第269話 あれよあれよというまに、ダヴィンチちゃん作成配信
----今までの経緯~。
数日前に、デルタちゃんに魔物の素材を生け捕りで頼む。
↓
湖畔から、灰色コボルトをヘルコボルトの変異種の幼体として持ち帰る。
↓
調査の結果、灰色コボルトは第2世界【スピリッツパンク】から来た"ライラプス・ハウンド"の幼体である事が判明する。
第2世界【スピリッツパンク】の情報を知った事により、【スピリッツ】を知る事になった。
↓
デルタちゃんとガンマちゃんに湖畔の調査をしてもらうも、第2世界という異世界に繋がる穴は見当たらなかった。どこから、このライラプス・ハウンドの幼体が来たのかは不明。
↓
【スピリッツ】の力を手に入れたので、【スピリッツ】の力を調査開始。
↓
無機質ジェルの中に、勝手にライラプス・ハウンドの幼体が入る。
↓
クラフトビール案件のために、治癒神であるカンロ神様がやってくる。彼女は時折ふらっとやって来て、事業がきちんと行われているかを確認しているみたい。
事業の成功は、カンロ神様の信者獲得に繋がるために、度々来る事がある。私からしてみると、時折ふらっと状況を確認する本部の社長みたいで嫌なんだけど仕方ないよね。
そして、私の所に「いつもありがとう」みたいな事を伝えに来たのだそう。
↓
【スピリッツ】の特性などを調べた結果、【オーラ】よりも扱いやすい力である事が判明する。
↓
家の中へとやって来たカンロ神様は、無機質ジェルの中に入っていたモノを発見。
----そして、今に至る。
「では、いきますよーそれー!」
私が【スピリッツ】の調査をしていたら、勝手知ったる我が家という形で、カンロ神様が家へと入る。そして無機質ジェルを見つけて、加護を与えたという訳だ。
神様からして見たら、無機質ジェルを見た瞬間、これが『カンロ神様に加護を与えてもらう用のゴーレム』である事が分かったのだろう。
いや、確かに無機質ジェルに魔物の多能性コアを入れて作ろうとはしていたよ? そうなんだけれども、その無機質ジェルの中にライラプス・ハウンドの幼体ちゃんを入れるつもりはなくて、勝手にライラプス・ハウンドの幼体ちゃんが入ったという感じなんですけれども。
しかしながら、カンロ神様の加護は無機質ジェルに見事に作用した。
元々、カンロ神様の加護とやらが、『髪や身長など、あらゆるモノが伸びやすくなる』だったからだ。
無機質ジェルは、その身体の中にライラプス・ハウンドの幼体が入った状態----いわゆる、受精卵のようなモノだった。
それに対して、カンロ神様の加護が、時間などを無視して、受精卵を成長させ、赤子から一気に、自立した身体へと成長させたのだ。
その結果----
「わぉん! ススリアさん、それにかみさまさん、ありがとう!
おかげで、デルタのアネゴと、いっしょにたたかえるよ!」
桃色の髪に、犬耳と尻尾。
黒いレオタードタイプのボディースーツを着た、爆乳少女。
愛らしい顔を浮かべる彼女は、ニコリと浮かべていた。
「ふぅ~! これでようやく、ジビエ神様に自慢を取られなくて済みますよぉ~! それじゃあ、また後日!」
そう言いながら、この事態を招いたカンロ神様は返って行ったのであった。
……え? この状態で、私一人で放置されちゃう訳?
「あの、ススリアさん? アネゴは?」
「アネゴ……?」
「そう、デルタのアネゴ! わたし、アネゴのやくにたつために、ゴーレムになったんだぁ~! すごいでしょ、かんぺきなゴーレムだよ!」
どやぁと、そんな顔を浮かべる幼体ちゃん……いや、ダヴィンチ。
というか、無機質ジェルはまだ未完成だったから、ダヴィンチちゃん用に作って置いた【アイテム転送機能付きアイテムボックス】だとか、【位置情報把握システム】だとか、【新戦法の銃システム】だとかが、まだ入れてないんだけど……。
「らんら~ら~ん! アネゴのやくに♪ アネゴのやくに♪」
「……生体ゴーレムは、元に戻せないよなぁ~」
とりあえず、ダヴィンチちゃんはデルタちゃんに会いたいみたいだし、しばらくはデルタちゃんとセット行動をさせよう。というか、もはや【デルタちゃん同行推奨型ゴーレム】じゃんこれってば。
この【アイテム転送機能付きアイテムボックス】とかは----
「また別のゴーレム作って、搭載しておこうっと」
(※)ダヴィンチ
第2世界【スピリッツパンク】からやって来たライラプス・ハウンドの幼体を使って、出来上がった生体ゴーレム2号機。ススリアは作るつもりはなく、ライラプス・ハウンドの幼体と、カンロ神様の猛プッシュで出来上がったようなモノで、本来搭載するはずだった機能はほぼ未搭載。暫定的に【デルタちゃん同行推奨型ゴーレム】として作成した事にした
犬耳と尻尾を持つ桃髪の爆乳少女。黒いレオタードタイプのボディースーツを着ている。身体の中は現在作成中のため、触るとぶよっとする
幼体ちゃんには夢があった。必ず、あの凛々しきデルタのアニキに役立つ"かんぺきなゴーレム"になるという夢があった。そのために、彼女はススリアの作っていた"はいると、ゴーレムになれるえきたい"に躊躇なく飛び込み、こうしてダヴィンチという姿になった
神様ってのは、いつだって勝手なモノです
そう、他の作品だって、たいてい説明足らずだったり、空気を読まずに出て来たりでしょう?
どこの世界も、神様にろくなのは居ません




