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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第270話 最も忙しい商会長配信

 ----新生ハンドラ商会の会長、『経営業務特化型アルファ・ゴーレムサポートシステム搭載型ゴーレム・モード"長者(ミリオネア)"』であるミリオン。

 ススリアによって生み出された、新生ハンドラ商会を率いる彼女は、今日もバリバリと仕事を進めていた。


「会長っ!」


 そんなミリオンの元に現れたのは、仕入れ担当のディゼル・ハンドラ監査役であった。獣人である彼女は、5名ばかりの人間を引き連れていた。


「こちら、今期採用予定の人材です。左から順に----」

「----アルフレッド、エイドリック、アンドリュー、アシッド、エイムズ。全員、資料には既に目を通しています。ポテンシャルに関しては問題ありませんので、採用の可否はそちらにお任せします。採用の場合、育成指導の方は頼みます。私はそう言うのは不得手なので」


 「用件はそれだけですか?」とミリオンはそう、ディゼルにプレッシャーをかける。


「(相変わらず、物凄いプレッシャー!)」


 配信を通して売り込みをかける通販業務によって、『最も顔が知られた商会長』の地位を獲得したミリオン。ハンドラ商会が以前から獲得していた『高いけれども価値がある商品』たちは、彼女の巧みな話術によってバンバンと売れて行った。以前は倉庫で日の目を見ない日が多かったモノ達も、ミリオンによる配信商法によって、どんどん売れ始めて行った。

 新生ハンドラ商会は、今ではシュンカトウ共和国一の商会であるドラスト商会に迫る勢いの超優良商会へとなっていきつつある。


 そんな新生ハンドラ商会は、ほぼミリオンのワンマン商会になりつつある。


 彼女は一日に平均10件以上の配信を行い、それによって商品を売り込んでいるのだ。彼女の一時間で稼ぐ単価は名前の通りまさしくミリオン……いや、それ以上かもしれない。

 『最も顔が知られた商会長』にして、『最も忙しい商会長』----それが新生ハンドラ商会のミリオン会長。


 "ミリオンが配信によって伝えるからこそ売れる"----商会内でもそんな風潮(うわさ)が流れるほど、この新生ハンドラ商会はミリオンありきの商会になってしまっている。


「(それじゃあ、ダメなんですよ!)」


 人材監査役のディゼル・ハンドラは、それではダメだと強く思っていた。

 ミリオンは人間ではない、ゴーレムである。彼女には疲れるという感覚はないので、このままでも問題はないのかもしれないが、人材監査役としては"たった一人にしか出来ない業務"というのは問題だと考えている。


 業務によっては得手不得手があり、ミリオンのようなカリスマが居るのは良い。

 しかし、他に誰も通販業務として、紹介する者が居ないのが問題なのだ。


 いまのところミリオン会長が通販業務として、バンバンと売り出す。そして、その映像の撮影や編集、商品の発送などを他の商会員が行うというのが、新生ハンドラ商会の経営方針。

 それをディゼルは、ミリオン会長以外も司会者役として売り込むという別プロジェクトを立ち上げようとしていたのだ。この5人は、未来の司会者役として育てるつもりだった(・・・)


「(でも、それももう無理そうですね)」


 ディゼルは、今期採用予定の5人の顔を見て、そう感じる。

 ----彼らは、もう牙を抜かれていた。


 面接ではあれほど、「ミリオン会長に負けない、立派な司会者になって商品を売り込みます」と語っていた彼ら。しかし、そんな彼らは、今ではミリオン会長を崇拝し、勝てないと勝手に線引きしている。

 彼らはそれぞれ、優秀な所がある立派な商人であった。しかし、そんな彼らであっても、ミリオンというゴーレムが持つカリスマには勝てないようだった。


「それでは、次の撮影がありますので。行きますよ、皆さん」

「「「はいっ! ミリオン商会長!」」」


 ミリオンがパチンっと指を鳴らすと、彼女の後ろをベテランスタッフとなった商人達が付いて行く。彼らも、元は立派な商売人であったが、今ではミリオン商会長の補佐役として収まってしまっており、自ら商品を売り込むという気概(きば)を折られてしまっていた。



 圧倒的すぎる。ミリオン商会長は、商売人として圧倒的すぎる。



 彼女は悪くない。彼女は自らに与えられた使命を果たしているだけであり、そこに何の落ち度もない。

 ススリアも悪くない。錬金術師である彼女は、自らにお願いされた仕様書通りに作ってくれただけだ。


 しかし、ディゼル・ハンドラはこのままではまずいと感じていた。

 それはディゼルだけではなく、ディゼルがスカウトした魔女スタダム、仕入れ担当のエアクラフ本部長、開発担当のハイブリ本部長、副会長であるソラ副会長----つまりは、ハンドラ商会の重鎮達が全員感じていた事であった。


「通販……いや、確かにそう言う可能性はあると思っていたけど、まさかここまでハマるとは」

「仕入れ担当としては、売れるのは良い」

「開発担当としても同意見だ。問題は、後続がないということだ」

「……(コクッ)」


 そう、今のままではミリオン商会長が居るからこそ、存続しているだけの商会。

 ここからどうにかして、新生ハンドラ商会のミリオン商会長ワンマン体制を変えて行かないと!



「「「「そうでないと、商会長が居なくなった瞬間、この商会は終わる!」」」」

「……あぁ」

商会長のワンマン体制は、流石にマズいですよね~

という、お話です

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