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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第243話 新生ハンドラ商会の会長、ミリオンによる配信(2)

 元ハンドラ商会の面々に、動揺が走る。

 無理もあるまい。なにせ、ミリオンが出した経営方針、『一部店舗以外の全面閉店』があまりにも衝撃的な内容だったからである。



 ----『一部店舗以外の全面閉店』。



 ミリオンはその斬新な経営方針に至った理由について、話を続ける。


「ハンドラ商会がドラスト商会に勝てなかった理由は幾つもありますが、その理由で一番大きいのは、やはり"立地面の悪さ"。これに尽きるでしょう。さらには、ハンドラ商会を解体した際、一部従業員が所有していた店舗の中で、比較的立地が良かった店舗を、他商会に売り渡しています。未来の、今後来る新生ハンドラ商会のためだと思っての行動なので、問題視はしませんが、これが致命的ですね。

 現在、ハンドラ商会----つまり、私達が作り上げようとしている新生ハンドラ商会の店舗となるお店の中で、立地が良い、開店した方が良いと思える店舗はほぼありませんでした」


 淡々と、ミリオンは問題点を提示していく。


「これにより、ハンドラ商会を新しく作り上げても、以前のような経営はできないと判断しました。一度潰れ、さらに立地が良い所が消えたハンドラ商会に、以前のような経営では商会として運営できません」


 「だからこその空です」と、いきなり空の話に持って行くミリオン。


「今までの経営、すなわち海は使えなくなった。ならば我々はどうするのか? 海に再び乗り出すというのも方法としてはアリだが、ここで私は空という別の道の模索を提案する。

 すなわち、経営の刷新。立地が悪いのなら、立地を気にしない事業をすれば良いだけの話である」



「立地を気にしない事業……?」

「そんなの、あるのか?」

「出店とか? いや、それでも長期的には----」

「あぁ、なんか難しい事を話しているし、頭が良い事は分かるが……」



 ミリオンの言葉に、従業員達の間に動揺が広がって行く。彼らにはイメージが出来ないのだろう、立地を気にしない事業、経営というモノが。




「それは、"通信販売"である」



 そんな彼らの不安を払拭するべく、ミリオンはそう大きな声で宣言する。そして、映し出していた地図の映像を、別の映像へと変えていた。


【~通信販売 新たな経営形態への提案~】


 その別の映像には、そういうタイトルが書かれていた。




【大社長であるススリア様が普段やっている通信、これを大前提とした販売方法です


 ----ステップ1----

 まず、立地の悪い店舗を全て売り払い、さらに立地の悪い店舗を買い取る。買い取る際の店舗の条件は、『出来る限り倉庫部分が広い場所』、『道路に面しているなど交通面がある程度通じている』の二点を重視して買い取ってください


 ----ステップ2----

 通信設備の整った撮影フロアを用意して、そこでおすすめの商品を宣伝する配信を撮る。おすすめの商品については任せますので、商品の販売、金銭の受領方法を確認する


 ----ステップ3----

 商品が欲しいと言った方に、すぐさま商品を届ける。重要なのは『柔らかい品物でも一切揺れずに運べる梱包方法』、『すぐさま届けられる運搬ルートの確認』


 "配信を通じて、お客様が欲しいと思っていた商品をすぐさま届ける"

 店に行くのではなく、店に注文して届けてもらう経営方法】




 新生ハンドラ商会が提案したのは、"通信販売"という販売方法であった。


「まずは、無料にてハンドラ商会の会員となってもらう。『今なら配送料を半額』、『まとめて買うと1割引き』など、今だと会員になってもらうとお得だと消費者、お客様に分かってもらう事が重要。

 あとは、定期的に"お得"、"買い時"と思ってもらえる商品の開発、そして通信による宣伝販売。我々は今後、お客様と顔を合わせる機会は少なくなるが、その分の店舗営業での時間を、より良い商品開発や宣伝に費やす事が出来る。


 ----今こそ、ハンドラ商会は生まれ変わろう。

 

 そこでしか買えないという店舗経営を、地面や海に根付いた考えを捨て。

 注文があれば、どこからでも買える----空の経営を、一緒にやって行こうじゃないか」




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




 ----それから、しばらくして。


「はい、こちら新生ハンドラ商会の会長、ミリオンです」


 そこには、廊下を小走りで歩きながら、配信を使っての部下の質問に応えるミリオンの姿があった。


「……なるほど。"相手が代金を支払わず、商品を分捕って来た"と。

 分かりました、でしたら今から伝える所に連絡してください。そこは私が個人的に契約している自警団です。金額は多少かかりますが、その分、騎士団なんかよりもしっかり対処してくれますよ? こちらの言い分を多少多めでね」


 「では」とそう言って、通信を切るミリオンに対して、隣で会話を聞いていた部下の従業員が「この対応で良かったのか?」と問う。


「あの、会長。もし、通報してきた方が嘘を言っていたりだとか……」

「問題ありません。その件については二重チェックをしております。通報してきた方と同じ現場で働く人たちから裏取りは済ませてあります」


 もし仮に、嘘の証言をしていたとしても、対応はばっちりだと。

 ミリオンはそう応え、部下の従業員は「流石です」と応える。


「『現場の従業員達の状況は常に把握する』。店舗経営を捨て、現場判断が大きな役割を占めるようになった今では重要な事です」

「凄いです! 流石はミリオン会長です!」

「褒めるのは後にして。そろそろ"配信"の時間ですよ」


 バンっと、扉を開けるミリオン。

 中では、次の商品に対する放送の準備が整っていた。


「会長! この商品についてですが!」

「説明は必要ありません。その件については、3か月前の報告にありましたので。あと、1週間前に改良したとの報告も入っています」


 ヘッドセットをしっかりと整え、ミリオンは撮影班に喝をいれる。


「では、皆さま。今日も良い放送を」



 こうして、新生ハンドラ商会の会長----別名『最も顔が知られた商会長』であるミリオンの活動がスタートするのであった。

『最も顔が知られた商会長』、それがイプシロンちゃんの姉であるミリオン商会長なのであります!!

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