第263話 加護を貰う用のゴーレムを作ろう配信
私は知らなかったのだけれども、カンロ神様が私に加護を与えたがっている事が判明した。
それなので、私はカンロ神様の加護を受けたいゴーレムが居るかを確認した。
ベータ「もう既に、ジビエ神様から加護をいただいておりますので」
ガンマ「映像編集で精一杯ですので」
デルタ「治癒神の加護、戦いに活かせそうにないので」
イプシロン「ふっ……! 桃色髪の船長での航海なんぞ、私は御免被る!」
カゲミツ「私、剣術道場を開こうと思っていますので、治癒神様の加護がなくても問題ないかと」
アレイスター「貰えるのならばカンロ神様ではなく、出来たらビルド神様の方が良いッスね!」
うちのゴーレム連中は全員要らないとの判断だった。
一応ながら、ラーメン経営特化型のジュールちゃん、それにレストラン経営型のワットちゃん、サクラアさんに渡した妖杖型のアルバトロスにも聞いてみたが、全員必要ないという判断であった。
「まぁ、確かにけっこう人選ぶからな。カンロ神様の加護は」
カンロ神様の加護によって、得られる影響は以下の通り。
『・2つ以上のモノを合成した際、時折プラス効果が付く』
『・モノを別のモノに加工した際、使用する力が少なくなる』
『・治癒系統の神聖術が伸びやすくなる』
『・髪や身長など、あらゆるモノが伸びやすくなる』
『・髪が桃色、山羊の角が生える』
モノを加工する際に必要な力が少なくなる。錬金術をはじめとした製造業は技術も必要だが、それ以上に体力も必要だし、それに使う力が少なくなるというのは確かに利点と言えよう。
治癒系統の神聖術が伸びやすくなる。それはつまり治癒に関する神聖術が使えるようになるのだと思えば、確かにそれはプラスだろう。
しかし、それ以外の項目については、正直言って微妙と言わざるを得ない。
2つ以上のモノを合成した際に、"時折"プラス効果が付くというのが厄介だ。必ずプラス効果が付くわけでもないし、そのプラス効果がどういうのが付くのか分からないというのも不安定すぎる。
また、髪が桃色、それに山羊の角が生えるというのもなぁ……。というか、ジビエ神様の加護をもらったら胸が大きくなるという極めて人間の範囲内的な対応なのに、どうしてこちらはそうなるんだか。
「しかし、このままだと私に与えられそうで困るな」
神様ってのは、存外ワガママなものだ。
ジビエ神様の件を経て、よーく分かった。神様ってのは、こちらになんの報告連絡相談なく、突発的に加護を与えて来る。そして、それが良い物だと信じ切っている。
教会の、神様に仕える事を誇りに思っている人達ならそれで良いのだけれども、私としてはそんな加護を貰っても嬉しくはない。
「という訳で、作るか。加護を貰う用のゴーレム」
貰う先を作って置けば、そこに加護を与えて貰えば良い。そう思って私はカンロ神様の加護を貰う用のゴーレム、名付けて【ダヴィンチ】を作りましょう!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
新作ゴーレムのダヴィンチ----それは、アレイスターと同じく前世の記憶にある偉人の名前を付けたゴーレムである。
レオナルド・ダ・ヴィンチ。前世の記憶によれば、彼は「万能の天才」と呼ばれた。
芸術家、画家でありながら、多彩な才能を持つ彼。芸術家という才能だけでは収まらず科学者、占術学者という一面も持つ。
その上、彼には多くの才能があった。
鏡文字、飛行機の安定、潜水服。
音楽、建築、料理。
美学、数学、幾何学、会計学、生理学、組織学、解剖学、美術解剖学、人体解剖学、動物解剖学、植物学、植物解剖学、博物学、動物学、鉱物学、天文学、気象学、地質学、地理学、物理学、化学、光学、力学、工学、流体力学、水理学、空気力学、飛行力学、飛行機の安定、航空力学、航空工学、自動車工学、材料工学、土木工学、軍事工学。
などなどと、その活躍は多岐に渡り過ぎている。
まさしく、「万能の天才」。それがレオナルド・ダ・ヴィンチ。
そんな多彩過ぎる才能の持ち主の名前を付けたこの新作ゴーレムは、そんなレオナルド・ダ・ヴィンチと同じく「飽くなき探求心」の持ち主であって欲しいと思って作っている。
レオナルド・ダ・ヴィンチがそれだけ多くの活躍を出来たというのは、単に才能がめちゃくちゃあったからというのもあっただろう。しかしそれと同時に、どんな事にもチャレンジするという、「飽くなき探求心」があったからだと思うのだ。
そう、モノを合成した際にどんな合成結果になるか試すのを、ワクワクする。
私はそんな事を思ってくれるゴーレムを作っている。
「まぁ、アレイスターと同じく魔物ゴーレムにするつもりですけどね」
偉人系の名前を作ったアレイスターが、ドラゴンの身体を使ったゴーレムなのだ。
同じく偉人系の名前を与えて作るダヴィンチにも、そういう風にして作りたいと思う。
「という訳で、デルタちゃん。魔物の生け捕りをお願いしてきますね」
「了解しました、マスター」
という訳で、デルタちゃんが、ダヴィンチちゃんの基となる魔物を持ってくるまでに、色々と準備して行こうじゃないですか!
ダヴィンチは、アレイスターと同じく
地球で有名な人の名前を付けたゴーレムという意味で作ろうと
ススリアは考えております




