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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第199話 サクラアさんに会いに行こう配信

 スコティッシュさんからの提案から、7日後。

 カゲミツくんと共に、コ・ラホ領のサクラアさんとやらに会いに行く日がやって来た。




「それで、ボス。そのサクラアさんって人とは、何を話に行くんですか?」

「あぁ、その辺をまだ説明してなかったっけ」


 あくまでカゲミツくんには、一緒にコ・ラホ領のサクラアさんという人に会いに行くとだけ伝えていたため、どうして行くのとかの事情関係は全く伝えられてなかったんだよね。

 というか、それで「OK」と、軽く返事を出すカゲミツくんにも、問題があると言えばそうだが。


「いえ、『ボスからの命令に対しては、一に承諾、二に時間確認、三に内容確認せよ』と、アルファ様からの御命令もありました故」

「うん、今度アルファには、こってり絞っておく事にするよ」


 うちのゴーレムに、とんでもないブラック企業めいた命令を出すんじゃあないよ。

 私が目指すのは辺境イスウッドでの緩やかなるスローライフ。そんなバリバリ仕事をやっているような会社が掲げているような、変な目標を作るんじゃあないよ。

 ……正直、ほぼその目標が達成できるかどうか怪しげな状況になっちゃあいるけどさ。


「スコティッシュさんからもらった資料だけになるけど、それなりには優秀な魔法使いだったようだね」


 私が、サクラア・コ・ラホという人物について知っている事は、スコティッシュさんからいただいた資料だけ。そして、その資料によれば、彼女はそれなりに優秀な魔法使いであったことがうかがえる。




 ----サクラア・コ・ラホ。御年14歳。

 父親はコ・ラホ領の現領主様であるツブア領主ではあるが、母親は兄のコシア・コ・ラホとは違うようだ。いわゆる、妾の子というヤツだな。

 彼女の母親は、ツブア領主が若い頃に付き合っていた女であり、いわゆる現地妻というヤツらしい。彼女が5歳の頃にその母親が死亡、母親の遺言を頼りにツブア領主の元にやって来たんだそうだ。


 その後、妾の子と揶揄される使用人達の鼻を明かそうと、一念発起して、魔法の勉強を始める。メキメキと頭角を現した彼女は、翌年、僅か6歳にして魔法学校の門を叩き、当時史上最年少の魔法使いとして、一回り……つまりは12歳以上年上の同級生たちと共に、魔法を学んだんだそうだ。

 その後、3年で無事、魔法学校を卒業。卒業後は学校で教鞭を取りつつ、魔法の研究をしようとしていたんだそうだが、貴族達の圧力により、今に至る、だそうだ。




「貴族達の圧力?」

「デビュタント前の貴族子女が、仕事をバリバリやるというのがダメだという圧力があったんだそうだ」


 出る杭は打たれるとはいうが、サクラアさんはまさしくその典型例と言える。

 成人前の小娘と一緒に生徒として学ぶのは許せても、その小娘が先生として自分達に教えようとするのが気に食わないということだそうだ。


 コ・ラホ領は男爵領、つまりは貴族社会においては雑魚中の雑魚。爵位があまりにも低すぎ、また妾の子という事実も、彼女を叩く大きな理由となった。

 ツブア領主としては、そんな彼女を実の娘として深く愛している。そして、デビュタントは盛大にやってあげようじゃないかというのが、父親として、そして領主としての自分の務めだと考えているのだそうだ。


「ちなみにだけど、『お金になりそうな配信をしている配信者を自動的に検出する演算装置(アルゴリズム)』を開発して、スコティッシュさん達ドラスト商会に私が発見されるきっかけを作ったのも彼女だそう」

「----っ! つまり、ボスにとって仕事をくれた恩人に当たるじゃないですか! 失礼のないようにしませんと!」

「恩人と呼んでいいのかな……」


 私としては、のんびり暮らしたかっただけなのに、逆にドラスト商会という逃れられない取引相手と繋げて、私に忙しい日々を送らせるきっかけを作った人物とも言える。

 そう思うと、恩人と呼んでいいのかどうか、悩ましいところである。


「では、ボスの気持ちは置いておいて。少なくとも、私にとっては恩人であると頭を下げましょう」

「カゲミツにとって、恩人……?」

「えぇ。アルファ様の話を聞いている限り、ボスがドラスト商会と繋がらなければ、こうして作成されることもなかったと言っても、過言ではありませんので」


 確かに、私は元々、アルファちゃん、ベータちゃん、ガンマちゃん、そしてデルタちゃんの4体で、ゴーレムをそれ以上作ろうとは思ってなかった。イプシロンちゃんはあくまで構想段階としてあっただけで、こんな早くに作る事になろうとは、イスウッドに引っ越した当時は思っていなかったはずだ。

 ドラスト商会との出会いがなければ、ジュールやワットなどは作ることはなかっただろうし、アレイスターやイプシロンちゃんを作ろうだなんて考えもしなかったはずだ。


 そう考えると、確かにドラスト商会との繋がりを作った彼女こそが、カゲミツくんをこうして稼働させるようになった流れを作ったといっても良いだろう。


「そっか。それじゃあ、カゲミツくんだけ頭を下げるという事で」

「了解、ボス」


 ピシっと、脊髄反射のように素早く応えるカゲミツくん。


 ……それって、『ボスからの命令に対しては、一に承諾、二に時間確認、三に内容確認せよ』という流れで言っているだけじゃないよね?

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