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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第177話 闘争のカイデン討伐大作戦配信(2)

「さぁ/第2ラウンドを始めよう」


 自らの身体に刀を突き刺し、身体を黒く染めたカイデン。

 カイデンは自らの影に"ずぼっと"、腕を突っ込んだ。


「(影の中に手を……?!)」

「(新しい力なのだ?)」


 2人が警戒する中、カイデンの攻撃は、"次のステージ(第2ラウンド)"へと移行する。



 最初に違和感を感じたのは、アザラシ族のトカリ。

 アザラシには感覚毛と呼ばれるヒゲがあり、このヒゲはたくさんの神経が集中しており、エサとなる魚などが動いた時の振動と位置を正確に感じ取るセンサーの役割を果たしている。光が届かないような深海でも、このヒゲによってエサである魚を探しとることが出来るのだ。

 アザラシ族である彼にも同様の器官が存在しており、彼は空気中の振動によって、ある程度の敵の把握が可能なのである。


 そんな彼は、自身の影が、揺らめいているという異常事態に、いち早く気付いた。

 すぐさま足の裏を刃のようにして、その違和感を感じた影に目掛けて蹴りつける。


 ----ぼきっ!


 影を、地面を蹴ったとは思えない、異音。足を退けると、そこにあったのは、"()"だった。

 トカリの影から、黒い腕が、カイデンの腕がひしゃげた状態で出てきたのである。


「へぇ~。初見で気付かれるとは/思わなかった」


 黒い腕をカイデンが影から引っこ抜くと、トカリの影から出て来た腕も消えた。そして、カイデンの腕はひしゃげた状態になっていた。

 どうやらあの姿だと、影から影へと、身体を移動させることが出来るらしいと、そう2人が理解したところで、カイデンは木々の影の中にすっぽり、そのまま潜り込んだ。

 腕を入れられるのだから、身体全体を入れられるのも道理である。


 しかし、どこから攻撃してくるか全く読めなくなってしまった。


 影は無限にある。木の影、葉っぱの影、自分達の影----考え得る出現場所は、それこそ無数に近いほどあった。

 1人では到底カバーできないとお互いに悟った2人は、互いの背中を合わせる。トカリほどではないが、サビキにだって空気の振動を感じる事はでき、2人で互いにカイデンの出現を備えていた。


『ほほぉ~。互いに受け持つ範囲を決める事で/私の攻撃を防ごうという考えですか。

 素晴らしい! お互いを信頼し合う関係! あぁ/ぶち壊したくなるくらい/良い関係だ』


 どこからか、カイデンの声が聞こえてくる。

 それは近くから聞こえてくるようで、かといって全然遠くから聞こえてくるようでもある、不思議な声。どこに潜んでいるか、声からでは2人は分からなかった。


『やはり『信用』こそ/世界で一番/ぶち壊したくなる! 悪魔の愉悦とは/各々にとって"一番美しいと思えるモノ"をぶち壊した時に/一番の愉悦を感じるのだ! 互いに互いを『信用』しあうその関係/ぶち壊したらさぞ美しい音が聞こえるだろう!

 それなのに/『絆』だの/『獲物』だの/『平和』だの/『恋愛』だのって! この世で一番美しいモノは『信用』一択! 今すぐぐちゃぐちゃに/壊してやる!』


 煽るように、焦らすように、カイデンはそう声をかけてくる。

 2人はそんな言葉を無視し、カイデンの出現を待っていた。



 ‐‐‐‐そんな2人の頭上に、特大のカイデンの手が叩きつけられた。



『カイデンの最終奥義/その名も【巨影(きょえい)の災厄】! 私は影だけではなく/"黒く染まっているモノ"ならなんでも/自らが出現する穴にすることが出来る!

 このシガンの森は/私が刀を突き刺す事によって作り上げた"黒い森"! その黒い木々の密集により/この巨大な私の手を出せる穴とした! この巨大な手で押し潰され/やられなかった者など/この世には存在しない!』


 高らかに勝利宣言を決めるカイデン。この巨大な手による押し潰しによって、やられなかった者などいないという、それはカイデンの確かな自信であった。

 ‐‐‐‐故にだからこそ、"それが効かない相手なんて、カイデンには想像できなかった"。


『‐‐‐‐っ!!』


 カイデンの巨大な手に、黒く染め上げた森から出した手に、彼は痛みを覚えた。それこそ、今まで感じる事のなかった激痛であった。


 慌てて巨大な手を見ると、その巨大な手はザクザクッと斬られていた。

 カイデンの力の象徴にして自信の源である、あの巨大な手が、目の前で見るも無残に、大きな傷をつけられていた。


『まさか! そんな嘘だ/あり得ない! この巨大な手を/ぶち破るだなんて!』


 カイデンが放った【巨影の災厄】。これはカイデンが持つ魔力のほとんどを費やし、黒い森という巨大な範囲(エリア)からそれと同じ大きさの手を出して、押し潰すという技だ。

 悪魔(カイデン)にとって魔力とは、すなわち体力である。そして、カイデンはあの巨大な手に魔力のほとんどを費やしており、その巨大な手がダメージを受けたことで、カイデンの身体が崩壊していくようだった。


『嘘だ……我が最強の技が/破られるだなんてぇ! あぁ/"呼ばれた(・・・・)役割は(・・・)果たして(・・・・)"/これからだったのにぃぃぃぃ!!』


 そして、カイデンは‐‐‐‐そのまま無残に、バラバラとなって消え去って行くのであった。




(※)【巨影の災厄】

 魔王ユギーの五本槍の1人、『闘争のカイデン』の必殺奥義。自身によって黒く染め上げた巨大な範囲から、その範囲にあった巨大な手を使って相手を押し潰す大技。今回は黒く染め上げたシガンの森から巨大な手を生み出して、サビキとトカリに襲い掛かった

 巨大であるとはそれだけで脅威であり、多くの範囲を潰し、相手を一気に押し潰す大技。自身の体力ともいえる魔力のほとんどを使った大技ではあり、破られるとやられてしまう危険性もある

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