第228話 ススリアとソラ【決戦の大格闘配信】(1)
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【競争会場】第3回戦 種目;逆ババ抜き勝負
勝者;ハンドラ商会選手 ディゼル・ハンドラ
敗者代表;ドラスト商会選手 シガラキ・マホウサマ
敗者;ドラスト商会選手 アレイスター
この対戦結果により シガラキ・マホウサマと アレイスターは これ以降の勝負には 参加できなくなります
また 敗北したペナルティーにより シガラキ・マホウサマにとって一番大事なモノ 【演算計算補助】が ハンドラ商会選手のディゼル・ハンドラの所有物として 与えられます
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「よしっ、勝てました」
第3回戦、ディゼル・ハンドラの勝負はかなーり地味に終わったのであった。
シガラキ・マホウサマが提案した勝負は、逆ババ抜き勝負。そう、トランプカードを引いてババであるジョーカーを最後まで持っていた人が負けというババ抜きというゲーム……それの逆版。最後までババを持っていた方が勝ちという勝負であった。
その勝負で、一番最初に脱落したのはシガラキ代表。商会長としての運の良さが、裏目に出たのかは分からないが、最初の段階で2枚という驚異的な運を発揮し、そのまま脱落。
その後はアレイスターとディゼルによる逆ババ抜きがあったが、10分くらい続いた戦いは、ディゼルの勝利に終わった。
----とまぁ、それだけの話だ。
語るべきイベントも、手に汗握る展開も、この第3回戦は消化試合とでも言うくらいに呆気なく終わりを迎えた。
まぁ、誰も傷つかなかったが、そもそもこの対決はシガラキ代表とディゼルの2人が話し合っていただけあって、平和的に解決した。誰も傷ついていないし、ディゼルもすぐに【競争会場】の効果によって具現化された【演算計算補助】というスキルをシガラキ代表に返却していたし。
「では、第4回戦。最終戦はこの私、シベリア会長の右腕。ソラ・ハンドラがお相手します。
そして前回の第3回戦の勝負はそちら側でしたので、第4回戦はこちらから決めさせていただきます。今回の対決は1対1の対戦を希望します」
「結局、こうなるのね……」
最終決戦の第4回戦。ドラスト商会の代表は私、そして相手はソラ・ハンドラ副会長。
並んでみると、彼女の凄さ良く分かる。
アマゾネスと聞くと、以前カゲミツくんを欲しがったサクラアさんを思い出す。そう、サクラア・コ・ラホ男爵令嬢の事である。
彼女はツブア・コ・ラホ男爵領領主の娘であり、同時にアマゾネスの母親から生まれたハーフアマゾネス。全身筋肉がムキムキという彼女のインパクトには驚いたものだが、このソラ副会長から感じるインパクトはそれ以上だった。
まず、シンプルにデカい。
身長4m越え----魔物とかと比べるとそこまでではないが、同じ人間だと考慮すると、私の身長の倍以上の身体とか、マジで本当に同じ人間族とは思えないくらいだ。
アマゾネスは、ただ単に筋肉質な身体が多い女性の人間族なはずであり、ここまで巨体になるはずがないんだけどなぁ……。
そして、次に筋肉がヤバイ。
サクラアさんはあくまでもハーフ。そして男爵令嬢として淑女教育を受けていたから、筋肉を鍛えるというような行動を常日頃からやっていた訳ではない。それなのに、あのインパクトのある筋肉質な身体をしていたのだが。
しかし、純正なるアマゾネス、そしてイメージ・チェスを使って説明していた際に、『裏社会の格闘王』と呼ばれていた彼女の筋肉量は桁違いだ。
錬金術師ススリアとしての、私の鑑定眼が、彼女の筋肉が超一級品だと告げていた。
「(ただ、気を付けるべきはそこまでという事だろう)」
彼女の身体の保有する魔力量は、決して多くはない。身体強化に回せる分は少ないと見える。
これでもし、魔力量まで桁外れだとしたら、超一流の筋肉を、膨大な魔力による身体強化魔法で強化するというとんでもコースが待っていた事だろう。
「(だからと言って、警戒はし続けますけどね)」
第2回戦のハイブリ・ハンドラの対決にて、彼女は魔法魔道具【ポイズンビルド】を使った魔法魔道具を使ってきた。そう考えたら、このソラ副会長も同じように魔法魔道具を使ってくる可能性は高い。
「(だったらこちらも、魔道具で対抗しよう)」
私はイプシロンちゃんを呼んでくるよう、アレイスターにお願いした。
数分後、ほくほくした嬉しそうな顔で、アレイスターはこちらへとやって来る。というか、その嬉しそうな顔はどうした?
「あぁ、これですか? 実はあの後にハイブリ・ハンドラさんにも営業をかけた結果、私との正式な売買計画を立ててくれたんです! 船長、これで私達は大金持ちですよ!」
どうやら、あのアマーイサモーンの契約が上手く行っているようだ。そう言えば君は、そのためにこの場についてきたんだったね。
「それで、船長? 私に用事とは?」
「あぁ、それなんだけど……」
こうやって私は、イプシロンちゃんと話し合い、無事、目的の魔道具を手に入れて----
「さぁ、やろうか」
「相手にとって不足なし。存分に戦い合いましょう」
私とソラ副会長の、1対1の個人格闘戦が始まるのであった。




