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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第233話 ソラとシベリア【決戦の大格闘配信】

 ~~ソラ・ハンドラ~~


 私には、記憶がない。正確には、シベリア会長と出会う前の記憶がない。


 会長の話によると、私はいきなり空から落ちて来たらしく、その落ちてしまった先がシュンカトウ共和国の盟主の館だったという。そして落ちた際に、その館に居た盟主の腕を吹っ飛ばしてしまったのだとか。


「転移の事故か、それとも私達が見つけていない天空の王国だかがどこかにあって、そこから落ちてしまったのだと私達は睨んでいます。まぁ、記憶がない以上、その証明ができないんですが」


 ソラ会長はそう言っていた。分かったのは私がアマゾネスで、何故かは分からないが空高くから落ちて来てしまったという事だけ。


「一応、私が雇った弁護士が考えた【空を飛ぶ乗り物に乗っていたら、偶然盟主の館に落ちてしまった】という筋書きだけは覚えておいてください。その事実さえ忘れてくれなければ、必ずあなたを無罪にして、助け出します」


 銀色の髪が美しいシベリア会長は、拘置所の中にいる私にそう言ってくれた。

 彼女だけだ、彼女だけが私を無実にしようとしてくれている。



 ----こんな記憶のない、どこから来たかも分からない私なんかを。



「どうして……」

「ん……?」


 だから、私は聞いた。

 どうして、私を助け出そうとしているのかって。


 私を弁護するために高額な費用で弁護士先生を雇い。

 さらに【空を飛ぶ乗り物から落ちた】という架空のストーリーをでっち上げるためだけに、その時間に空を飛ぶ乗り物があったという嘘の証拠まで作って。

 その証拠がバレないように、判決を下す人達全てに口止め料として、多額の賄賂まで支払って。


「私、見ず知らずのあなたにそこまでしてもらう価値なんて……」

「そんな"見ず知らずのあなた"なんて、他人行儀な言い方をするんじゃないよ」


 シベリア会長は、その時初めて怒った。

 私が記憶がないといった時も、架空のストーリーを間違えてしまった時も、力加減を間違えて扉や捏造証拠を潰してしまった時も、一切私を怒らなかった彼女が、その時初めて怒った。


「良いかい、少女よ。私はね、実はとーっても悪い犯罪者だったりするのだよ」

「犯罪者……?」

「そう! 君を助けるために使っているお金も、その時に稼いでおいたお金……って、信じてないね?」


 私が呆気に取られていると、信じて貰えてないと判断したシベリア会長は、「やれやれ」とそう口を漏らしていた。


「まぁ、実際はあれはただの事故だった。ドラゴンという生物が起こした、ただの事故だったんだ。

 ----昔ね、私の故郷でドラゴンが暴走して国の重要な施設を破壊してしまい、そのドラゴンを殺そうかという話になった。私の故郷は雪国であり、ドラゴンとの友好的な関係があるからこそ、何とか生き延びているそういう国だった」


 ----その時、どうしたと思う?


 シベリア会長は、私に対してそう聞いてきた。私は分からないので、黙っていると、シベリア会長はこう答えた。



「私が、"生贄(・・)"となった」



 シベリア会長はそう、何事もないように答えていた。


「誰かが、責任を取らないといけなかった。

 ドラゴンに責任を押し付けたら、ドラゴンとの友好関係が結べなくなって国が滅ぶ。だからと言って、ドラゴンに国が滅ぼされたという事実を無かった事には出来ないくらいには、この事実は他の国に伝わっていた。友好的な関係を結んでいるはずのドラゴンに、国が滅ぼされかけたとあれば、他の国に私の国に侵攻する、絶好の口実を与えかねない。

 だからこそ、誰かがドラゴンを主導して、このような一大事を仕組んだという、そういう物語(ストーリー)が必要だった。今回の君を救うための、物語(ストーリー)のようにね」


 シベリア会長の話によれば、その責任を取ったのが彼女だったという。

 

 こうして、彼女は『ドラゴンを使って自分の国を滅ぼそうとした少女』という、不名誉な前科を受け止めたのであったという。




「幸いなことに、この私には才能があった。ドラゴンを使って故郷を滅ぼそうとしたという筋書きが実現できるほどの、それだけの才能が私にはあった。優秀であれば前科のあるなしなんか関係なく受け入れてくれる、シュンカトウ共和国という逃げ場所もあった。

 こうして私は、今はシュンカトウ共和国にて、ハンドラ商会という商会の会長を勤めさせていただくくらいには、私は充実した毎日を送っているよ。


 ----君にもそういう人生を歩んで欲しい。そう思っているんだ。

 一度失敗しても良い、百回成功すれば良い。一度失敗したという事実が些細な事に思えてしまうくらいに、盛大に成功者としての人生を歩めばいい。

 前科(マエ)があるという事すら、忘れるほどの成功した人生を見せつけてやろうぜ?


 なぁ、ソラ・ハンドラ? 私、シベリア・ハンドラの新しい家族」




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




「会長……」


 私は最後に、こうして負ける事が、勝ってくれと願っていた会長の願いを叶えられなかった事が。



 どうしても、心残りだった。




 ===== ===== ===== ===== ===== =====

 【競争会場(バトルフィールド)】第4回戦 種目;個人格闘戦

 勝者;ドラスト商会選手 ススリア

 敗者;ハンドラ商会選手 ソラ・ハンドラ


 この対戦結果により 敗北したペナルティーにより ソラ・ハンドラにとって一番大事なモノ 【過去の記憶】が  ドラスト商会選手のススリアの所有物として 与えられます



 全4回戦が終了した事により 【競争会場】の効果を 終了します



 なお この4回戦の対決で獲得した物は 全て 所有権のある勝者に 譲渡されます

 買い戻す際は 交渉により お決めください

 所有権は なにもなければ1週間 勝者の物となります



 それでは 今回はご利用いただき ありがとうございました

 ===== ===== ===== ===== ===== =====

シベリア「うわぁ! 空から、女の子が!」


ソラ「それでソラという名前は、安直では……」

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