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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第226話 ティトゥが見た! 何かを見た! 配信

 ~~スーパー傭兵ティトゥ~~


「(あのエルフの思考を読んで、最高級解毒ポーションを当てれば良いんでしょう! だったら----)」


 ヒルさん、そして雇い主であるスコティッシュさんとの会話を、全部理解できたわけではない。しかしながら、あの巨大人型兵器に乗っているハイブリ・ハンドラにぶつければ良いという事が分かった。

 それなら、この私の『好きな相手の心を読める』という異能力を使って、その思考を読んでみせます!


 私はそう思って、ハイブリの顔を見ながら、彼女を褒め始めた。




「カワイイ! 頭が良い! 仕事熱心! 本部長という役職付きなのも凄い!」



 私はそう言って、相手を褒める。褒めまくる。手あたり次第、相手を見て思いついた褒め言葉を言っていく。

 そうすることで、私の中で彼女に対する関心が強まっていき、同時に彼女はそんな凄い人なんだと尊敬するようになっていた。


「(尊敬もまた、好きになる事の1つ、ってね!)」


 これは、傭兵として仕事をしていくうえで身に着けた処世術の1つ。

 相手の良い所を何個かあげることで、今まで興味がなかった相手は「こんな凄い人なんだ」と感心して、尊敬する人という『好きな相手』のカテゴリに入れるという手法である。


「よしっ、彼女の思考が読めて来たっ!」


 私はそう言って、彼女の思考を読み始めた----。




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




 ----そこは、暗い路地裏だった。


 空はどんよりと暗い雲が覆っており、地面はデコボコと凹凸(おうとつ)まみれであった。どこかのスラム街のような場所で、私はそのスラム街にいつの間にか立っていた。


「(ここは、もしかして、ハイブリの思考の中?)」


 私はすぐさま、ここがハイブリ・ハンドラの思考の中である事を察した。

 思考を読む際、こういう事は良くある。相手の思考を読もうとして、うっかり思考を読み過ぎてしまってしまい、その人が心の奥底に閉まっている過去の記憶にまで潜ってしまう事があるのだった。

 心を読もうとした相手が全員そうなる訳ではないんですが、こうなったら確実に相手の心を読めていると言って良いので、どうやら私の処世術はきちんと成功したようである。


 問題は、いまのこの状態。

 この心の奥底に閉まっている過去の記憶まで潜ってしまった場合、この記憶が全て再生し終えるまで、私は現実の世界まで戻れないという事だ。

 この記憶の再生がどれほど続くかは、私にも分からない。以前同じような状態になった時には、丸3日間72時間記憶を見続けさせられた時がある。いつ戻れるか分からないというのが、私はとっても怖かった。


 再生が終わり、元の現実の世界に戻れれば、ハイブリの思考はすーっと、それこそヒルさんレベルで読み取れるようになる。それにここで何時間過ごしたとしても、現実では1秒も経過しないというのは分かっている。


「分かってはいるけど……いつ終わるか分からないって、辛いですぅ」


 そんな事を考えていると、どうやら記憶の再生が始まったみたいである。




 私の目の前には、薄汚れた髪をした子供のエルフが座り込んでいた。私には分かる、彼女こそが子供の頃のハイブリ・ハンドラである。


「服もボロボロで、どうしてここまで……」


 事前資料によれば、ハイブリ・ハンドラは危険薬物を持って、学校へと行って、そこでシベリア会長に拾われていたはずだ。

 エルフ族に伝わっていた『一瞬で疲れが吹っ飛ぶ薬草』とやらが危険薬物だったから、危険薬物所持ということで、常識を学ぶために学校へと強制的に通わされ、そこでシベリア会長に拾われていたはず。


 経験上、ここで見る過去の記憶は、その人の"一番大切にしている記憶"のはず。


 だったら、なんでこんな路地裏に?


「シベリア会長に心酔してハンドラ商会に入ったのなら、ハンドラ商会に入る前の出来事や、学校での場面が出るはずなのに……」


 なんか変だなと思っていると、ボロボロの服を着ている子供姿のハイブリに、1人の少女が近寄って来た。銀髪の少女----資料にあったシベリア会長、あれを少し幼くしたような姿。

 どうやらハイブリと、彼女が慕うシベリア会長が会った時の記憶と言うのは間違いないみたいだけど……。



『会長! 私、誓います! この学校(・・)を卒業して、立派な社会人となって、シベリア会長に尽くす事を!』

『その意気だよ、ハイブリちゃん。でも忘れないでね。一度失敗しても良い、百回成功すれば良いのだから。ちょっとした失敗も、その後何度も何度も成功し続けていれば、そんな事があっただなんて信じられないくらい、ただのバカ話になるさ』



「学校……?」

 

 子供のハイブリの言葉を聞いて、辺りを見渡すが、やはり見えるのは薄汚れた路地裏の光景であり、どこにも学校らしき建物の姿はない。

 2人の会話を聞きながら、私はやっぱり変な会話だなと思った。


「なんでしょう、この"ハイブリとシベリア会長との会話自体"は、彼女が大切にしたい過去の記憶そのものだと思う。だったらなんで、周囲の光景はこんな薄汚れた路地裏なんでしょうか……?」


 ヒルさんとスコティッシュさんの会話以上に、どうしてだろうと思っていると、私の意識は薄れていき、そして----




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




「いきなり褒めて来て、なんのつもりだ……?

 (よしっ、まずはこの獣人女を、上から叩き潰そう!)」


 彼女(ハイブリ)の心の声が聞こえて来た私は、すぐさま避けた。


「どうやら、成功したみたいですね……」


 気になる事は山積みですが、今はとりあえず、思考が読めた事を喜ぶ私なのでした。

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