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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第252話 彼女の名はメキス。今回は審査員として来た、ただの錬金術師配信

 ベータちゃんがデルタちゃん達と共に、アポロン小麦を収穫して来て、数日後。

 私は大会に出場するベータちゃん、トカリ・ブロッサム、そしてザザードと共に、コ・ラホ領の料理大会の会場へと来ていた。


 わざわざ3人の保護者のように付き添った理由は単純明快、なんとこのコ・ラホ領の料理大会はいまどき"配信禁止"を明言している大会だったのだ。

 王都の錬金術師大会ですら、公式の配信をしていて、うちのベータちゃんとデルタちゃんが同時視聴配信を通して盛り上げていた。それなのに、この大会では公式からの配信はおろか、観客が撮影して配信をする事すら禁止するというのである。


 たかだか地方の、そんなに歴史がある訳でもない料理大会が、なんでこんな禁止事項を設けているのか。その理由はと言うと、それは数年前。別の領地でやっていた、とある料理大会が原因だったみたいである。




 ----その年、その料理大会ではとある課題が出された。

 その課題とは、【インパクトのある料理】。かなりの金額が優勝賞品として用意されていたらしく、大会に優勝しようと20名の料理人が、各々にとっての"インパクトのある料理"を作り出した。


 そんな中、1人の料理人が、とってもインパクト抜群の料理を作り出した。


 お察しの通り、その料理と言うのが、"問題(・・)"なのである。


 その料理人が作り出した料理が、物凄く臭い(・・)。そう、便所(トイレ)の方がマシというくらいに、物凄い臭かったのである。

 前世の知識を使って表現すると、『納豆』と『くさや』と『チーズ』、そして『シュール・ストレミング』を混ぜて、何時間も煮詰めたような強烈な臭いだとか。


 ……うん、想像するだけで、もう臭そう。


 そのあまりの臭さに悶絶する者が数多く現れ、ゲロを吐いたり、果ては吐血する者まで現れる始末。この配信は、後に【配信史上最も醜い最低映像】として言われたくらいである。


 それを受けて、大会界隈で、配信を自粛する運動が生まれた。見ている視聴者の精神保護の観点から、そういう事にするのが普通だとされたのだ。


 ……まぁ、今では配信する前にチェック業務を追加するなどすればOKだから、錬金術師大会ではごくごく普通に公式配信しているのだけれども。


 地方の料理大会が、未だにその流れを汲んでいる事には、ちょっと驚きだけれども。




 ----閑話休題(とにかく)




 3人を受付まで見送った私は、どんな感じなのか見るために観客席へと移動した。


 ベータちゃんがどういう料理を披露するのかが楽しみという面もあるが、この世界の料理文化がどれくらい発展しているのかの現地調査という訳だ。

 いやぁ、楽しみ! 楽しみ!


「むむっ。そこに居るのは、ススリアさんでは?」


 と、気分的にはポップコーン片手に映画館で上映を待つ雰囲気でいた所、観客の1人に声をかけられた。

 振り返るとそこに居たのは、ドラゴンの瞳を持つ兎獣人----錬金術師のメキスさんであった。


「メキスさんじゃないですか。ここで何を?」

「私の名はメキス。この料理大会で5連覇して審査員に選ばれた、ただの錬金術師」


 ……なるほど、殿堂入りして、実質的な出禁になった、と。

 というか、審査員に選ばれるようなのが、ただの錬金術師な訳がないと思うのは私だけだろうか。


「(そう言えば、この人、大会荒らし的な一面も持っていましたね)」


 メキスさんと初めて会ったのは、錬金術師大会。

 確かあの大会でも3連覇しているとか言っていた気がするし、単純に大会に出て自分の実力を見るのが好きな人なんだろう。


 強者ってのは、自分の実力がどの程度か知りたいと思うのが常だし。


「そう、審査員をしているんですね。私はただの見学をば」

「……なるほど。知り合いが参加している保護者枠という事ですね。了解です」


 分かっていただけたようで、何よりである。


「今大会では観客の審査はありませんが、よろしいのですか?」

「よろしいって、何が?」

「私の名はメキス。一緒に審査しませんかと誘う、ただの錬金術師」


 ……すーっ。



 それくらい、スッと言えよ!



 失礼。ちょっと言い過ぎたかもしれない、いや言ってないけれども。


 私はメキスさんに、今日はただ保護者として見に来ただけ。審査員として加わるつもりはなく、この大会の雰囲気を楽しみたいだけだと、4回ほど説得した。そう、それくらい説得した。


「なるほど。今回はそういうスタンスなんですね」


 いや、そういうスタンスも何も、"大会に行って観客席に座って審査員になるのを待っている"とか、かなーり痛い気がするんだけれども。


「では、私はこれにて」

「あぁ、審査頑張って」

「私の名はメキス。審査するからには中立的な立場である事を約束する、ただの錬金術師」


 そう言って、メキスさんはそのまま大会の関係者さんだけが入れる特別な扉の奥へと消えて行った。

 ……そうか。今大会ではメキスさんが審査員をしているのか。


「頑張れよ~、ベータちゃん」


 勝利するだろうとは思っているけれども、それでもエールを送る事にする私であった。

やっぱり臭い料理って、場合によってはテロ行為的な破壊力ありますよね? 絶対

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