表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

284/426

第284話 酒は美味しく出来ているのかい配信

 私、錬金術師ススリアが住まう街イスウッド。

 タノタノ王国の辺境(はずれ)に位置するこの街に、私はあまり関わらないようにしていた。


 だって、街のラインナップがそんなに良いとは言えないから。

 辺境にあるお店ってのは、"こだわりすぎる個人店"か、あるいは"一応営業している程度のチェーン店"くらいしかない。いや、辺境をバカにしている訳ではないのだが、タノタノ王国の方針からして、辺境地域にろくなお店はないからね。


 タノタノ王国は、良い物があったら基本的には王都セントールに無料で誘地される。

 どんな辺境で生まれた商売であろうとも、確かな実績さえあれば、必ず王都セントールへと出店できるといえば、それは商売側からしてみれば良い気合い(モチベーション)に繋がるとは思うけれども、そのお店を利用している地元のお客様達にとっては良い事ではないよね。

 実際、イスウッドと同じような辺境に、めちゃくちゃ良い、地元密着型のお店があったのに、王都の目に留まって移転。その後、地元密着型というこだわりがブレたせいでお客様は激減して倒産。お店にも、そしてお店があった地域も廃れてしまったとのこと。


 結局のところ、このタノタノ王国は王都はめちゃくちゃ発展する代わりに、王都から離れれば離れるほど、衰退が激しいという、そういう国になってしまっている。

 どういう理由でそんな国づくりにしているのかは興味がない。そもそもシュンカトウ共和国のお姫様、そしてウミヅリ王国の元王女で、王族関係はこれ以上関わり合いになりたくないくらい関わってるからね。これ以上は勘弁して欲しい。


 という訳で、私は辺境イスウッドにあまり関わらない。

 良いお店になるよう尽くしても、結局はタノタノ王国の王様達が誘地してしまう。だったら、初めから関わらないようにした方が良いのだ。




「まぁ、この店は大丈夫かな?」

「そう願いたいですね」




 ここは、辺境イスウッドにある造り酒屋【ジロキチ】。カンロ神様を崇める【憧憬の会】、その目玉となるクラフトビールを作っているお店である。まぁ、作っているというか、魔道具【クラフトビール・クラフター】を置かせてもらっているお店、と言った方が正しいのかもしれないけど。


 この造り酒屋ジロキチはかなり特殊な経緯で、この辺境イスウッドで開いているお店だ。


 以前、ジロキチはこことは別の街で"酒舗"として営業していた。酒舗というのは、酒を売るだけではなく、飲ませることを目的としたお店の事であり、こだわりのお酒を売ったり、あるいは店内で飲ませる形で繁盛していた。

 その繁盛っぷりはタノタノ王国の王様達の耳にも入り、流行の最先端を担う一角として、王都セントールへと誘地された。最初こそ上手く行っていたが、元々こだわりのお酒を扱うお店であったため、王都セントールの大量の人々を捌く事が出来ず、王都セントールでの出店は僅か3年ばかりで潰れた。

 その後、地元に戻る事も考えるも、辺境イスウッドに移る事を選び、今に至るという訳だ。


 そう、この造り酒屋ジロキチは、王都で経営した後に、地元ではないこの辺境イスウッドに移り住んだという変わった経歴のお店なのだ。


 だからこそ(・・・・・)、私はこの造り酒屋ジロキチを、【憧憬の会】の場所として使っている。

 一度王都で強烈な洗礼を受けた以上、もう一度、再び王都に戻りたいとは思わないだろう。ジロキチの店主さんと話をしたこともあるけど、あれは燃え尽きた人の顔だね。昔はギラギラ燃えていたんだろうけど、今はそういう事がない顔だ。

 そして、王都セントール対策もばっちりだ。いくら節操なしに、国王命令とかで誘地しまくっていても、流石に治癒神カンロ神様御用達であるこのお店を誘地するのは難しいだろう。なんなら、カンロ神様自らが教会に行って「もし無理に移動させようとしたら、止めてね」と伝えてるくらいだ。国王でも、神には、宗教を相手取るのは難しいってね。


 という感じで、私は万全の対策を取って、このクラフトビールを作って来た。

 そして、今日。私は、とあるクラフトビールを取りに来た。養殖担当のイプシロンちゃん、彼女が作ったお酒だ。イプシロンちゃんには様々な魚に関連する知識がインプットされており、その中にはお水に関する知識もある。良いお水が、良い魚を作ると言っても過言ではないからね。

 そんなイプシロンちゃん特製のクラフトビール『フォース』を貰いに来たのである。


 イプシロンちゃんは、色々と凝り性なゴーレムだからね。アマーイサモーンとか、私が予測だにしない素晴らしい物を作り上げていた。きっと彼女の作ったクラフトビールなら、今までにないくらい美味しいお酒に違いない。

 へへっ……どんなお酒なのか、今から楽しみだぜぇ……。



 そんな風に浮かれていたから、罰が当たったのか。それとも、こうなる運命だったのか。

 私はそこで、新たなトラブルに出会う事になったのである。



「初めまして、イスウッドの新しい領主です。あと、タノタノ王国の王女です♪」



 そう、タノタノ王国のお姫様という、めちゃくちゃヤバいトラブルに。

イプシロン「ベータ、ガンマ、デルタ、その次のギリシア文字ゴーレムである"イプシロン"という4番目。さらに力を意味する『フォース』! 2つ書けて、私のビールの名前は『フォース』でお願いします!!」


トム&オリーブ「「こだわりが、すげぇ」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓途中でも『ご感想』『こうなったら面白そう』『こんなキャラどう?』という発想、また『フォロー&☆評価』お待ちしております!

カクヨム版(最新話更新中)!! 是非、ご覧ください!!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ