表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

210/425

第210話 偽獣鉄について調べよう配信

「皆様、(ピエーム)を助けていただき。誠にありがとうございます」


 ぺこりっと、ピエームは感謝の意を示して、私達に大きく頭を下げた。私、それに彼女を見守っていたシュンカトウ共和国の兵士さん達に対して、彼女は「心配してくださり、感謝です」と頭を下げる。


「----これで、良いんです、よね?」


 と、ピエームはちょっと照れたように、そう話すのであった。



 邪魔者である、魔王ユギーの五本槍の1人たる快感のブラッドの話通り、あの後に眠りから覚めたピエームは全ての繋がりを失っていた。

 彼女は自分の親、家族、親戚、彼女に関連する全ての記憶を消失していた。そして騎士団本部に保管されていた彼女の書類からも、彼女が入団時に書いたと思われる情報が全て綺麗さっぱり消え去っていた。


 これがブラッドが言っていた、『繋がりが消える』という事態なのだろう。

 彼女に記憶が、そして彼女の記録がない以上、彼女がどうしてブラッドと契約する事になったのかという経緯(いきさつ)については、一切不明のままだ。そしてブラッドがどうしてこのイスウッドに居たのかについても、謎のままである。


 幸いなことに、彼女は一般常識や戦闘経験、さらには回転鋸剣(チェンソー・ブレード)になる能力はあったため、そのままシュンカトウ共和国の兵士、『シュンカトウ騎士団第五の槍』として配属される事になったのであった。



「よしっ、ピエーム! 今日は俺達5人で訓練だ! この『シュンカトウ騎士団第一の槍』である【ファウスト】の槍さばき、特とご覧あれ!」

「えぇ、この『シュンカトウ騎士団第二の槍』、【キーストン】にお任せあれです! 私の投擲術(とうてきじゅつ)を見て、驚かないでください!」

「『シュンカトウ騎士団第三の槍』、ザザード! 大会以上に磨きをかけた、私の操糸術をピエームにお見せしますよ」

「『シュンカトウ騎士団第四の槍』、【エスエース】! 私の魔法、ピエームにも思い出してもらいますね!」


「アハハ、お手柔らかに……」


 ピエームは、シュンカトウ騎士団四天王の第五の槍として名を連ねていた。

 彼女を心配した4人、そして四天王のみに交流を任せていた他の騎士達。彼女には、彼女を心配してくれる仲間が大勢いるし、記憶と記録がなくなっても問題ないだろう。




 ピエームの治療を終えた私は、再びいつものスローライフに戻った。

 ベータちゃんやデルタちゃんなどと配信者としての活動をしつつ、養殖のイプシロンちゃんやクラフトビールのカンロさんの成果物を味わいつつ、私は充実した日々を送っていた。


「……そう、そこまでは順調なんだけどなぁ」


 と、私は机の上に置いた、3本の武器を睨みつけていた。


 短刀、薙刀、杖。

 3種類のこの武器は全て、偽獣鉄を使って作った武器たちだ。


 私がいま行っているのは、前回の魔杖【アルバトロス】に起こった謎の人工意識についての調査だ。

 魔杖【アルバトロス】はこの3種類の武器と同じ、偽獣鉄を使って作った武器であるが、何故か意図しない人工の人格が出来てしまった。

 また、同じように偽獣鉄を使って作った妖刀【厄狐丸】を搭載したカゲミツくんは、私が意図していない能力の変化がみられる。あの後、彼女の身体から妖刀【厄狐丸】を取り出してみたのだが、魔杖【アルバトロス】のように、武器状態ではないはずの意識が、何故かあることが判明した。


 これはいったい、なんなのか? どうして意図していない、武器の意識が宿っているのか?

 私はその調査のため、偽獣鉄を使って武器を作っているのだ。

 もし偽獣鉄を使う事で、人工意識が生まれるのならば、本来はそこに割いていた資源(リソース)を別部分に回すことができ、さらに良い魔術付与が出来たり、良いゴーレムが作れると考えたからだ。


 しかしながら、その研究は難航中である。


 製法は全く同じなはずなのに、短刀、薙刀、そして杖には、魔杖【アルバトロス】のような人工意識は宿らなかった。ただの妖刀、人を惹きつける魅力あふれる武器なだけだ。


「(製法自体はまるで同じなはず……なのに、出来ないとなると、天候か?)」


 素材の中には、月の満ち欠けや天候によって出来が左右されるモノがある。そういったモノに作用されないように、どんな日であろうとも誤差がないように作るのも錬金術師としての腕の見せ所な訳なのだが。

 それがもし、妖刀【厄狐丸】と魔杖【アルバトロス】の2つにだけ人工意識が宿った理由が、そういったモノに作用されての事なら、こちらが意図的にその状態を作り出すことが出来れば、イケるかも知れない。


「妖刀【厄狐丸】と魔杖【アルバトロス】を作った日に共通する天候条件はっと……ないなぁ」


 2つの日を比べても、共通項はなかった。

 天候も違うし、月の満ち欠けなんかもまるで違っていた。


 だったら、なんであの2つの武器には意識が宿り、このいま作ったばかりの3種類の武器には意識が宿らないのだろう?

 なにが違う? いや、そもそもどうしてこの2つにだけ意識が宿っているのか?


 名前か? いや、魔杖【アルバトロス】を作った際は、銘を打つ前から意識が存在したのを確認している。

 時間か? それも変えてはいけないと、出来る限り条件を揃えていたから、時間ではないはず。同じく製法でもないはず。


「はぁ……久しぶりに、壁にぶち当たっちゃったよ」


 どうすれば解決するのだろうかと、私は頭を悩ませるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓途中でも『ご感想』『こうなったら面白そう』『こんなキャラどう?』という発想、また『フォロー&☆評価』お待ちしております!

カクヨム版(最新話更新中)!! 是非、ご覧ください!!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ