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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第265話 デルタとヘルオーガ配信(2)

 ~~デルタ~~


『くぅ~ん』

「巻き込まれたら死にますよ、灰色コボルト」


 私が生け捕りとして狙っていたヘルコボルトを死体の山へと変えた、ヘルオーガ。

 それに対して、双剣で相手しようと構える私。そんな私の足元で、灰色コボルトが愛らしい声を出してくるが、正直邪魔なのでどいて欲しい。


 恐らく、この灰色コボルトは、ヘルコボルトの変異種。

 今回のような、強大な魔物による大量殺戮。致死性の高い呪い。自然環境の大幅な変化。そういった災害のようなモノによって特定の魔物が一気に減ると、魔物達はそれに抗う別個体を生み出す事がある。それが変異種。


 たとえば、異常に硬かったり。

 たとえば、異常に素早かったり。

 たとえば、異常に攻撃力が上がっていたり。


 この灰色コボルトは、このヘルオーガによって引き起こされた、ヘルコボルトの変異種と見て間違いないでしょう。とはいっても、このヘルオーガに必ず勝てるとも言い切れない。


 変異はランダム。この災害によって引き起こされやすいのは事実だが、必ずしもその災害に対応できるという訳ではない。そして、重要なのは変異した事により、元の特性が上手く発動できない場合があるという点だ。

 ヘルコボルトの売りは、どんな傷を負おうともなかなかやられないという、生命力が凄いというただ一点のみ。この灰色コボルトが変異したヘルコボルトだとすれば、その物凄い生命力が受け継がれていない可能性がある。


 だからこそ、逃げて欲しいのだが、灰色コボルトは私の足から離れようとしない。まるでここが一番安全だと分かっているかのようだ。


「仕方ないですね。余波で死んでも知りませんよ?」

『わぁん!』


『グォォォンンンッ!』


 ヘルオーガは私に向かって、攻め込んで来た。その手にはどこから出したか分からないけれども、大きくて太い金棒を持って襲い掛かって来る。

 見た事のない金棒ですし、出来たら触れたくはないですね。


「ふんっ!」


 私はそう言って、蠍の尻尾から【オーラ】を放つ。放たれた【オーラ】は金棒を持つヘルオーガの手にぶつかり、そのままヘルオーガは大きな声をあげる。


『キャインッ?!』


 ----どんっ!!


 手から落ちた金棒。その金棒を、私は【オーラ】で強化した双剣の衝撃波でぶった切った。

 これで得物はなくなり、なおかつ腕は負傷。普通ならそれで逃げ帰る所なんですが----


『グォォォォンンッ!』

「そうはいかないようです、ね!」


 今なお闘争本能が衰えていないヘルオーガは、こっちへと向かって来る。先程のように蠍の尻尾から、ヘルオーガの身体へと【オーラ】を弾にして放つ。


『キャインッ!』


 【オーラ】が当たる度に、ヘルオーガは子犬のような鳴き声をあげていた。


 いま、私が放っている技は、マスター曰く【オーラ・ショット】。【オーラ】をただ弾丸のように蠍の尻尾から放つ技だ。

 当てられた者は、強い衝撃を受けて、身体の内部にダメージが入るというだけの弾丸。それを数十発、ヘルオーガの関節に当てていますが、ヘルオーガは痛がりはするものの、こちらへと向かう意思は変わらないようです。


 まるで生命力が高い、ヘルコボルトくらい頑丈ですね。普通なら、もう既に逃げるか、あるいはその場で動かなくなるはずなのに。


「仕方ありませんね」

『きゃいん?』


 私は、足元の今もなお逃げない灰色コボルトへ目を向ける。灰色コボルトは「どうしたの?」と言わんばかりの、つぶらで純粋な視線をこちらへと向けますが、あなたの身を案じてるんですよ? 私が倒したいのはヘルオーガだけなので。




巻き込まれて(・・・・・・)死んでも(・・・・)知りません(・・・・・)からね(・・・)?」



 

 私はそう言うと、身体中から【オーラ】を霧状にして噴出し始めた。

 灰色コボルト、そしてヘルオーガもその霧状の霧を受けて、苦しみ始めた。


「ヘルオーガ、あなたの生命力がどれほどの物か私には分かりません」


 恐らくこのヘルオーガも、変異種。

 元がどんな魔物だったかは分かりませんが、狼の頭を持つ豚鬼(オーガ)なんて聞いた事がありませんし。


 だから、もしかするとヘルコボルトを一撃で倒す能力だけではなく、ヘルコボルトと同じだけの生命力を持っている可能性を考えました。

 そこで私は、【オーラ】をこの空間に充満させた。


「マスター曰く、どんな生物も呼吸している。ゴーレムである私達はその必要はありませんが」


 弾丸のようにして撃ちこむだけで相当な威力を発揮する、【オーラ】。

 それを空気中に放って、呼吸によって身体へと取り込ませて、苦しませる技。


「マスターは【武人の空間(オーラ・プレイス)】と名付けました」


 【オーラ】を扱える私にとっては、空気中に【オーラ】が満たされただけの、戦うフィールド。一方でヘルオーガや灰色コボルトのような【オーラ】に馴染みがない彼らにとっては、戦う事が出来ない毒をまき散らされたような感覚があるでしょう。


「さて、と。この【武人の空間】は、【オーラ】が扱えないヘルオーガにとっては立っていられない場所。それと同時に、【オーラ】を扱える私にとっては----」



 -----ぶぉぉぉんんんっ!



 私はそう言いながら、山を切断するのかと言わんばかりに巨大に膨れ上がった双剣を、ヘルオーガへと振り下ろした。


「----威力倍増空間なんですね」

『キャィ----』


 私のその一撃はヘルオーガ、そして湖をも真っ二つにしたところで、ようやく止まったのでした。


武人の空間(オーラ・プレイス)】!!


【オーラ】を扱えない者にとっては、動けなくなり

【オーラ】を扱える者にとっては、技の威力が増大する、まさしく便利なフィールド技となっております!!

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