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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第273話 ドン・デーロの悪魔契約配信

 悪魔はいつだって、こちらの都合のいい事を言う。

 死者は蘇り、不老不死という存在へと変わり、金銀財宝は山のように。

 そう、悪魔は常に都合のいい事を言って、叶えてくれる。そして、訪れるのは破滅のみ。


 だから、話を聞くべきではない。

 頭ではそう分かっているはずなのに、ドン・デーロの言葉をノルカは遮れなかった。


「私は記憶を司る悪魔。この間の国家転覆未遂のように、触れた相手の記憶から、複写(コピー)を出すというのも出来ます。そして、それだけではなく他人の記憶を相手に移すことが出来ますよ? こんな風に・ね?」


 ドン・デーロはそう言って、すっとノルカの頭に手を差し伸べる。慌ててノルカは振り払おうとしたのだが、何故か手を振り払えなかった。

 ……いや、ノルカには分かっていた。ドン・デーロの悪魔的な誘惑に、抗えなかったのである。


「【走馬灯映し】」

「----っ!?」


 悪魔ドン・デーロの手を通して、ノルカの脳内に『シベリア会長の半生』が流れ込んでくる。

 彼女がどのように生まれ、どのように過ごして来たのか。そして、どういう体験をしてきたのかが、一瞬にしてノルカの頭の中に流れ込んでくる。


「はいっ、お試し終了っと」


 ドン・デーロの言葉の意味が分かった。

 記憶を流し込まれた事で、ノルカには『演算処理能力』、『危機管理(リスクヘッジ)』など、今まで得ていなかった技術(スキル)が出来るようになっていた。これらは全て、シベリア会長の記憶を追体験した事によって、得たスキルであると確信を持って言える。


「つまり、この能力を使って、ミリオン商会長の記憶(データ)を奪えば、私も商会長のようにすらすら話せるようになる、という事ですか?!」

「えぇ、その・と・お・り♪」


 ドン・デーロはそう言うと、軍服のポケットから金色の短刀を取り出す。そして、その短刀をノルカに手渡した。


「私の、他者の記憶を読み取る力を付与した短刀です。これを相手にぶすりと」

「ぶすりと?!」

「えぇ、突き刺してくだされば、記憶を複写(コピー)でき・ま・す・よ? その後、鞘の部分を頭に当てれば複写完了♪ 明日からあなたも、新生ハンドラ商会の看板娘!」


 「ちょっ、ちょっと待ってください!」と、ノルカはドン・デーロに詰め寄る。


「いくら私が、フクロウの獣人族として足音があまりしないとは言っても、流石に突き刺したらバレますよ!」


 フクロウの羽根には、表面にフワフワとした毛が生えていて、羽ばたくときに羽根同士が擦れる音を小さくするという特徴がある。そんなフクロウの獣人族であるノルカは、足音が非常に小さい。

 "耳が良い"という特徴も合わせれば、誰にも気づかれる事無く、こっそりとミリオン商会長に接近する事は出来るだろう。

 しかし、それでも短刀を突き刺したら、流石にバレる。ミリオン商会長にこの新生ハンドラ商会を売り払って欲しくなくて行動しているのに、ミリオン商会長を暗殺しようとしては意味がないじゃないか。


「だいじょうぶ♪ 刺すのは、ミリオン商会長ではないから」

「商会長じゃない……? だったら、誰に……?」


 ドン・デーロの言葉の意味が分からず、少し考え込む。

 すると、シベリア会長の記憶が流し込まれた際に得た技術(スキル)『即座に情報を見極めて、適切な判断をくだせる』というのが、私にその答えを教えてくれた。


「……【アルファ・ゴーレムサポートシステム】」

「正解♪」


 そうだ、【アルファ・ゴーレムサポートシステム】があった。

 たしかミリオン商会長、そしてライバル商会であるドラスト商会の食堂をしているジュールとワット。ススリアという錬金術師が作ったゴーレムは、【アルファ・ゴーレムサポートシステム】という補助魔道具を使っていると、聞いた事がある。


 朧気ながら、そういう事を聞いたという事実を、ノルカは思い出していた。


「そうか。その【アルファ・ゴーレムサポートシステム】に、この短刀を突き刺して、記憶を読み取ると。でもそれだと、他のゴーレムの記憶も読み取っちゃうんじゃ……」

「ご心配な・く。記憶を操る悪魔なので、該当の記憶(データ)以外は読み取らないつもりだ。それに、その短刀は触れるが、魔法の一種。ミリオン商会長に突き刺しても、傷一つ負わな・い・よ? 最も、鞘を抜く必要はあるけど」




「(まぁ、これだけ説明すれば、彼女は私の言葉に逆らえな・い・よ)」


 ふふっと、狩猟のドン・デーロは、耳が良い彼女に気付かれないように心の中でそう思っていた。


 狩猟のドン・デーロ。彼女は記憶を読むことが出来る悪魔。

 その記憶を読む能力で、シベリア会長の記憶から今回の作戦に最適な人物を見つけ出したのだ。


 この商会を売り払う事に危機感を覚え。

 悪魔の言葉だろうと、どんな相手でも話を聞いてから判断。

 さらには、イスウッドの【アルファ・ゴーレムサポートシステム】のところまで行けるだけの武力を持つ商会員。




「(あなたは私の獲物ですよ、ノルカ・ブックマン。

 悪魔だから契約は守りましょう。ちゃんと【アルファ・ゴーレムサポートシステム】に短刀を突き刺してくれれば、ミリオン商会長の記憶をあなたに与えましょう。そして、その力でこの商会を盛り立ててください。


 もっとも、他の記憶は(・・・・・)私の好きに(・・・・・)させて(・・・)もらうけど(・・・・・)?)」




 こうして、ノルカは悪魔の誘いに乗り、【アルファ・ゴーレムサポートシステム】がある辺境イスウッドに向かったのであった。

ノルカちゃん、完全に操られてますね!!

これは完全に、操られている事確定ですね!!

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