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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第218話 私と、会長と、養殖と。【障害物競走対決配信】

 ~~エアクラフ・ハンドラ~~


『君の速さが必要なんだ。お願いだ、力を貸してくれないか』


 シベリア会長(その女性)は、騎士団に捕まった私に対して、そう何気なく口にした。



 私の名前は、エアクラフ・ハンドラ。トビウオの魚人族である。

 

 私は、暴走族であった。ウミヅリ王国で生まれた私は、他の魚人族数名と共に、スピードの向こう側を目指して、危険なレースを常日頃から行っていた。

 楽しい生活であったが、私は刺激が足りないと思っていた。そして、私はとんでもない事を犯してしまった。



 ----そう、私は刺激を求めるためだけに、王国の関係者以外立ち入り禁止の場所に入ってしまった。



 それだけならば、他の暴走族メンバーと共にただ厳重注意で終わったのだが、私は王族所有の豪華な馬車を破壊してしまったのである。

 私自身は意図的に壊すつもりはなく、ただ他のメンバーとぶつかりそうになったから急に避けた結果、うっかりその馬車を破壊してしまったのである。


 その結果、私は懲役28年の罪人となっていた。


 そんな私を、誰もが見捨てた。懲役してしまった者と、積極的に関わろうという者は少なくなるし、私も相手の立場だとしたらそうなるから良く分かると思った。

 ただ、寂しかった。たった一度のミスが、人生をこんなにも惨めにするのだなと、私は牢獄の中で反省していた。


 そんな私に、高額である2代目の馬車を賠償として持って来て、手を差し伸べて来たのが、シベリア会長だった。そう、彼女こそが、私にとっての光だった。


 だから、私は彼女のために生きようと思った。


 暴走族からは足を洗い、彼女の経営する商会を大きくするために商人になろうと思った。

 そうしたら、仕入れ担当の立場が、私に向いていることが分かり、現在はその部署の本部長にまで上り詰めた。


 私にとって、シベリア会長こそが指標。目標であり、私が生きる道を指し示すお方である。

 そのシベリア会長が、足止めせよと命じるのであれば、喜んでさせていただきましょう! 全ては、シベリア会長のために!




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




「ルールは簡単! 10000m走、障害物ありで、お互いに勝負して、より早くゴールへと辿り着いたモノの勝利という、妨害ありのレースだ! 互いに相手のコースに障害物を置いて、レースをしようぜ!」


 私が戦うゲームは、障害物競争。

 10000mのコースをお互いに走り、より早くゴールについた方が勝ちというシンプルなモノ。


 しかし、このゲームの一番のポイントは、"障害物(・・・)"。


 相手のコースのどこに、どういう障害物をおけば効果的に邪魔できるかを考えなければならない。

 このレースにおけるポイントは、相手がどこに置かれると一番厄介なのかを考え、効果的なのかを考えなければならないという事。そして、その障害物を仕入れるルートが必要なのだ。


「コースにおける障害物の数の制限はなし。ただし、自分が置いた分だけ、相手も同じだけ置くことが出来る! こちらが4つ置くなら、相手も4つ置けるという風にな! 禁止事項は、相手を殺すのを目的とした罠の設置! それさえ守れば、どんな罠でもおいて構わない!

 いきなりこのレース場に連れていかれて、準備もなにもないというのなら、0個でも構わないぞ! その場合、陸上でもハンドラ商会一の俊足を誇る、この私と純粋な脚力勝負になるがな!」


 そう、私の目的は、その純粋な脚力での勝負。

 トビウオの魚人族ということで、ただ空を滑空するのが強みだと思われているかもしれないが、私の強みはスタミナとスピードの2つ。

 長い事、仕入れ担当として走り続けた事で鍛え上げた私の足は、ハンドラ商会一の健脚。その上、スタミナも尋常じゃなく10000mどころか、20000m走っても私の足は衰えない。さらに120%の力で走ったとしても、10数mほど滑空するだけで私は体力(スタミナ)を回復するという驚くべき回復も手に入れている。


 スピード勝負に置いて、私に敗北はない。

 だから、相手側全員がかかって来たとしても、私には負けない自信があった。誰が相手だろうとも、私に勝てる人物がいるはずもないという自信しかなかった。



「----それなら、この私が偉大なる航海の先陣を切りましょう!」



 だから、予想外だった。

 私とスピード勝負をするという相手が、イプシロンちゃんという、【アマーイサモーン、絶賛売込中!】というふざけたタスキをかけたゴーレムだという事が。


 イプシロンちゃんの事は、敵側の情報を仕入れた際に知っている。

 確か、ドラスト商会の協力者である錬金術師ススリアが作った、養殖業担当のゴーレム。タスキを付けている所から見て、アピールが目的なのだろう。


「良いのか? この魔法魔道具【競争会場(バトルフィールド)】は、一度敗北すると、次回以降の試合には出る事が出来ない。そのアピールも、いま負けたら出来なくなるぞ?」

「ふっ! (トビウオ)ごときが、何を抜かす! 海を、養殖業を統べるこの私が、魚相手に負ける事はない! 魚は飼って美味しく育てるモノであり、勝負に負けるモノではないからな!」


 ……意味は良く分からないが、とりあえずバカにされているという事は確かだろう。


「……良いでしょう。では、障害物は幾つ設置する? 0個ですか、それとも----」

「4つだな。この対決を知っていれば、船長と相談してもっと用意していたが」


 そう言って、彼女は4匹の蛇型のゴーレムを見せて来る。

 なるほど、これが彼女の設置する罠という訳か。


「……良いでしょう。では、設置時間は1時間。それまでに4つの罠の設置、頑張ってください」

「えぇ、最高のアピールという名の航海をお見せしましょう!」


 こうして、私とイプシロンちゃんの、障害物競走という対決は幕を開けたのであった----。

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