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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第182話 ベータは誰が勝っても良いブロックなのか?【武闘大会生中継配信】(1)

 ~~ザザード~~


『1回戦第1試合の勝者は、『シュンカトウ騎士団第五の槍』ピエーム! エルフ3人による三つ巴戦は、竹林の守護者たるバンブーエルフの勝利となったのでしたぁぁぁ!!』


 ほぉ、ピエームのヤツ、勝ったのか。

 控室にも響き渡る司会者の放送で、俺は仲間の勝利を知ったのだった。


 俺の名前はザザード。シュンカトウ騎士団に所属し、さらには四天王の1人として名を連ねる猛者である。

 この大会に参加した目的は、優勝賞品目当て。武闘派系ゴーレムとして作成されたデルタが商品として提示した、武術【オーラ】の指南。


 俺達は前に、"なにか得体のしれないモノ"を喰らって倒された。

 デルタが新しい身体となった際に模擬戦をしたのだが、その際に呆気なくやられたのである。その後、それを封じた上で、機能を一割にまで下げて戦ったのだが、それでもやられた。

 問題はその、呆気なく気絶させられた時に使われた、あの力の事だ。何をしたのか分からない、というか触れられてもいないのにどうしてやられたんだろうと、それがあの時道場に居た者達全員が抱いた感想であった。


 それを学びたいと俺達は懇願するも、教官(ススリア)は「危ないからダメ」と言うだけ。デルタもまた、「ボスがダメだとおっしゃるなら」と教えてはくれなかった。


 その"なにか得体のしれないモノ"の正体こそ、今回の優勝賞品である【オーラ】であると、俺達は考えて、道場に居る全員にて、参加を決めたのである。



 ----道場関係者の誰かが優勝して、【オーラ】の指南を受ける。

 ----そして、その指南を、道場の皆に教える。

 ----誰が勝っても恨みっこなし、全ては強くなるために!



 俺達はそう誓いあい、この大会に参加した。

 本選出場者12人のうち、俺を含め、8名も潜り込むことが出来た。この中にウミヅリ王国から来たというサビキ元王女様とトカリの2人も加えたかったが、あの2人は俺達の誘いを断り、自分達だけで指南を独占しようと考えている。


「(正直、ピエームが勝利したから、残る問題はこの後の2ブロック)」


 デルタ・ブロックはトカリ以外のどちらかが勝利してくれれば良い。問題は、ガンマ・ブロック。

 ガンマ・ブロックにはサビキ元王女様達と同じように誘いを断ったアレイスターが居り、ネゴシィ騎士団長に頑張ってもらいたい所だ。


「(ガンマ・ブロック、そしてデルタブロックのどちらも俺達の陣営が勝利すれば、決勝戦は俺達の誰かが勝利して優勝賞品の1つの【オーラ】の指南を受けることが出来る)」


 そんな事を考えていると、「ザザード」とダンパン部隊長が声をかけて来る。

 部隊長は銀の鎧に身を包んだ、筋肉モリモリの大男。パワーが強いだけではなく、簡易式ゴーレム・武闘訓練カスタムのモード6.0、つまりはあのゴーレムの最強モードを倒せるという、スピードとパワーの両方を持った男。

 モード4.2までが精いっぱいの俺なんかと比べても、遥かに高みに居る事は事実。


 そんな部隊長からの声掛けに、ビシッと敬礼をして俺は応える。


「----! ダンパン部隊長!」

「次は俺達の試合だ。分かっているだろうが、このブロックは全員がシュンカトウ騎士団に所属する者達だ」

「それは……もちろん、分かっております」


 ダンパン部隊長、俺、そしてイボーク。

 誰が勝とうが、俺達陣営の誰かが次の準決勝に進む。優勝が目的の俺達からしてみれば、ただの通過点に過ぎない試合。

 順当に行けば、ダンパン部隊長の勝利。ただ、突発的な勢いで言えば、羊獣人にして突撃力ナンバー1のイボークが勝利する可能性が高い。俺の勝利は、ほぼ絶望的と言って良いくらい低い。


「(----だが!)」

「そうだ、その眼だ」


 部隊長がそう褒めてくれた。


 そうだ、勝つ可能性が限りなく低いからって、なんだ?

 順当に行けば勝つのは部隊長だとか、もしかするとイボークが勝つかもだとか、どうせこのブロックの誰が勝利しても良いだとか、そんなのはどうだって良い!


 ----勝つ!


 武の道を志してから、負ける事を意識して戦った事なんて、一度もない。


 勝つ可能性が低いからってなんだ?

 俺には槍がある! この槍武術に関してだけは、2人には負けない自信がある!


「(それに、俺にはこれもある)」


 俺だけが持っていて、2人にもまだ見せたことのない切札(ジョーカー)

 見せてやるぜ、俺の戦いって奴を。


「行きましょうか、ダンパン部隊長」

「あぁ、そうだな。お前の頑張りにも期待してるぞ、ザザード」


 そうやって、部隊長と分かれて、試合会場に向かっていると、ボクシンググローブみたいなモノを手につけている途中のイボークを見かけた。


「イボーク」

「ザザード」


 俺達は名前を呼び合う。そして----



「「誰が勝っても恨みっこなし、全ては強くなるために」」



 自然と俺達の言葉は揃っていた。


 予め打合せしてはいなかったが、どうやら互いの気持ちは同じだったらしい。

 そうだ、この試合は誰が勝っても大丈夫な、ただの消化試合なんかじゃあない。そういう試合には、俺達が絶対にさせない。


 この試合は、誰が勝っても恨まない、力と力をぶつけ合う真剣勝負の試合なんだ。

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