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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第197話 動かないピエームについて配信(2)

 魔道具も、ゴーレムも、非常に便利な道具である。

 なにもない所から火を出したり、生命(いのち)がないはずのゴーレムが動いたり、刀に魔術付与として新たな能力を与えたりと、色々と凄い機能満載の魔道具が、その素晴らしい機能を発揮できるのは、その全てが魔力によるモノだ。

 魔力があるからこそ、火は生まれ、生命がないはずのゴーレムが機敏に動き、刀に摩訶思議な異能力が宿る。


 これはどんな魔道具においても、この事については共通している。

 もし仮に、魔力以外で動かせる魔道具があったとしたら、それは錬金術業界を変える素晴らしい発明になる事だろう。


 逆に言えば、厄介な魔道具があるとすれば、その魔道具から魔力を吸収すれば良い。そうすれば、魔道具は機能を停止し、ただのガラクタになってしまう。

 タラタちゃんも良くそれで失敗しており、魔術付与を10個近く行ったという、物凄い刀を見せてくれたことがあるが、残念ながらそれは僅か5秒で物言わぬガラクタと化した。

 タラタちゃん自身は僅か5秒とはいえどもちゃんと全ての効果が発動したことを成功と、喜んでいた。一方で私としては、たった5秒しか効果を発揮できないのなら、それは失敗なんじゃないかと思っていたが。


 ちなみに、私が作った魔道具やゴーレムの魔力が切れないのは、魔力を使う量よりも、魔力を溜める量の方が多いから。

 魔力を多く使う際は、魔力切れにならないように制限(リミット)をかけており、制限に近付くと自動的に機能を停止(オフ)。急ピッチで、魔力を溜めるように設定してある。

 そうでなければ、デルタちゃんのように、魔物の素材を取りに行かせるなんて事できないからね。


 ともかく、魔力がなくなって動かない状態を、私は『電池切れ』と呼んでいるのだが、このピエームの身体もまさしくその『電池切れ』に近い状態だ。



 心臓は、問題なく動いている。

 ただし、魔力を生成する機能に関しては全く動いていない。いや、そもそも魔力を生成する器官が失われている。


 彼女の心臓に代わりに合ったのは、魔力を保存する器官。

 恐らくこの器官の魔力が切れたから、電池切れとなって眠っているのだろう。


「だから魔力さえ注ぎ込めれば、ピエームさんは普通に動き出せると思います」

「「「おぉ~!!」」」


 私の言葉に、「やったぜ!」と嬉しがるフランシアとシュンカトウ騎士団の皆々様。

 同じ騎士団所属のメンバーだから、心配だったのだろう。ここ半月の間、何度も足を運んでくれてたし。


「問題があるとすれば……」

「「「あるとすれば?」」」

「それが、どうやったら魔力を補充できるのかが分からないんです」


 電池で例えれば、電池を充電する充電装置がないという所か。

 これが普通に家電だったり、魔道具だったりすれば、電池を変えれば済む話だが、生憎とピエームは、パームエルフという生物(ヒト)である。そう簡単な話ではないだろう。


 最終手段として、心臓を取り出して、人工心臓に変えるという方法も考えた。

 しかしながら、魔力を生成できないという以外は至って健康な心臓を取り出すのが正解かと言われると、どうだろう。あと、これが呪いの類だった場合、人工心臓に変えたところで魔力生成機能が、魔力蓄積機能へと、勝手に変化する可能性もある。


「とりあえず、いまのところは治す方法は思いつきませんね」


 私がそう言うと、シュンカトウ騎士団の人々は、ガックリした様子で道場へと帰って行った。

 あんなにガックリした様子なのに、デルタちゃんの指導はきちんと真剣に受けているんですよね。切り替えが凄いというかなんというか。


「----魔力を蓄積させる方法、か」


 考えた方法の1つとしては、魔力を直接心臓まで運ぶ魔道具を作る事。

 しかしながら概算した結果、予算が膨大にかかりすぎる事と、彼女の身長を大きく超える巨大魔道具を携帯しなければならないという事で、この案は残念ながら却下する事とした。


 次に考えたのは、魔力を別の所に魔力を生成させる方法。

 心臓ではなく、例えばお腹の辺りに魔力を生成させる器官を新たに増設し、身体中に行き渡らせるという方法だ。残念ながらそれをするには、心臓を取り換える以上の大手術が必要となるため、あきらめざるを得なかったが。


 その次に考えたのは、どうにかして武器化する能力を消す方法。

 彼女がこうなってしまったのは、どう考えても武器になれるという能力が原因だから、それさえなくせば、全て元通りになるんじゃないかと考えたのである。

 ----まぁ、そもそもその呪いの出所を、色々と診察したりしたけれども見つけられない時点で、この方法も却下だったけど。



 打つ手なし。

 いまの私が持ちうる錬金術や、前世の知識では、彼女(ピエーム)をなんとかする方法は見つけ出せなかった。


 

「まったく。厄介なエルフは、1人で十分ですよ」


 私はそう言いつつ、すやすやと何事もなく寝ているピエームの顔を見ながら、そういえば今日は朝食をまだ食べていなかったなーと思い出した。

 "腹が減っては戦が出来ぬ"という言葉もあるくらいだし、何も食べてない状態よりかは良い判断が下せるかもしれない。


「さて、ベータちゃんの今日の朝食はなんだろうなっと」


 私はそう思いながら、部屋をあとにするのであった。

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