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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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235/426

第235話 狩猟のドン・デーロによる襲撃配信

 それ(・・)は、ほんの少し前----ハンドラ商会に魔女スタダムが勧誘されて来る前のお話。




 ハンドラ商会本店にはいつも、シベリア会長を含めた幹部達がだいたい2名以上は必ず在籍している。

 しかしながら、その日に限っては、シベリア・ハンドラ会長1人しかいなかった。


 仕入れ担当のエアクラフ・ハンドラ本部長は、ウミヅリ王国の近隣の村で特産品を仕入れるために出払っており。

 開発担当のハイブリ・ハンドラ本部長は、そんなエアクラフに同行していた。なんでもその特産品を現地で見たいとの事。

 人材担当のディゼル・ハンドラ監査役は、使用人たちの研修旅行の引率役として同行。

 ソラ・ハンドラ副会長は、他の商会との会合。本来はシベリアが参加する予定であったが、調査によるとシベリア会長を潰す罠だと判明したため、彼女が代わりに行く事になった。


 そのような縁もあり、本店には数名のスタッフと、シベリア会長だけしか居なかった。数名のスタッフは本店で接客をしており、事務所にはシベリア会長だけだった。


「うんうん! 順調に、経営が伸びているね! 流石は、我らがハンドラ商会の精鋭達だよ!」


 帳簿を見ながら、シベリア会長は自分の商会の伸びを嬉しそうに見ていた。


 彼女には国家転覆未遂という、やってもいない冤罪の前科がある。その事についてはああするしかなかったと今でも思っており、その選択が間違っていたと思った事もない。

 だがしかし、そんな冤罪の前科がある以上、彼女は故郷へ帰る事は出来ない。その事については、少しだけ後悔している。


 そんな彼女が前を向けていられるのは、このハンドラ商会のおかげだ。

 彼女を慕う従業員たち、そしてそんな皆で仕入れた商品で笑顔になってくれているお客様の事を考えていると、自然と嬉しくなってくる。


「よーし! 明日からも頑張ろうっと!」


 彼女は希望に満ちた日々を送っていたのであった。




 ----そう(・・)この時(・・・)までは(・・・)



「シベリア会長、よろしいでしょうか?」


 事務所で一人、作業をしていると、従業員が部屋の中に入って来た、その従業員の手には大量の書類が山のように積み重なっており、いつ崩れるかも分からない状況であった。


「おぉ、その書類の山は、どうしましたか?」

「いつもの嫌がらせです。会長の成功を嫉妬(ねた)んだ者達による卑劣な取引書類攻撃です」


 このシュンカトウ共和国においては、シベリア会長のような前科持ちであろうとも、業務で成果を出している以上は有力者として扱われる。たとえ犯罪者だろうと、他の国ではテロリストだろうと、商売の成功者こそがこの国では偉いのだ。

 しかしながら、そんなシュンカトウ共和国でも、足の引っ張り合い、嫉妬による邪魔行為が存在する。


 それがこの、取引書類攻撃。


 そのほとんどが、迂闊(うかつ)に取り扱って、仮に契約を結んでしまえば、こちらの大損にしかならない取引書類。

 しかし中には、ちゃんと契約を結んでおかないと、商会取り潰しもあり得る重要書類も混ざっている。


 そんな取引書類を、毎日のように、暇人かと言わんばかりに、山のように送りつけてくるのだ。

 むしろ、この取引書類の山を適切に処理できる事こそが、商会長の度量と言わんばかりに。


「はぁ……今日も盛大に来ているね。取引書類攻撃」

「全くですね。毎度毎度、こんなにたくさん、どうやって送りつけて来ているんだか」

「話によれば、この取引書類攻撃を行うためだけの部署もあるようですよ? 日がな一日、業務として、他の商会を潰す書類を山のように作っている部署が」


 聞きかじった情報を口にすると、書類の山を持って来て部屋に置いた従業員が「うげぇ」と苦い顔をしていた。


「安心してください。今度ハイブリ君が、結んではいけない契約書類のみを検出して弾く魔道具を用意してくれるそうです。なんでも、辺境イスウッドにめちゃくちゃ優秀な錬金術師が居るから話だけでも持ち込むそうです。まぁ、ドラスト商会と取引が多い人なので、その辺の調整はこの私の仕事ですが」

「なるほど……しかしまぁ、これだけたくさんの書類の山があると、一枚くらいは間違えて押しちゃうかもしれませんね。私だったら」


 あははと、冗談めいて笑う従業員に、シベリア会長は「そんな物ですよ」と応える。


「確かに間違えたら、この商会が傾く危険性が高い物も多い。しかしながら、たった一度の失敗を恐れちゃ何も始まらない。

 一度失敗したら、百回成功すれば良い。それくらいの気持ちで、失敗を恐れず、むしろそうなった時も笑顔で乗り切ろうと、私はそう考えています」




「でも、死んだらおしまいですよね?」




 すっと、従業員はそう言って、シベリア会長のお腹にナイフを突き刺した。


「一度失敗しても、百回成功すれば良いというのは、実にいい考えです。----だ・け・ど・も、そのたった一度の失敗で全てを失っちゃあ世話ないです。世の中にはそういう事もあるのだと実感してもらわなければ」

「おっまえ……」


 腹にナイフを突き刺されたシベリア会長は、ぐぐっと、自分にナイフを突き刺した従業員の顔を見る。その従業員の顔には、【狩猟】という文字が書かれた仮面が付けられていた。


「ごめんね、シベリア会長さん。私、実はあなたの従業員じゃないの。あなたのその、『ドラゴンを使って国家転覆未遂まで行った』というそういう物語(ストーリー)が好きなだけの、ただの悪魔です♪」

「あく、まっ……?」

「そう、私はドン・デーロ。狩猟のドン・デーロ。あなたはね、魔王ユギーの五本槍である私を派遣されるくらい、とある人に恨まれてたの。お・わ・か・り?」


 クスクスクスッ----!


 盛大に笑うドン・デーロ。そしてデーロは、シベリア会長の頭をその手でゆっくりと掴む。


「これから私は、あなたの顔を使って、このシュンカトウ共和国を滅ぼすの。そのために、あなたは邪魔、な・の・よ!」


 ザクッ!!


 ただでさえ血が出て、死にそうなシベリア会長にさらにナイフを突き刺すデーロ。

 カハッと血を吐くシベリア会長を見て、デーロは嬉しそうに、満足そうに笑顔を浮かべる。


「そうそう! その獲物が最期に見せる、命への執着! 無慈悲に刈り取られる事に対する怒り、憎しみ、悲しみ! 君は実に良い獲物だよ、シベリア・ハンドラ会長さん?」

「わたしが……しん……」

「"私が死んだら、誰も従わない"? あー、そういう事なら大丈夫だよ、だって----」


 デーロはそう言うと、【狩猟】の二文字が光り輝く。

 そして、光り輝く二文字に照らされた影から、シベリア会長が(・・・・・・・)ゆっくりと(・・・・・)現れた(・・・)


「----?!」

「私はね、他人の記憶を読むことが出来る。そしてその他人の記憶から、私に従順なコピーを生み出せる。過去の記憶を、現実の存在へとね?」




 ----だから、あなたは要らないの。じゃあね、シベリア会長?




 そう言って、シベリア会長の首に、デーロはナイフを突き立てた----。

他人の記憶を読み取り、従順なコピーとして生み出す!!

……ほんとう、ヤバい能力ですねこれ

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