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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第209話 絆大好きブラッドちゃんの配信

 ~~とある悪魔~~


「結論から言いましょう! あなた方の献身的な行為により、ピエームさんは復活することが出来ました!」


 ほら、皆さん拍手! 拍手の時間ですよぉ!

 もう、悪魔(ひと)がせっかく音頭を取って、拍手のタイミングを合わせようとしているのに……



「なんで、武器の矛先をこちらに向けているんですかぁ?」



 そう私、魔王ユギー様に仕える五本槍の1人、快感のブラッドはそう皆様に語り掛けた。




 順を追って話しましょう。どうして、私が皆様の前に現れたのか。それは強い絆を感じたからです。

 不思議がっておられますが、私にとってはそれこそが重要。絆、繋がり、信頼……何かを繋ぐ事こそ尊い行為であり、それを成し遂げた者には私から祝福を授けたいと思いましてね。

 だから今回のこれは敵対行動でもなんでもなく、単なる私からのご褒美。槍を向けなくても、私の方からは一切、攻撃しませんので、ご安心ください。


 悪魔は嘘を吐かないので。

 ----勿論、正直に全てを話すほど、間抜けでもございませんが。


 冗談ですよ、冗談! だから先程よりも強めに武器を突きつけないでくださいな。

 ほら、武器を当てても私に、傷一つ(・・・)付けられない(・・・・・・)でしょ(・・・)?

 無駄だから諦めてくださいな。私は、あなた方が倒したカイデンのように、とある特定条件でしか倒せない悪魔なので。


 さて、まずはここで眠っているピエーム……そこの錬金術師とエルフの共同制作である魔道具により、魔力をチャージされることで覚醒状態へと進みつつある彼女の事について話させていただきます。

 ここで眠り続けていたピエームさんは、私と契約を交わしました。なんで彼女が私と出会ったのか、そして彼女がなんで悪魔と契約する道を選んだのかにつきましては、後から調べてくださいな。私が説明する義理もないですし。

 契約内容は、対人戦で戦える圧倒的な力を御所望(ごきぼう)だったので、私は彼女に武器になる力を授けました。いわゆる、武器人間になる力ですね。


 知ってますか? 武器化はね、その人の心象(イメージ)によって変化するんですよ?

 回転鋸(チェンソー)になったのは、彼女がそういう生き方をして来たって事で。いったい、どういう人生を送れば、刃を常に高速で回転させてあらゆる物を切り裂く回転鋸(チェンソー)になるんでしょうね?


 さてさて、そして契約内容は、彼女が心臓として蓄えた魔力が尽きるまで。

 心臓にあった魔力を生成する器官を、魔力を蓄積する器官へと変えて、その魔力がなくなるまでは動けるという契約を交わしていました。


 本来であれば、魔力がなくなった段階で、彼女はもう動けず、そのまま死ぬしかなかったんです。

 しかしながら、絆を見せつけてくれたあなた達のために、サービスとしまして魔力をチャージした事で、彼女を生かす方向に契約をこちらから変更しておきました。

 良かったですね、無駄にならずに済んで。実を言うと、彼女は死んでいたのを、あなた達の絆の物語に感涙して変えたんですから。


 さて、とりあえずここまでは幸せな話。

 ここからは、あなた達にとっては不幸な話をお伝えしたいと思います。



 実は、ピエームさんは----全ての記憶を(・・・・・・)失くして(・・・・)いるん(・・・)ですよ(・・・)



 記憶喪失? まぁ、それに近い状態ではありますが、喪失ではなく、消滅です。

 言ったでしょう? 私は絆や繋がりといった物が大好物の悪魔であると。契約終了時点……つまり、彼女が倒れた際に、彼女の繋がり、いわゆる記憶というのを頂いたんです。

 記憶とは、経験や繋がりの積み重ね。私にとっては大好物ですからねぇ~。


 彼女には、一般的な世間の常識というモノはある。

 しかしながら、どうして悪魔と契約する事になったのかといった、エピソード系の記憶は全て、この私の腹の中です。


 起きた彼女は、ただシュンカトウ共和国の兵士であり、バンブーエルフであるということは理解している。

 しかしながら、過去の自分がどういった存在だったのかは、永遠に分からない。なにせ、私が繋がりを全て喰ったんですから。


 彼女の親類を探そうとしても、無駄な事です。

 私は記憶ではなく、繋がりを喰らった。つまり、彼女を覚えていた人間(ヒト)の記憶の中からも、彼女がどういう存在なのかを覚えている人は居ない。


 誰も、彼女には味方は居ない。

 いやぁ~、実に美味しい状況だとは思いませんか? 彼女は真っ新の、文字通り何もない状態から新たなに絆や繋がりを経て、成長していく!

 その繋がりを見るだけでも、私は彼女の繋がりを喰らった甲斐があるというモノです。



 おや、まだ理解できない人が多いようですね。

 私に普通の武器を使っても、私を倒す事は出来ない。それがこの悪魔、快感のブラッドの能力なのですから。


「では、皆さま。良い繋がりを得る事を願っております」


 私はそう言って、すーっと彼らの前から姿を消すのであった。




(※)絆食い

 快感のブラッドの能力の1つ。契約した相手の契約が終了した時点で、その相手の絆を全て喰らうという、恐ろしい技

 絆や繋がりとは、それらを一番と考えるブラッドにとっての"嗜好品"。この能力によって絆を喰われたらが最後、どうやってもその記憶を思い出す事が出来なくなる。また、相手側の繋がりも消滅するため、その人を知る人物を探すという方法も取れなくなってしまう

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