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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第293話 兎獣人達は戦いに挑むぞ配信(1)

 ノワルーナ姫の私兵である、兎獣人達。彼女達は森の中を移動しながら、ノワルーナ姫から与えられた資料を見ていた。

 跳躍力、スピードに特化した彼女達にとっては、"椅子に座って資料を読む事"と"枝から枝へと移動しながら資料を読む事"はそんなに変わらないモノであった。彼女達はものすごい勢いにて森の中を移動しながら、どこに向かうべきかを考えていた。


「隊長、どこに向かっているんですか!?」


 私兵部隊の隊員の1人が、さっそうと先陣を切る隊長にそう問いかける。

 ノワルーナ姫の私兵達は全員が兎獣人であり、そして明確な序列が存在する。隊長と呼ばれた彼女は、ノワルーナ姫が一番最初に私兵にした兎獣人であり、ノワルーナ姫と一番付き合いが長い。その上、この部隊の中で一番賢く、一番強い。他のメンバーは、隊長である彼女について行けば問題ないと思いながら、着いて来ていたのであり、どこに向かうかも分かっていなかった。

 隊長と呼ばれた兎獣人は、「岩山です」と答えた。


「「「「了解っ!」」」」


 隊長の言葉を聞いた兎獣人達は、すぐさま隊長の考えを理解した。




 いま、自分達がすべき仕事は何だ? それは、ノワルーナ姫がギルド長を勤める事となったイスウッドの冒険者ギルドを盛り上げる事だ。そのために、私兵部隊の隊員の1人に、配信するためのカメラ付きのヘルメットをさせているくらいなのだから。

 そんな中、どうすればイスウッドの冒険者ギルドに人を集められるかを考えた時、ある程度刺激はないといけない。


 森の中でただ薬草を採ったりするのは、動画の映像美的にもあまり映えない。海や川などで釣りをする映像も、この辺りの魚でインパクトのある魚を、動画の尺的に収めて獲るのは難しいだろう。

 そう考えてくると、狙うはやはり、魔物の討伐。彼女達兎の獣人達の売りは"スピード"、そして"跳躍力"である。だからと言って、圧倒的なスピード差を見せつけて、魔物を狩る映像というのは、動画の構成的に面白くないと判断した。


 しかし、岩山にはベストな相手(まもの)が居る。


 魔物の名前は、【ヴォルケーノリザード】。溶岩トカゲとも呼ばれる、岩山に生息する魔物だ。この魔物はある程度刺激を与えると自らを発火、発熱させて超高温となり、まるで溶岩のようになる。

 硬い岩のような皮膚と、溶岩のような高熱性。初級クラスの冒険者なら、出会ったら即逃げろと呼ばれる魔物である。


 本来であれば、スピードで攪乱(かくらん)して戦う私兵部隊が戦う相手としては、ヴォルケーノリザードは相性が非常に悪い。

 しかしながら、そんな相性が悪いヴォルケーノリザード相手に、完封勝利するような動画ならば、凄いと映えるのではないだろうか?




「私達の売りは、"素早さ"。そして私達の弱点は、"攻撃力の低さ"です。私達兎獣人のようなスピードが速い獣人族は、一発一発を重視するよりも、相手にいかに多くの技を与えるかで勝負をしてきました。しかしそれは兎獣人の戦い方であって、私達の戦い方ではない」

「「「「おっしゃる通り!」」」」


 兎獣人は素早い、それは誰もが知る常識のようなモノ。

 しかし、そんな兎獣人達が、ヴォルケーノリザードという硬さが有名な魔物相手に無双していく映像を見せれば、冒険者を良く知らない人達にとっては"爽快な無双シーンとして面白い"と思ってもらえるだろう。冒険者、そして兎獣人を知っている者にして見れば、"兎獣人としては攻撃力が高い"など、違和感を感じてもらって、イスウッドに興味を示してもらえるだろう。


 隊長の考えを瞬時に、他の兎獣人の隊員たちも理解した。

 そしてその上で、これがベストな判断だと判断したのである。


「では、ヴォルケーノリザードの資料を確認します。一番素材価値が高い場所を把握して置けば、そこの傷を減らすように行動出来ますからね」

「私は、ヴォルケーノリザード以外の魔物を確認します。資料をこちらに」

「手伝います。ヴォルケーノリザードも良いですが、他に我々に適した魔物が居るかもしれません」


 思いを共有した彼女達は、サクサクと情報を取捨選択して、集めて行く。

 その動きには一切の迷いはなく、兎獣人達は岩山に向かいつつ、その上で情報を言い合いながら、作戦を煮詰めていく。誰もが移動しながら情報を確認しており、誰も人任せにしようという愚か者は居なかった。


「その意気です。必ずや、我らが姫様に最高の結果を持ち帰りましょう。全ては姫様のために!」

「「「「勝利を姫様のために!」」」」

「足を失い、価値なしと判断した者達の目を覚まさせるために!」

「「「「我らを救ってくださった、姫様の目の正しさを証明するために!」」」」


 彼女達はそう言って、岩山へ向かっていく速度(スピード)を上げて行く。

 その歩みに迷いはなく、誰も負けるどころか、どうやって映像的に映えるかを気にしており、勝利する事は確定している様子であった。


 この光景を、もしもススリアが見ていたら、こう思っていただろう。

 ----あんな姫様に、なんでここまで忠誠心の高い、しかも兎獣人の部下が多いのか、全く理解できない、と。

初期の姫様の性格的に、

なんでこんな忠誠心が厚い者達が多いのか

良く分からないススリアちゃんなのであった

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