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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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222/425

第222話 傭兵にもいろいろ事情があるんだなぁ配信

 ~~傭兵ヒルアンド~~


 俺の名前は狼獣人の【ヒルアンド】。ドラスト商会に雇われた、傭兵ギルド所属の傭兵の1人である。

 俺は今日、ハンドラ商会をぶっ潰すために、他の数人の傭兵たちと共に雇われた。いわゆる、お得売りパックプランというモノでな。


 商いの国であるシュンカトウ共和国において、傭兵になると言うのはかなりハードルが低い。

 純粋な戦闘能力ではなく、店の新装開店の際に雇う臨時のバイトだったり、物を運搬するのに人手が欲しいという理由で、傭兵ギルドから雇うというのが、この国での一般的な傭兵の立ち位置だ。正直な話、俺のような"武器として剣を振るう能力がある"という傭兵の方が珍しいくらいだ。


 だからこそ、この共和国内において、『他の商会と全面戦争になるから、武力を持って戦うために傭兵を複数名雇いたい』と言われても、それだけの人数が確保できなかった。

 だから傭兵ギルドは、俺と3名ほどの武力が出来る傭兵と、あとは人数合わせのために人を一緒に提供した。だからこそのお得売りパックプランという訳だ。


「今から戦闘ですって……緊張しますね、ヒルさん」


 俺の横でそう言って震えているのは、お得売りパックプランで、数合わせとして雇われた猫獣人の【ティトゥ】。同じ傭兵ギルドに所属しているから知っているが、一際小柄な猫の獣人である彼女は荒事なんて出来ない、ただ店舗運営に優れているだけの獣人だ。

 将来的には、今回俺達を雇ったドラスト商会で働くスコティッシュさんのような、"イケてる女商人"になるのが夢らしく、今はこういう依頼を通じて、お金を稼ごうと頑張っているらしい。


「(正直、その夢を叶えて欲しいなと、いつもそう思っている)」



 傭兵ギルドの傭兵は、たいていが訳アリだ。



 以前に働いていたお店でセクハラにあって以来、同じ店に続けて勤めるのが無理になった者。

 子供が幼くて、働きたいけど毎日同じ時間働くのが難しい者。

 時折叫びたくなって止められなくなってしまうという、精神的な病気を抱えている者。


 誰もが同じ店で働き続けるのが無理だからこそ、傭兵という家業を選んだ者達であり、誰も未来を見据えず、現状を生きるのが精いっぱいだ。


 俺だって、そうだ。


 俺の家は、俺以外に子供が10人もいる。世間一般から見れば大家族の部類に入るだろうが、獣人の中には俺の家みたいに多くの子供を産むのも珍しくないし、まぁ普通の家だろう。

 そんな家で育った俺は、俺達子供達のために必死で働く両親の姿を見て、俺も早く大人になって働いて楽させようと思った。

 そんな夢見ていた俺が、今じゃあ傭兵だ。俺には商才ってのがからっきしだったらしく、狼獣人としてそれなりに優秀な身体能力があったから傭兵として働けているだけの、それだけの者だ。



 ----しかし、ティトゥは違う。



 彼女は俺の家と同じく、8人の子供を養うために、傭兵になった。

 しかしながら、彼女は傭兵の仕事で得られた商売スキルをメキメキと伸ばして、今じゃあ、どんな商会でも頼りにするスーパー傭兵ってのになっている。

 目標金額というのが幾らかは分からないが、きっと彼女は俺達のような傭兵として雇われる立場から抜け出し、傭兵を雇うというそういう商人になれる実力がある。


「(だからこそ、俺がこいつを守らねぇとなぁ)」


 傭兵として、仕事はするつもりだ。

 しかし、それと同時にティトゥを出来る限り守って見せよう。


「(それが俺に出来る、最大限のコイツへの配慮って奴だからな)」






 ~~スーパー傭兵ティトゥ~~


 はぁ~! 好き!

 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き……だ~い好きっ!!


 どうも、猫獣人のティトゥです。

 実は私はただの猫獣人ではなく、特別な能力があるんです。


 なんと私、人の心が(・・・・)読める(・・・)んです(・・・)


 正確には、私が好きな相手の心の中だけ読めちゃうんです。

 これは全ての猫獣人族がそう言う能力を持っているという訳ではなく、時折、私のような能力を持った猫獣人が生まれるらしく、私は偶然そういう能力を持って生まれてしまいました。

 

 当然、こんな他人の心が読める私を受け入れてくれる商会は少なく、商会に所属するにはそういった事情をちゃんと説明しなければなりません。

 私はそれを隠すため、傭兵として働いています。傭兵で働いて、溜まったお金で自ら商会を旗揚げする事こそが、この異能力を持った私の生き方だと信じて。


 そんな私が、ヒルアンドさんを好きになったのは、初めて行った派遣先で、誰も手伝ってくれなかった私の仕事を、手伝ってくれたあの時から。

 最初は親切な人だなと感じる程度だったのですが、私の異能力で彼がどういう考えなのかが分かり……いつの間にか好きになってました!!


 あ~好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好きっ!!


 この仕事を終えたら、私は商会を設立するための目標金額まで溜める事が出来る。


 それが出来てから初めて、お願いするんです!


 ----一緒に、商会をやりませんか、って!

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