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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第171話 VS『闘争のカイデン』【ムラマサはどう立ち向かったのか配信】

 名刀【森嵐】を心臓(コア)にして生み出された、戦闘用ゴーレムのムラマサ。

 『闘争のカイデン』の討伐を命じられた(ムラマサ)は、シガンの森へと歩き出していた。----いや、滑り(・・)出した(・・・)、というべきだろう。

 私は、足の下から薄い刃を出し、まるでスケートをするかのように、すーっと滑るようにしてシガンの森へと向かって行ってるのである。


 石だらけの地面も。草木が生える森の道も。沼のような足場が悪い地帯も。

 足元が何なのかを気にすることなく、私はすいすいっと、進んで行った。


 ----そして、通常の半分以下の速度で、私は『闘争のカイデン』の元へと辿り着いていた。




「へぇ~。次の生贄は/君と言う訳だね」


 カイデンは私の姿を見て、嬉しそうに微笑む。


人間(ヒト)でないのは残念だが/"()れる"のは歓迎すべき事だね」

「ゴーレムでも良いのは、ありがたいです」


 私はそう言って、腕を前にして構える。拳法で戦おうとする私を見て、カイデンは「無謀だよ/それは」と笑っていた。

 

「君は/君をここへと送り込んだ者は知らないかもしれないから/教えておこう。【我と戦う際はお互いに剣でしか戦えない】/そして【我には剣は通用しない】。

 我が名は『闘争のカイデン』! ただ戦いを楽しむ悪魔なり! ってね!」


 カイデンはそう言って、剣を抜いて無防備に、こちらへと近付いて来る。

 そのまま腕を前にして攻撃しようとしたところで、私は身体に違和感を感じた。


 身体全体を、なにかが通って行く感覚。皮膚の上を小さな虫がうじゃうじゃと這う感覚と言えば良いだろうか。

 この小さな虫が、『剣以外の攻撃を制限する呪い』が具現化したモノだと考え、この情報を早速送って置く。


「一方的に/蹂躙して差し上げよう!」


 カイデンはそう言って、剣を大きく、文字通り隙だらけの体勢で振り下ろす。

 攻撃100、防御0----守る事を一切考えていないその構えに、私は手甲で弾く。


「----はぁ?」


 手甲で弾かれ、呆気なく空を舞うカイデンの剣。そして、無防備な悪魔の身体。

 私はその身体に、思いっきり技を叩きこむ。


「せいっ!!」


 ----どごぉぉぉんんっっ!!


「かはっ……!!」


 腕による技を叩きこまれたカイデンの身体は、そのままきりもみ回転しながら、後ろへと飛んでいく。そして、後ろの大木に思いっきりぶつかって、その場に落ちた。


「(いま、名刀【森嵐】に付与されている【寸断】の加護を使わずに放とうとしたら、身体が動かなくなった。その後、【寸断】の加護を使ったら身体は何事もなく動いた。……そして、相手は斬れなかったが、間違いなく打撃は通った)」


 この情報もまた、かなり重要な情報であると、私はそう判断した。


 私の知識----正確には【アルファ・ゴーレムサポートシステム】内にある悪魔の情報----によれば、神聖術以外はほとんど通じないという性質を持っているらしい。

 悪魔である以上、『闘争のカイデン』も同じような性質を持っているんじゃないかと、私はそう心配していたが、どうやら刀剣攻撃以外は普通に通じるらしい。

 刀剣攻撃でしか攻撃できないのに、刀剣攻撃を無効化するという矛盾する性質を持ってるから、私と同じでそこまで資源(リソース)を確保できなかったのだろうか?


 なんにせよ、この情報も重要な情報であると感じた私は、情報を【アルファ・ゴーレムサポートシステム】に転送する。


「(これで、私の使命はほぼ完了したようなモノです。----刀剣の要素を攻撃に組み込んだ攻撃ならば、相手に通る。ボスに良い報せが出来ました)」


 私がボスから頼まれたのは、ここまで。

 あとは、ボスの憂いを出来る限り減らすため、ここで仕留めるべく攻撃を続けようというのは、私の意思です。


「(それに、隠し玉があるなら、出させておきたいですし)」


 私はそう言って、再び手を前にして構えを取る。

 もう、カイデンからは油断した感じは見えないが、刀剣しか使えないのはあちらも同じ条件のはず。


「(使えるように設計していないだけで、私の知識の中には刀剣の技の知識がある。刀剣の技はほとんどが近距離を想定した技であり、遠距離の相手を攻撃出来る技は少ししかない。それさえ気を付けておけば、さほど驚異的ではない)」


 私はそう思って、すすっとここまで移動してきた時のように足からブレードを出して、滑って近付く。



 ----そして、カイデンが放った刀剣に、身体を貫かれていた。



「かはっ……!?」


 見えなかった。正確に言えば、避けられないほど速かった。

 むくりと起き上がったカイデンは、樹木に突き刺さっていた刀剣を引き抜くと、そのまま私に向かって投げつけて来たのだ。


「----残念だったね/ゴーレムよ。私に一撃を与えられたのは/凄い事だ。褒めましょう」


 身体を貫かれ、核である名刀【森嵐】が半壊して、動けない私に、ゆっくりとカイデンは近付いて来る。


「しかしながら/私を倒すにはそれでは足りない。今の技は/刀剣を『無限に加速して』投げた。私は刀剣に関する事柄に限り/あらゆる要素を変更することが出来る。重さも/速度も/そして破壊力ですらも」


 ----つまり、カイデンは刀剣を自由自在に操ることが出来る。

 重さを変化させたり、速度を加速させたり、破壊力を増したり。


「流石に他人の持つモノまでは対象外だけど/私を倒そうだなんて思わない事だね。

 ‐‐‐‐戦争は終わらない。闘争も終わらない。終わらない物を倒す事なんて/誰にもできはしないのだから」




 ‐‐‐‐確かに、このカイデンと言うのはバケモノだ。

 私のような【刀剣拳法】という裏技を使っても、まだようやくバケモノに傷をつけられる段階に入っただけ。バケモノはバケモノのままだ。


 でもまぁ、効いたという事実を確かめられた。

 私の使命は、達成したという訳だ。




「……なんですか。なんで笑顔なんだか」


 カイデン(あなた)には絶対分からないでしょう。

 私はきちんと役目を果たした。ゴーレムにとって、それがいかに重要かって事は、あなたには絶対に分からない事でしょう。


 名刀【森嵐】が壊れるのは、あと少し。それまでにしっかりと情報を送っておこう。


 そうして、(ムラマサ)は、自分の仕事を終えたと、ゆっくり目を閉じた。

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