髪妖精はそう記憶していた。


『そのご主人様とやらに伝えなさい! この森は、何人たりとも出られない迷いの森であると!』

「出られないのならば、わざわざご主人様に伝える必要はありません。このまま作業を続行します」


 すいすいーっと、植物を摘み取っては、【アイテムボックス】を使ってイスウッドの倉庫へと転送するゼータちゃん。


『むきーっ! 良いから伝えろ、この奴隷めぇ~!』


 赤髪妖精は、不服そうにそう騒ぎ立てるのであった。

ゼータ「あんた、暇なの?」


赤髪妖精『えぇ、暇です!』


ゼータ「そんな、勢いよく断言されても……」

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