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第175話 VSカゲミツ【2人はどう立ち向かったのか配信】

「思いっきりやっちゃえ、カゲミツ」

「イエス、ボス」


 私が指示をすると、カゲミツは両手を地面につけ、四つん這いの姿勢を作る。そうすると共に、(カゲミツ)の手を通って、地面からエネルギーが伝っていき、彼の身体が赤く光り輝いて行く。

 赤い光は身体を移動していき、お尻から伸びる9本の狐が、空気を入れられたかのように大きく膨らんで行く。そして、その大きな尻尾を2人に向かって叩きつけていく。


「「はっ!!」」


 その尻尾を叩きつける攻撃を、2人は後ろへと脚を動かさずに下がった。足の裏に刃を生み出して、それで滑るようにして下がったのである。


「ちなみに、このカゲミツに勝てないようなら、カイデンの(もと)には行かせませんので」


 私はそう、サビキ元王女とトカリにそう宣言する。

 2人は「これが卒業試験か」と納得しているようだが、私からして見たらこれは『諦めさせる理由』として用意している。


 サビキ元王女とトカリの2人は、ウミヅリ王国の王族と貴族。2人は既にウミヅリ王国から亡命していると言って良いんだけれども、「私達は亡命しているので、もう政治には関係ありません」と言えないのが、辛い所である。

 王族や貴族ってのは、こちらが少しでも弱みを見せたら、その弱みに付け込んで、自分達の好きなように話を持ってこようとする。



 だからこそ、私はあまりお貴族様ってのが好きじゃなくて、こんな辺境のイスウッドにて、スローライフをしようとしているのだから。



 ……なんてことを考えていたら、今度は2人が攻め始める。


 サビキ元王女の右腕、そしてトカリの左足が、それぞれ赤く光り輝く。そして、その光輝く部位で、カゲミツの尻尾を斬りかかる。

 それに対し、カゲミツは尻尾を丸める。丸めると、彼女の尻尾は銀色に光り輝き、2人の攻撃を受けても無傷であった。


「身体を金属にして、攻撃を防ぎましたか」

「その使い方は、予想外だったのだ。でも、そのやり方を覚えたのだ!」


 身体を刃物にするのが【刀剣拳法】。そして刃物は金属でもあるのだ。

 いまカゲミツは尻尾の部分を硬化して防いだのである。


 この硬化は、既に【刀剣拳法】をマスターしたと言っても過言ではない、今の2人にとっては簡単すぎると言って良いだろう。


「では、続いてはこういうのはいかがでしょう」


 カゲミツはそう言って、手を2人の方に向ける。そうすると共に、カゲミツの指から、(つめ)が一直線に放たれてきたのだ。

 【刀剣拳法】を用いて爪を刀剣の刃のように尖らせ、それを射出しているのだ。


「爪に【刀剣拳法】を纏わせて、飛ばしているのだ! 爪のみにしている事で、鋭利さを増しているのだ!」

「トカリよ! 私達も似たようなことが出来るのではないのでして?!」


「(そうだ、そういう風にして戦い方を学んでくれ)」


 カゲミツは最終試練であると同時に、彼女達に伝えきれなかった部分を補填するために作ったゴーレムでもある。つまり、カゲミツの戦い方を通して、自分達もそれが出来るという事を分かって欲しいのだ。


「(しかしながら、なんか2人とも、私の想定外の行動をしているんだけど)」


 私の目の前では、2人は自らの魚人族の特徴を使って強化した技を放っていた。

 サビキ元王女は、鋭利な刃を纏った水を射出。トカリは、身体全体に炎の刃を生み出して纏っていた。


 ……あんなの、カゲミツですら出せないんだけど。

 恐らく、サビキ元王女はテッポウウオ族としての特徴である、水を射出するという特徴を使って編み出した技。トカリの方は、アザラシ族の身体的特徴を有して、あの炎の刃を放っているのだろう。

 アザラシ族は寒い地域で生きるために、氷属性の力を持っている。それと同時に、炎属性の熱い血を持っているという、氷と炎の2つの属性を有しているんじゃないかって言われていたし。


 でもまぁ、自ら新しい技を生み出せるようになったという事は、成長を感じる良い事だと思う。


 私が思っても見ない成長を見せた2人はものの数分でカゲミツを倒して、そのままカイデンの討伐に向かうのであった。


「(----カゲミツを倒せるのなら、あの2人は強い。無様に負けるって事はないだろう。

 しかしながら、それでも少し心配だな)」


 何事もなく、2人が帰ってくることを願う私なのであった。




(※)【刀剣拳法】派生形・水刃翔(すいじんしょう)

 サビキ・ウミヅリ元王女が編み出した、【刀剣拳法】の派生技。水を射出するテッポウウオ族の技に、斬撃という要素を加えて編み出された技

 今までのテッポウウオ族としての特徴を使った斬撃は、水を高速で一直線に射出する事によって作るウォーターカッターのようなモノがあったが、これにより水を刃として複数射出する事が可能となった。また水を手裏剣状のようにして放つ水手裏剣よりも、遥かに斬撃性に優れている


(※)【刀剣拳法】派生形・炎刃(えんじん)

 トカリが編み出した、【刀剣拳法】の派生技。皮下脂肪が厚く、断熱と保温に優れた身体を持つトカリが、自らの身体に流れる熱い血を使って放つ、炎を纏わせた刃

 炎を纏わせたこの刃は、当てた相手に炎属性の傷を負わせることもできるため、この技1つだけで【炎属性】【物理攻撃】【刀剣攻撃】の3種類を満たしているといえる

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